ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

就労ビザの中で、事務職のホワイトカラーの方が取得するケースが多い、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格、いわゆる「技人国」について、雇入れる企業側の、審査にあたっての重要だと思われるポイントは、申請の際の提出書類から考えられることが3点あります。

1.企業経営の安定性

2.外国人労働者を雇い入れる必要性

3.外国人労働者に従事させる職務内容の信ぴょう性

この中で今回は、「1.企業経営の安定性」に関して解説をしていきます。

はじめに

せっかく外国人労働者を雇用したとしても、その企業の事業規模が小さすぎたり、赤字経営だったりした場合に、その外国人労働者が仕事をする機会がそもそも少なかったり、経営状態が悪ければ企業が倒産して失業してしまう可能性があります。また、世間一般的に上場企業であれば資本金や従業員の数も多く、社会的な信用もあり安定性も高いと思われるでしょう。一方、創業間もない会社や個人事業主の場合には、先行きの不透明感や社会的な信用も相対的に低く、事業の安定性に欠けると思われがちです。そのために、出入国在留管理庁では、外国人労働者を受け入れる企業(「所属機関」と言われています)に関して、会社の形態や決算状況、従業員の所得税の源泉徴収の合計額などによって、カテゴリー1・2・3・4と分けられています。

企業のカテゴリーとは

出入国在留管理庁では、より規模が大きく、経営の安定度、信頼度が高い順番に、1→2→3→4となっています。それぞれのカテゴリーを分かり易く簡単に表現すると

カテゴリー1:上場企業、保険業の相互会社、国や地方公共団体、独立行政法人 など

カテゴリー2:「給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収額」が1000万円以上の企業

カテゴリー3:「給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収額」が1000万円以下の企業

カテゴリー4:カテゴリー1~4に該当しない企業

それぞれのカテゴリーによって、申請の際に提出が必要とされている書類が異なります。経営の安定度や信頼度が低くなるにつれ、外国人労働者を雇い入れても問題ない、ということを証明するための書類を多く提出しなければならず、その準備に手間と時間が掛かります。

申請に必要な提出書類

申請に際して、企業側が用意する必要書類に関しては、出入国在留管理庁のホームページによると、

1在留資格認定証明書交付申請書

2外国人労働者の証明写真

3切手付き返信用封筒

4専門学校以上の学校の卒業証明書か学位付与証明書

が、すべてのカテゴリーの会社の必須書類として明記されています。

これらの書類に加えて、カテゴリー1の会社では、

「四季報の写し」若しくは「証券取引所の上場を証明する文書」を追加で提出すれば良いとされています。(これ以外でも代替できる書類もあります)。

これが、カテゴリー2の企業になると

「前年分の給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表」の提出が必要になります。

さらに、カテゴリー3になると、

・前年分の給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表

・外国人労働者の活動内容を明らかにする書類として、例えば「労働条件通知書」

・外国人労働者の学歴や職歴などを証明する文書として、例えば「履歴書」や「学歴・職歴などを証明する文書」

・登記事項証明書

・企業の事業内容を説明するための、「会社案内パンフレット」

・直近年度の決算文書

と、提出する書類の種類や分量が増えてきます。

カテゴリー4の会社に関しては、「前年分の給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表」が出せず、上場していない会社ということで、起業してから1年未満の会社、と考えて頂くのが、一番分かり易いと思われます。(もちろん、他にもこのカテゴリーに該当する会社もあります)。

そのために、「前年分の給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表」が提出できないことを説明する書類が求められます。また、新設会社や新規事業であれば、事業計画書を提出して、今後の経営計画や見通しを明示することによって市外国人労働者を雇用する必要性を証明していきます。

任意提出書類に関して

外国人の労働者を採用しようと考えた際には、まずは、その企業がどのカテゴリーに該当するかを確認することから始めます。そしてカテゴリーに応じた書類を準備することになるのですが、ここで、出入国在留管理庁のホームページに記載されている必要書類の「罠」に関してお伝えしなければならないのです。この、必要書類は、「申請を受理する」、つまり窓口で書類を提出した際に、係の方が受理してくれるという最低限度提出しなければならない書類一覧になっています。これは、そこに記載されている書類を提出すれば、許可が保証されているというものではありません。逆に、明記されている書類しか提出しなかった場合には、受理後、審査機関中に、審査官から追加書類の提出や追加説明を求められる文書が届き、その対応に慌てることが多いようです。これは、国際結婚の際の配偶者ビザの申請や、永住ビザ申請の時と同じ様に、審査官が説明不足だと思ったり、疑わしい、と思った場合に、不足点を補ったり、疑念を払しょくするために、その申請が本当のものであると証明できる追加書類を提出しなければならないのです。この、追加書類の提出依頼が来ると、審査がいったんストップしますので、審査結果が出るまでの期間がどうしても長くなってしまいます。特に急いでいる場合は、入社式に間に合わなかったり、企業の事業計画に影響を与えたりする可能性があります。これを避けるためにも、当初から十分な説明書類を準備して提出することをお勧めしています。カテゴリー1・2の企業であれば、3と同じ程度の書類を準備すること。また、カテゴリー3の会社でも決算状態が良くない場合は、4のみで必要となる事業計画書を予め作成して提出することで、審査をスムーズに進めることが出来ると思われます。特に、事業計画書に関しては、場合によってはカテゴリー1、2の企業でも提出したほうがよりよい場合もあります。

まとめ

「技人国」の在留資格を申請する際、外国人労働者の雇い入れ企業の側の準備書類に関しては、原則としてカテゴリーごとに指定されているものの、経営状況や事業内容によっては、追加資料を積極的に提出することで、よりスムーズな審査により早い段階で許可の結果を得ることが可能になります。特に、新規事業立ち上げの場合や、赤字の状況が続いている場合、また、急遽採用が決まり、ビザの発給を急いでいる場合などは、自己申請を行わずに、申請取次行政書士に依頼をしたほうがスムーズに手続きを行うことが出来ると言えます。

次回は、外国人労働者受け入れ企業に求められる重要なポイントである、「外国人労働者を雇い入れる必要性」と「外国人労働者に従事させる職務内容の信ぴょう性」について解説する予定です。ご興味のある方は、そちらも併せてご確認ください。

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