ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、いわゆる就労系の在留資格(就労ビザ)を持つ外国人を雇用する際に、気を付けけるべき2つのことについて解説していきます。

それぞれの在留資格で定められた範囲内の仕事をすること

まず、日本には29の在留資格があり、そのうち、就労活動を目的とする在留資格は19種類あります。具体的には、「外交」「公用」「教授」「芸術」「宗教」「報道」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「介護」「高度専門職」「企業内転筋」「興行」「技能」「技術・人文知識・国際業務」「技能実習」「特定技能」と、就業できる職務内容、職種によってこのように細分化されています。大前提として、それぞれで定められた職務内容の仕事に従事することが求められています。そして、もう少し細かく説明すると、次の3点に分けられます。

在留資格で定められた範囲外の仕事をしてはいけない

例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持ち、広報マーケティングの仕事をしている外国人従業員Aさんが、レストランのホールやレジ打ちの仕事をすることはできません。このAさんが、飲食店チェーン店の本社で、普段は広報マーケティングの仕事をしているけど、ランチタイムの忙しい時間帯の2時間だけ、レストランのホールに出てきてお手伝いをする、という形であっても、在留資格で決められている範囲外の仕事をすることはできません。このように、別の会社ではなく、同じ会社内であったとしても、勤務時間の一部であったとしても、在留資格外の職務を行うことは認められていません。

また、日本に滞在している外国人を、中途採用として新たに採用する場合、前職がある人はすでに在留資格を持っています。この在留資格が、受け入れ企業での担当予定業務の範囲内であるかどうかを、出入国在留管理庁に「就労資格証明書」の申請を行うことで、採用前に確認をすることもできます。これを採用時に行っておくことで、有効期限の更新時に不許可になることが避けられ、安心して雇用を継続することができます。

在留資格に定められた仕事をしないで日本に滞在し続けてはいけない

例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人Bさんが、働いていた会社を辞めてしまい、新たな勤務先を見つけて再就職をせずに、そのまま無職の状態で日本に滞在することはできないということです。日本で引き続き滞在することを望む場合は、前職の会社を退職する前に次の勤務先を見つけるなど、無職の期間をできるだけ短くするよう、計画的に転職活動を行うことが必要です。無職の期間が3か月を超えてしまった場合、在留資格の更新の際に、この期間に関しての説明を求められ、場合によっては資格外活動違反があると認定されれば、更新が不許可になる可能性もあります。

就労系の在留資格を持っていない人が仕事をしてはいけない

これは単純に、留学生や家族滞在の外国人が、資格外活動許可を得ずに働いたり、観光で来日した短期滞在の外国人が働いてしまうことが該当します。これに関しては、企業側が外国人を採用する際に、身元確認書類として、パスポートと在留カードの原本を確認することで、比較的簡単に防ぐことができると思われます。

在留資格で定められている有効期限を必ず守る

在留期間は、1年、3年、5年と、申請更新の回数や、企業側との契約によって、出入国在留管理庁から与えられる期間は様々です。引き続き日本での滞在を希望する人は、在留期間内に更新の手続きを完了する必要があります。結果の通知は、在留期間終了後になってしまっても構わないのですが、申請書類一式を提出し受理されるのは、在留期間内でなくてはならないのです。これが1日でも過ぎてしまえば、在留期間終了日の24時を過ぎた段階で、不法滞在、つまりオーバーステイとなってしまいます。万が一、オーバーステイになってしまった場合は、自ら出入国管理局に出頭して処分を受けることとなります。その時点での違反が、オーバーステイだけでそれ以外の法令違反を犯していない場合は、収容されることなく、出国命令書によって速やかに日本国外に出国することとなります。こうなってしまうと、出国から1年間は日本への再入国が禁止されています。さらに、この1年間の再入国禁止期間終了後に、再度日本への呼び寄せ(在留資格認定証明書交付申請書の発行)を行うことができますが、このオーバーステイの履歴は消えることなく残り、今後、何らかの在留資格を申請した際に審査にも影響を与えることは言うまでもありません。

一方、オーバーステイになってしまった後で、自ら出頭する前に摘発を受けたり、街中での警察官による職務質問等によってオーバーステイが発覚することがあります。その場合には、身柄を収容されたうえで、退去強制令書が発行されて、出身国に強制送還されてしまいます。この、退去強制処分になった外国人は、原則として5年間、犯罪の状況など場合によっては10年間、日本への再入国ができません。この再入国禁止期間が終了すれば、日本への入国はできなくはないのですが、在留資格に関する申請をした際には出国命令処分よりもさらに厳しく審査が行われ、場合によっては一生日本に再入国できない可能性もあります。

まとめ

就労系の在留資格を持つ外国人を雇用する際のポイントは、「在留資格で決められた活動を守ること」「在留期限を守ること」の2つです。どちらも違反をすると、不法就労・不法滞在の罪に問われ、これは、外国人従業員だけでなく、不法就労助長罪として、雇い入れ企業側にも重い処分が下されます。雇い入れ時に、パスポートや在留カードを確認することで、不法就労・不法滞在を防ぐことは可能ですので、非常に初歩的で簡単なことですが、確認を徹底していこことが重要です。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、就労ビザ取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。