ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。
私は主に、北海道の宿泊業や観光業で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの、新規取得や更新手続きのお手伝いを行っています。
今回は、スキーインストラクターはどの在留資格を取得すればよいのか?について解説していきます。
スキーインストラクターの在留資格は、従来からの「技能」に加えて、2020年9月から「特定活動50号」(スキーインストラクター)という在留資格が新たにできて、こちらも取得できるようになっています。ひとつずつ詳細を見ていきましょう。
「特定活動50号」=スキーインストラクタービザ
特定活動(スキーインストラクター)のビザに関しては、どのような人が該当するのでしょうか?
公益社団法人日本プロスキー教師協会(SIA)が認定する次に掲げるいずれかの資格を有する人
アルペンスキー・ステージⅠ / アルペンスキー・ステージⅡ / アルペンスキー・ステージⅢ / アルペンスキー・ステージⅣ
公益社団法人日本プロスキー教師協会(SIA)が上記(1)に掲げるものと同等以上と認めるスキーの指導に関する資格を有することを証明する人
が該当します。「技能」の在留資格とは異なり、実務経験の期間や大会出場歴は問われず、SIAが規定する資格を取得したことが申請の要件になっています。これにより、3年間の実務経験を積むよりも短期間で「特定活動」の申請要件を満たせるケースが多いようです。
申請書類に関して
申請の際に必要な書類に関しては、大きく分けて、①所属機関(雇用する会社や組織)に関する書類と、②申請人に関する書類 に大別されます。
所属機関に関する書類
「申請人が勤務する日本にある機関の概要を明らかにする次のいずれかの資料」として、
(1)勤務先等の沿革、役員、事業内容等が詳細に記載された案内書(パンフレット等) 1通
(2)勤務先等の作成した上記(1)に準ずるその他の文書 1通
(3)登記事項証明書 1通
の提出が求められています。後で説明する「技能」の在留資格のように、規模や経営状態によってカテゴリー分けされておらず、提出書類もかなり簡素化されていることがわかります。
申請人に関する書類
「技能を証明する以下のいずれかの資料」として、
(1)「公益社団法人日本プロスキー教師協会(SIA)が認定する次に掲げるいずれかの資格を有すること」を証明する資料
アルペンスキー・ステージⅠ / アルペンスキー・ステージⅡ / アルペンスキー・ステージⅢ / アルペンスキー・ステージⅣ
(2)公益社団法人日本プロスキー教師協会(SIA)が上記(1)に掲げるものと同等以上と認めるスキーの指導に関する資格を有することを証明する資料
を提出することが求められています。
その他の書類
その他の書類としては、
・在留資格認定証明書交付申請書 1通
・写真 1葉(指定の規格を満たした写真を用意し、申請書に添付して提出)
・返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上、404円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの) 1通
・申請人の活動内容を明らかにする資料として以下のいずれかの資料 1通
1) 雇用契約書の写し及び労働条件を明示する文書の写し(活動の内容、雇用期間、報酬等の待遇を記載したもの)
2) 雇用以外の契約を締結する場合は、当該契約書の写し
の提出が必要となります。
なお、他の在留資格と同様に、「申請いただいた後に、当局における審査の過程において、上記以外の資料を求める場合もありますので、あらかじめ御承知おき願います。」という文言が、出入国在留管理庁のホームページには書かれているため、ここに記載されている書類を提出すれば、許可が保証されているというものではありません。逆に、明記されている書類しか提出しなかった場合には、受理後、審査機関中に、出入国在留管理庁から追加書類の提出や追加説明を求められる文書が届くことも想定されます。審査官が説明不足だと思ったり、疑わしい、と思った場合に、不足点を補ったり、疑念を払しょくするために、その申請が本当のものであると証明できる追加書類を提出しなければならないのです。これを避けるためにも、当初から十分な説明書類を準備して提出することをお勧めしています。例えば、雇い入れ企業の規模や経営状態に合わせて追加書類をあらかじめ作成して提出することで、審査をスムーズに進めることが出来ると思われます。
技能ビザを取得する場合
次に、技能ビザ(在留資格)に関して、どのような人が該当するのでしょうか?
スキーの指導に係る技能について三年以上の実務経験を有する者
(外国の教育機関においてスキーの指導に係る科目を専攻した期間及び報酬を受けてスキーに従事していた期間を含む。)
こちらは、スキー指導3年以上の実務要件を証明することになるのですが、体育大学やスポーツ専門学校などでスキーの指導科目を履修していた期間も含まれます。ただし、シーズンスポーツというスキーの特性上、通年で指導はできず、冬の降雪期の3~4か月程度しか稼働することができないため、3年間(=36か月)以上の実務経験を積むためには、相当の年数が必要になります。
スキー選手としてオリンピック大会,世界選手権大会その他の国際的な競技会に出場したことがある者
これに関しては、世界選手権などの出場歴という実績要件を証明することになるのですが、あくまでも出場歴ですので、順位や入賞歴を問われているものではありません。
これらの要件を満たす外国人が、企業などとの契約(派遣やフリーランスを含む)を締結し、同じ仕事をする日本人と同等以上の報酬を得ることで、「技能」の在留資格を申請することができます。
申請に必要な書類
申請の際に必要な書類に関しては、大きく分けて、①所属機関(雇用する会社や組織)に関する書類と、②申請人に関する書類 に大別されます。
所属機関に関する書類
「技術・人文知識・国際業務」のように、所属機関をカテゴリー1~4に分けて、それぞれ必要な書類を定めています。
カテゴリー1:上場企業、保険業の相互会社、国や地方公共団体、独立行政法人 など
カテゴリー2:「給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収額」が1000万円以上の企業
カテゴリー3:「給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収額」が1000万円以下の企業
カテゴリー4:カテゴリー1~4に該当しない企業
それぞれのカテゴリーによって、申請の際に提出が必要とされている書類が異なります。経営の安定度や信頼度が低くなるにつれ、外国人労働者を雇い入れても問題ない、ということを証明するための書類を多く提出しなければならず、その準備に手間と時間が掛かります。
カテゴリー1の会社では、
・「四季報の写し」若しくは「証券取引所の上場を証明する文書」を追加で提出すれば良いとされています。(これ以外でも代替できる書類もあります)。
これが、カテゴリー2の企業になると
・「前年分の給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表」の提出が必要になります。
さらに、カテゴリー3になると、
・前年分の給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表
・外国人労働者の活動内容を明らかにする書類として、例えば「労働条件通知書」
・外国人労働者の学歴や職歴などを証明する文書として、例えば「履歴書」や「学歴・職歴などを証明する文書」
・登記事項証明書
・企業の事業内容を説明するための、「会社案内パンフレット」
・直近年度の決算文書
と、提出する書類の種類や分量が増えてきます。
カテゴリー4の会社に関しては、「前年分の給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表」が出せず、上場していない会社ということで、起業してから1年未満の会社、と考えて頂くのが、一番分かり易いと思われます。(もちろん、他にもこのカテゴリーに該当する会社もあります)。
そのために、「前年分の給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表」が提出できないことを説明する書類が求められます。また、新設会社や新規事業であれば、事業計画書を提出して、今後の経営計画や見通しを明示することによって市外国人労働者を雇用する必要性を証明していきます。
申請人に関する書類
・スポーツの指導に係る実務に従事していたことを証明する文書(外国の教育機関において当該スポーツの指導に係る科目を専攻した期間及び報酬を受けて当該スポーツに従事していた期間を含む。)
・選手としてオリンピック大会、世界選手権大会その他国際的な競技会に出場したことを証明する文書を提出します。
技能ビザのまとめ
技能ビザでスキーインストラクターを採用しようと考えた際には、まずは、その企業がどのカテゴリーに該当するかを確認することから始めます。そしてカテゴリーに応じた書類を準備することになるのですが、ここで、出入国在留管理庁のホームページに記載されている必要書類の「罠」に関してお伝えしなければならないのです。この、必要書類は、「申請を受理する」、つまり窓口で書類を提出した際に、係の方が受理してくれるという最低限度提出しなければならない書類一覧になっています。これは、そこに記載されている書類を提出すれば、許可が保証されているというものではありません。逆に、明記されている書類しか提出しなかった場合には、受理後、審査機関中に、出入国在留管理庁から追加書類の提出や追加説明を求められる文書が届き、その対応に慌てることが多いようです。これは、国際結婚の際の配偶者ビザの申請や、永住ビザ申請の時と同じ様に、審査官が説明不足だと思ったり、疑わしい、と思った場合に、不足点を補ったり、疑念を払しょくするために、その申請が本当のものであると証明できる追加書類を提出しなければならないのです。この、追加書類の提出依頼が来ると、審査がいったんストップしますので、審査結果が出るまでの期間がどうしても長くなってしまいます。特に急いでいる場合は、勤務開始日に間に合わなかったり、企業の事業計画に影響を与えたりする可能性があります。これを避けるためにも、当初から十分な説明書類を準備して提出することをお勧めしています。カテゴリー1・2の企業であれば、3と同じ程度の書類を準備すること。また、カテゴリー3の会社でも決算状態が良くない場合は、4のみで必要となる事業計画書を予め作成して提出することで、審査をスムーズに進めることが出来ると思われます。特に、事業計画書に関しては、場合によってはカテゴリー1、2の企業でも提出したほうがよりよい場合もあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
スキーインストラクターは、「特定活動50号」、若しくは「技能」2つのビザのうちどちらかを選んで申請できるようになりましたが、どちらも審査のポイントは、申請人がビザの要件を満たしているか、と受入れる企業の安定性や職務内容の信ぴょう性が問われます。これらを提出書類の中で明確に説明することが、スムーズに許可を得るためのポイントとなります。
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