ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、競走馬の調教師など厩務員として働くためのビザは、どのような人が取得できるのか?に関して解説をしていきます。

競走馬の調教師として働くためのビザは?

外国人の方が、日本で競走馬の調教師など厩務員として働くためには、「技能ビザ」を取得しなければなりません。技能ビザに関しては、それぞれ専門の技能分野によって、1号から9号に分かれています。その中でも、一番私たちの日常生活に身近なものは、1号の「調理」、つまり、外国料理のレストランでコックさんとして働く調理師のビザになります。競走馬の調教師は、「技能ビザ5号=動物の調教に係る技能」に該当することとなります。

どのような人が技能5号のビザを取得できるのでしょうか?

現在日本にある29種類のビザ(在留資格)では、基準適合性、つまり、ビザを申請する人が適合していなければならない基準、が定められています。技能5号ビザに関しても、その基準が定められていますので、その項目をこれから確認していきます。

日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

これに関しては、技能1号から9号に共通しており、また、「技人国」や「教育」、特定活動46号」等、他の就労系ビザの基準適合性にも書かれている非常に重要な要件です。日本人が同等の業務に従事した場合の報酬と、同額以上である必要があります。外国人を雇用する大前提として、外国人であることを理由に、低い報酬や待遇面での差別的な扱いをしている場合にはビザを取得することはできません。

動物の調教に係る技能について十年以上の実務経験を有するもの

これは、日本に渡航する前に、現地で競走馬の調教師として10年以上の実務経験を積んでいる必要があります。この10年には、外国の教育機関において動物の調教に係る科目を専攻した期間を含めることができます。例えば、2年間厩務員育成専門学校に通い、調教の技術を習得したのちに、8年間調教師として育成牧場などに勤務したような方が該当します。この10年間の実務経験に関しては、1つの牧場や施設で10年以上の勤務でも、複数の施設での勤務を合算して10年間というカウントでも構いません。また、途中に離職期間があり、キャリアが中断している場合であっても、合計して在職期間が10年以上になる在職証明書が取得できれば問題ありません。

動物の調教の技能を要する業務に従事するもの

競走馬の調教師として技能ビザを取得するためには、来日後の勤務先の業務に関しては、何でもよいということではありません。競走馬の調教師としてビザを取得し、雇用する以上、その技能・技術を要する業務に従事しなければなりません。

よって、動物の調教師だからと言って、犬の訓練や調教を行うドックトレーナーとしての勤務はできませんし、競走馬の調教に関連しない業務に従事することもできません。この点に関しては技能5号ビザの申請に際して、雇用する外国人の方の職務内容の信ぴょう性をどのように証明していくか?にかかってきます。もちろん、必要書類の一つである雇用契約書に、職務内容を具体的に記載することは大前提として必要なことです。さらに、それ外にも、育成している馬の頭数や牧場・施設の広さや概要、現在雇用している調教師の数などを、雇用理由書に具体的に記載することで、新規に調教師を雇用する必要性を説明します。また、牧場や調教施設、飼育している馬の写真など、記載内容が事実であることを具体的に証明できるような写真も添付していきます。これらは出入国在留管理庁のホームページに記載されている、必要書類一覧には記載されていませんが、勤務内容の信ぴょう性を具体的に立証するためにも、あらかじめ提出することが強く推奨されます。

実務経験の証明方法に関して

技能5号ビザは、他の就労系ビザとは異なり、ビザを取得するためには、学歴や年齢制限、その他資格など申請人に関する条件はなく、唯一最も重要な申請人の条件は「10年間の動物の調教師としての実務経験」のみとなります。これをどのように証明するかが、調教師としての技能ビザの取得可否を決める重要なポイントとなります。

過去に在籍していた勤務先から発行される在職証明書によって実務経験を証明します。通常、調教師として勤務する牧場や育成施設は一般企業なので、在職証明書は結婚証明書や出生証明書等のように、その国の役所が公的に発行するものではありません。よって提携の書式が決まっているわけではなく、ビザ申請に必要な情報が網羅されていないと、実務経験が正しく証明できなくなってしまいます。具体的には、「名前」「性別」「生年月日」といった勤務者の個人を特定できる情報と、勤務先を特定するための情報として、「牧場や施設の名前」「住所」「電話番号」と「職務内容」、そして最も重要な在職期間は、勤務開始日と勤務終了日の2つの年月日が記載されている必要があります。

なお、牧場や競走馬育成施設は一般企業であるが故に、既に廃業してしまっていたり、経営者が変わってしまい、過去の在職証明書が発行できない場合もよくあります。残念ながら、このように在職証明書を提出できない期間に関しては、実務経験の10年にカウントすることはできず、これによって、証明できる実務経験が10年を下回る場合に関しては、技能ビザの要件を満たしていないこととなってしまいます。

まとめ

どのような人が厩務員、競走馬の調教師として技能ビザ5号を取得できるのか?について解説をしてきました。申請する外国人と雇用する施設で、申請の要件として重要なポイントは、それぞれ1つずつあります。

申請人に関して:競走馬の調教師として10年以上の実務経験があり、これを在職証明書によって証明できること。

★雇用する施設に関して:競走馬育成施設であり、そこでの職務内容を雇用理由書や写真などで具体的に証明できること。

となります。申請にあたっては、この点をまず抑えたうえで、それぞれの要件を証明する書類や資料を収集して、経歴と職務内容の信ぴょう性を説明していきます。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、就労ビザ取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。