ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。

私は主に、北海道の宿泊業や観光業で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの、新規取得や更新手続きのお手伝いを行っています。

今回は、就労系在留資格の中でも、高学歴、高専門性、高収入の外国人材が取得できる在留資格の高度専門職ビザの、1号から2号に変更する際のポイントに関して解説をしていきます。

はじめに 高度専門職ビザとは

「高度専門職」とは、高度人材を外国から招聘するために、ポイント制度を用いた出入国在留管理上の優遇制度で、2012年5月に開始されました。就労系在留資格のうち、「教授」、「研究」、「技術・人文知識・国際業務」、「経営・管理」等、いわゆる事務系のホワイトカラーの職務内容を行う在留資格を取得するような外国人の方で、「学歴」・「年収」・「職務経験」・「年令」等の基準をポイントにして、ある一定の基準を満たしている特に優秀な方を優遇するために作られた在留資格です。

高度専門職2号とは?

高度専門職1号のビザを取得後、その活動を3年間継続した方が移行できるのが、高度専門職2号となります。1号の在留期間は5年間なので、5年間の在留期間満了日を待たずに、在留期間が2年間残っている時点でも、2号に移行できます。

1号から2号への移行手続き

高度専門職1号から2号への変更は、同じ高度専門職であっても在留資格変更という手続きになることから、「在留資格変更許可」の申請を行うこととなります。高度専門職1号の期間満了時に、在留期間更新許可申請を行うと、従前と同じ高度専門職1号のままで期間が更新されます。2号への移行を希望する場合には、「在留資格変更許可」の申請になりますので注意が必要です。

どのような人が2号に移行(変更)できるのか?

出入国在留管理庁のホームページには、以下の6つの要件が記載されています。

1 申請人が行おうとする活動について、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」といいま す。)別表第一の二の表の「高度専門職2号」の活動に該当すること。

2 入管法別表第1の2の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令第1条の規定を適 用して計算したポイントの合計が70点以上であること。

3 「高度専門職1号」又は高度外国人材としての「特定活動」の在留資格をもって本邦に3年以上在留して当該在留資格に該当する活動を行っていたこと。

4 素行が善良であること。

5 当該外国人の在留が日本国の利益に合すると認められること。

6 申請人が本邦において行おうとする活動が我が国の産業及び国民生活に与える影響等の 観点から相当でないと認める場合でないこと。

要件の1~3によると、

①まずは、高度専門職の在留資格を持って3年以上日本に在留していて、この在留資格に該当する職務内容の仕事を行っていた人。

②そして、この人がこれから先も、高度専門職の在留資格に該当する職務内容の仕事と、これに付随していくつかの在留資格で定められた職務内容の仕事を行うこと。

③さらに、高度専門職ポイント計算表で確認をすると70ポイント以上あること。

の3つが要件としてのポイントとなります。

そして、人物的な要件としては、4~6によると、

素行が善良で、その人が日本にいることが国益に合致し、活動内容が国の産業や国民生活に悪影響を与えない人。

といった、職務内容と人物的な要件を満たした人が、高度専門職2号に変更できるとされています。

「素行が善良な人」ってどんな人?

永住申請や日本国籍取得の際の要件にも、「素行が善良であること」という項目があります。今回の高度専門職2号への変更要件でも、また同じ言葉が出てきました。この表現は非常に抽象的でわかりづらいのですが、出入国在留管理庁の指示する提出書類をみると、どのような人を「素行が善良である」と定義しているのかがわかってきます。

税金をきちんと支払っていること

 「過去5年間の申請人の納税状況を証明する資料」の提出が必要とされています。具体的には、「住民税」と「国税」の納付状況を証明する資料で、納付期限内に適切に支払いを完了していることが求められています。

税金支払いの裏付けとなる所得が証明できること

「所得を証明するもの」の提出が求められ、具体的には、預金通帳の写しが挙げられています。

公的年金の保険料を支払っている人

直近の過去2年間加入している「公的年金の納付状況を証明する資料」が求められています。

公的医療保険に加入して保険料を支払っている人

直近の過去2年間加入している公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料が求められています。これに併せて、健康保険証のコピーの提出も必要です。

といった具合に、税金・年金・健康保険の3つの義務を適切に果たしている必要があります。

また、「在留資格変更許可申請書」には、「犯罪を理由とする処分を受けたことの有無(日本国外におけるものを含む)※交通違反等による処分を含む。」を記載する欄もあります。これに関しては、永住等の在留資格変更時と同様に、「日本の法令違反を行い、懲役・禁固・罰金刑に処されたことがないこと」と、「日常生活上・社会生活上、違法行為、違反行為や風紀を乱す行為を繰り返し行っていないこと」が、素行が善良であることに該当すると言えます。目安と言っては何ですが、軽度な交通違反を5年間で5回以内、もしくは、直近2年で3回以内の方であれば、この項目が問題になることはないと言えます。

高度専門職2号に変更するメリットは?

一番の大きなメリットは、在留期間が無期限となることです。日本にある29種類ある在留資格のうち、在留期間が無期限なのは、「永住」と「高度専門職2号」の2つのみです。これ以外の、高度専門職1号の優遇措置である、「永住申請時の要件緩和」、「配偶者の就労」、「親の帯同」、「家事使用人の帯同」、「入国・在留手続の優先処理」にといったメリットも引き続き継続されます。

まとめ

高度専門職2号について、1号から変更する際の要件を中心にまとめてみました。高度専門職1号として3年日本に在留していれば、1号の在留期間満了を待たずに変更ができること。そして、変更後の在留期間が無期限になることが、非常に大きなメリットと言えます。また、永住の在留資格とは異なり、親や家事使用人の帯同が一定の条件下でできることもメリットとなります。もちろん、高度専門職ポイント計算表の点数が70点以上であったり、最低年収要件もありますが、高度専門職として3年が経過した際には、2号への移行手続きをされることがおススメです。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として生きていこうとする、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、高度専門職への在留資格変更に関しての条件面、手続き面、ポイント計算に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。