ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

近年の、日本社会のグローバル化に伴い、日本の企業で働く外国人の方の数は増えています。外国人の方が日本の職場で働き、出会いが増えれば、日本人従業員の方との社内恋愛・そして結婚をされる方も増えてきております。そんなわけで、当事務所では、国際結婚の手続き、「日本人の配偶者等」の在留資格(ビザ)の取得に関するお問い合わせも、たくさんいただいております。

今回は、「日本人の配偶者等」の在留資格の取り消しになる場合について解説していきます。

はじめに

在留資格「日本人の配偶者等」は、外国人の方が日本人と結婚をして、日本人の「夫」または「妻」という身分を得たことによって与えられるものです。また、その活動目的は、夫婦としての実態のある生活をすることです。例えば、離婚をしてしまった場合などは、夫婦生活を送ることができませんので、在留資格に該当する活動ができない状態になっています。この状態が6か月以上継続する場合は、法務大臣は「日本人の配偶者等」の在留資格を取り消すことができるのです。では、具体的にはどのようなケースが当てはまるのか、一つずつ見ていきましょう。

「日本人の配偶者」の在留資格が取り消されてしまう場合

日本人配偶者と離婚をした場合

一番わかりやすい例が、日本人と離婚をしてしまうことです。法律的にも夫婦でなくなることから、日本人の配偶者としての身分を失ってしまうこととなり、この在留資格の要件に該当しなくなってしまいます。

実態のある結婚生活が継続していない場合

これは、まだ離婚をしていなくても、外国人の方が家を出てどこかに失踪してしまったような場合が該当します。法律的には結婚をしていても、同居して実態のある夫婦としての活動を行っていない場合は、在留資格に該当する活動していないということになります。在留資格の更新の際に、既に別居してしまっている方が、とりあえず書類だけを揃えて申請すれば大丈夫、という方も稀にいらっしゃいますが、出入国在留管理庁には調査部門もあるため、提出書類などに不審な点がある場合は、詳細を調査され更新が不許可になることがあります。

日本人の配偶者と死別をした場合

日本人の配偶者の方が先にお亡くなりになってしまう場合です。この場合にも、6か月以内に在留資格を変更しないと、引き続き日本に居住することが出来なくなってしまいます。変更できる在留資格は、申請人の方の結婚年数や日本居住歴、職歴や学歴によって異なりますので、それぞれの方の状況を確認の上で、一番良い在留資格を選択して手続きを行います。

ここまでは、「日本人の配偶者等」の在留資格固有の身分や活動内容に反する状態になったために、在留資格を失うケースです。ここからは、在留資格を持って中長期に日本に滞在する方が該当する取消理由になります。

再入国・みなし再入国の有効期間内に再入国しなかった場合

日本出国時に、みなし再入国の手続きのみで出国した場合、再入国の有効期間は1年間となります。また、再入国手続きで出国した場合の、再入国の有効期間は最長で5年間(もしくは在留資格の有効期限まで)となります。この期間内に再入国ができない場合には、在留資格を失うこととなります。なお、再入国許可に関しては、最長で1年間の延長が可能ですが、みなし再入国手続きの場合、延長をすることはできません。

過去に、偽装書類や虚偽申請によって入国して在留許可を受けたことが発覚した場合

これは、入国時に偽造パスポートを使って別人に成りすまして入国し、在留資格を得たような場合が該当します。最近では、渡航書類がデジタル化されたり、ICチップが搭載されたりしているので、このような偽造書類での出入国や在留許可を取得する犯罪は少なくなってきてはいますが、出入国関連の犯罪が発覚した場合には、在留資格が取り消されることとなります。

重大な犯罪を犯してしまい、刑罰に処された場合

いろいろな種類の犯罪がありますが、退去強制処分になるような犯罪を犯した場合に、「日本人の配偶者等」の在留資格は取り消しをされてしまいます。具体的には、

 ・無期、または1年を超える懲役、若しくは禁錮に処されたもの(執行猶予処分の対象者は除く)

 ・麻薬、向精神薬、大麻、覚せい剤等に関連する犯罪を犯したもの

 ・売春や人身売買に関連する犯罪を犯したもの

 ・外国人の不法就労幇助などの犯罪を犯したもの

が該当します。これらの場合は、在留資格の取り消し処分だけでなく、国外への退去強制処分ともなり、処分の日から原則5年間、最長で10年間は日本に再入国が出来なくなってしまいます。

まとめ

「日本人の配偶者等」の在留許可を持つ方は、日本人の「夫」または「妻」として、夫婦生活を行うことを主な活動内容として与えられるものです。よって、離婚・死別・理由なき別居によって6か月以上夫婦としての活動を行っていない場合は、在留資格が取り消される場合があります。これらに該当する状態になった場合には、早めに在留資格の変更手続きを行ってください。時間が経てば経つほど、その間にどのような活動をしていたかを説明する必要があり、また、不法/違法な活動を行っていなかったかという嫌疑を審査官に持たれることから、許可を得ることが難しくなります。配偶者との離婚や死別では、生活環境の変化や心情的にも辛いことが重なりますが、日本での在留を続けるためには、在留資格の変更や更新は早めに確実に行うようにして下さい。

行政書士あけやま事務所は、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として生きていこうとする、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、在留資格「日本人の配偶者」の取得・更新に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。