ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。
私は主に、北海道の宿泊業や観光業で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの、新規取得や更新手続きのお手伝いを行っています。近年の、日本社会のグローバル化に伴い、日本の企業で働く外国籍の方の数は増えています。外国籍の方が日本の職場で働き、人との出会いが増えれば、日本人従業員の方との社内恋愛・そして結婚をされる方も増えてきております。そんなわけで、当事務所では、国際結婚の手続き、日本人の配偶者等の在留資格(ビザ)の取得に関するお問い合わせも、たくさんいただいております。 今回は、外国人配偶者が日本国外にいる場合、いわゆる「日本への呼び寄せ」を行う際の、「日本人の配偶者等」のビザを取得することが難しくなる2つの場合に関して解説します。
ポイント1:ご夫婦が実際に会った回数が極端に少ない場合
一般的に、日本国外に住んでいる外国人配偶者を呼び寄せる場合、従来一般的には、国際結婚紹介所や、いわゆるお見合いツアーでの出会いだったり、最近ではマッチングアプリで出会ったりして、結婚を決められる方がいます。このようなケースでよく見られるのは、出会ってから結婚するまでに、実際に対面した回数が非常に少ないということです。例えば、日本人の方が海外でのお見合いで1回会って、その日のうちに結婚を決めた場合や、Zoom等、オンライン上ではコミュニケーションをとっているが、実際に対面したことがないといったケースです。このような場合、出入国在留管理庁の審査官は、「会った回数がこんなに少ないのに、結婚して大丈夫なの?」、そして、「なんで結婚するの?」と、率直に感じると思われます。皆さんも、ご自身が1回しか会ったことがない方と結婚をするとお友達に話をしたとしても、恐らく、同じようなリアクションや、コメントをもらうのではないかと思います。そして、審査官の人は、「お互いのことをよく知らない(だろう)間に結婚を決めたのは、好きで愛し合って結婚するのではなく、もしかしたら、別の目的(お金?ビザ?)があるのかもしれない」。ということは、この結婚は、いわゆる偽装結婚かもしれない。というような構図で、この結婚は本当のものではないという判断をしてきます。
実際に会ったことが少ない夫婦が結婚しようとする場合には?
実際に会ったことが少ないご夫婦が、「日本人の配偶者等」のビザ申請で許可を得るために大事なことは、形式的なことかもしれませんが、とにかく会う回数を増やすことです。これは、入籍をした後でも構いません。ビザ申請を行うまでの間、交際の実績を証明するために、お互いの国を行き来し、その証拠になるような記録(写真)等を残しておくことが必要です。また、結婚式に関しても、この2人の結婚を実態のある形として、親戚や友人に見せる機会になりますので、親や兄弟だけの小さなパーティーだったとしても、また、写真だけであったとしても、やったほうが良いでしょう。実際に会う頻度が少なかったとしても、お互いの意思疎通がきちんとできていることを証明するために、E-mailやLineの会話記録だったり、通話アプリの通話履歴が分かるようなものをきちんと残しておき、添付資料として提出すると、ご夫婦の関係を客観的に証明することが出来ます。
ポイント2:呼び寄せる日本人側の経済状態が良くない場合
日本国外から外国人配偶者を呼び寄せる場合、来日前に仕事が決まっているということは稀で、日本に来てから就職活動をして職場を決めて、働き始めるということがほとんどかと思われます。仕事が決まるまでの間、当然収入がありませんので、その間に夫婦で生活をしていくだけの十分な経済的な基盤があることが求められます。ところが、経済的な基盤がないにもかかわらず、外国人配偶者を呼び寄せて「日本人の配偶者等」のビザを取得しようとした場合、出入国在留管理庁の審査官は、「最初から働くことが前提になっているということは、既に働く場所が決まっているのかもしれない。もしかしたら日本で仕事をするためのビザを取得するためだけに結婚するのではないか?」ということは、この結婚は、いわゆる偽装結婚かもしれない。というような構図で、この結婚は本当のものではないという判断をしてきます。
日本人側の年収はどれくらい必要?
もちろん、日本人配偶者の方が定職についていて、定期的な収入があれば問題はありません。この収入の額は、出入国在留管理庁側に、一定の基準額があるということはなく、それぞれの夫婦で状況が異なるため、必要な金額も異なるはずですが、とにかく、普通の生活が維持できるレベルであれば大丈夫です。もし、日本人配偶者が申請時に無職だったり、既に年金生活を行っていたり、という場合は、収入以外に生活を維持できる経済的な基盤があることを証明することが必要となります。例えば、預貯金があって当面の生活費は問題がないということだったり、自宅が持ち家で家賃が掛からないことや、投資用不動産を持っており家賃収入で生活費を賄える、といったことを証明するというのも一つの方法です。若しくは、日本人配偶者のご両親がまだ健在で在職中の場合は、身元保証人になってもらったり、両親の収入も少ない場合は、兄弟姉妹にも保証人になってもらったりするなど、夫婦の生活が維持できる経済的な基盤があることを、客観的に証明をしていく必要があります。
まとめ
海外に住んでいる結婚相手を呼び寄せて、「日本人の配偶者等」のビザを取る際の注意すべき点を解説してきました。なお、これらの事情とは異なるケースとして、ここ2-3年は新型コロナウィルスの影響による特殊事情で、もともと日本に住んでいた外国人の方が一時帰国をされている間に、各国の出入国制限が厳しくなり再入国が出来なくなってしまった、というケースも見られます。現在、出入国の規則に関しては、有効期限の延長など、様々な特例措置が取られているので、ご自身がどのような方法を採ったら一番良いのかは、出出入国在留管理庁のホームページで詳細を確認してください。
ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて愛し合い、幸せな家庭を気づきたいと思うご夫婦を、全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、私たちは国際結婚できるの?といった条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。