ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

近年の、日本社会のグローバル化に伴い、日本の企業で働く外国人の方の数は増えています。外国人の方が日本の職場で働き、人との出会いが増えれば、日本人従業員の方との社内恋愛·そして結婚をされる方も増えてきております。そんなわけで、当事務所では、国際結婚の手続き、日本人の配偶者等の在留資格の取得に関するお問い合わせも、たくさんいただいております。

今回は、「日本人の配偶者等」の在留資格を申請した際に、審査のポイントになると思われることを解説していきます。申請人に在留資格を与えるかどうかは、最終的に出入国在留管理庁(法務大臣)の判断になりますし、また、厳密な審査基準や不許可になった理由は公表されていないので、今回の記事の内容に関しては、あくまでも過去の事例や経験則に基づいた、個人的な見解となる旨、予めご了承ください。

はじめに 「日本人の配偶者等」の在留資格の審査のポイント

この在留資格の審査の重要なポイントになると思われることは、大きく3点あります。

  1. 結婚の信ぴょう性 = 本当の結婚かどうか? 
  2. 経済的基盤 = 2人の生活を維持できる収入などがあるか?
  3. これまでの在留状況 = 違法·不法な状態はなかったかどうか?

です。1つずつ細かく見ていきましょう。

結婚の信ぴょう性 = 本当の結婚かどうか?

まず第一に、「結婚の信ぴょう性」に関してですが、ストレートな言葉でいうと「偽装結婚」ではないか?ということになります。ご夫婦がお互い好きで愛し合っているという、形のない目に見えないものを、書類を作成し提出するといった手続きで他人に分かる状態にするのが結婚だと言えます。よって、結婚の実態がないにもかかわらず、お金や在留資格のためだけに、書類上の体裁を整えて結婚の手続きをする夫婦もいるようです。

では、審査官はどんな夫婦の申請を、「信ぴょう性がある、つまり本物の結婚」だと判断し、逆に、「怪しい、つまり偽装結婚だ」と判断するのでしょうか?ここでは、怪しいと思われるケースの方が分かり易いので、行くいつか例を挙げていきます。
例えば、

  • 入籍までに2人が合った回数が極端に少ない
  • 結婚相談所やお見合いであってすぐに結婚を決めている
  • 夫婦の年齢差が大きく離れている
  • 夫婦の一方どちらかが極端に高齢
  • 結婚·離婚を繰り返している

等が上げられます。少し偏見が入ってしまうかもしれませんが、上にあげたような夫婦は、たとえ日本人同士であったとしても、「本当に大丈夫?」と思うかもしれません。例えば、皆さんの友人で、28歳初婚の男性Aさんが、25歳の女性と結婚するという報告を聞いた時と、50歳のバツ2の男性Bさんが、25歳初婚の女性と結婚すると聞いた時の気持ちを想像し、比べてみてください。明らかにBさんのケースの方が驚きは大きく、「えっ、本当に大丈夫なの?そもそもどうして結婚することになったの?」ということが気になるはずです。出入国在留管理庁の審査官の方も、恐らく同じような気持ちになります。

そこで、審査官の持つであろう疑問点、「そもそもどうして結婚することになったの?」ということに関しては、申請書類の中の「理由書」に具体的に記入をし、また、出会いから入籍に至るまでの交際の記録を、写真やLine、メールなどお互いの意思疎通が分かるものを提出することで、客観的に証明してきます。そうすることで、「本当に大丈夫なの?」という疑いを晴らし、本当の結婚であるということを証明する必要があります。

経済的基盤 = 2人の生活を維持できる収入などがあるか?

次に、「経済的基盤」に関してですが、せっかく結婚をしても2人の生活が維持できるだけの収入などが無ければ、結婚を維持することはできません。そのために、夫婦どちらかが定職についていることや、2人で生活をしていけるだけの収入等があるかどうかを、客観的な資料を提出して証明をしていきます。具体的に年収がいくら以上なければ不許可になる、といった基準はなく、それぞれの夫婦の状況によって、毎月必要なお金は違ってきます。あくまでも生活が維持できるということが、審査のうえで重要なポイントになってきます。ここで、審査官が、経済的な基盤に関して問題があるのでは?と思うだろうポイントとしては、

  • 年収が200万円以下等極端に少ない
  • 現在失業中、若しくは、就職活動中で仕事をしていない
  • 年金収入のみ
  • 就職してから半年程度しかたっていない

等が上げられます。少し偏見が入ってしまうかもしれませんが、皆さんの友人の中で、失業中の方が結婚したと聞いた場合、「生活していけるの?本当に大丈夫なの?」と思うはずです。出入国在留管理庁の審査官もそのように思い、結婚状態が続けられるのかを疑われてしまいます。

このような、経済状態に対する疑いに対しては、例えば

  • 収入のある親や兄弟に身元保証人になってもらう
  • 預貯金や株、金融資産などで、当面の生活費には問題ないことを説明する
  • 不動産を所有していて、家賃が掛からないため収入が低くても生活が出来ることを示す
  • 就職が決まっていれば、雇用契約書などを提示し、収入が見込めることを説明する

といったことをすることで、夫婦2人で生活をしていけるということを客観的に説明することで、審査官の経済面に対する疑念を払しょくしていきます。

これまでの在留状況 = 違法·不法な状態はなかったかどうか?

最後は、外国人配偶者側のこれまでの在留状況に関して。過去に違法·不法な在留状況にあった人や、法律違反や犯罪行為をしてしまった人に関しては、残念ながら、これから先も日本の法律を守って、適切な状態で在留してくれるかどうか、審査にあたって出入国在留管理庁の審査官は疑問を持つと思われます。
例えば、

  • 資格外活動違反(留学生で週28時間の上限を超えての就労等)がある方
  • 必要とされる届出(転職時の届出等)を適切に行っていなかった方
  • 過去、退去強制歴や、オーバーステイによる自主出国歴のある方
  • 罰金刑や拘留などの犯罪歴のある方(交通違反なども含む)

等が上げられます。これも偏見が入ってしまうかもしれませんが、皆さんの友人が、過去警察のお世話になった方と結婚すると聞いたときに、「本当に大丈夫?」と心配される方も多いと思われます。出入国在留管理庁の審査官もそのように思い、「日本人配偶者等」のビザを許可しても、日本社会で正しい社会生活を送るかどうか不安に思います。

このようなケースの場合には、まず、過去の事実を隠さず、偽らず、理由書に正確に記載すること。そして、今後は、夫婦で日本の法律を守り、適切な在留状態を維持するよう心掛ける旨を誓約する、ということで、今後の生活に関して、審査官の疑念を払しょくしていということになります。

まとめ

今回は、「日本人の配偶者等」の在留資格を申請した際に、審査のポイントになると思われる、「結婚の信ぴょう性」「経済的基盤」「過去の在留状況」について解説し、考えられる対処方法をお伝えしてきました。「日本人の配偶者等」の在留資格の申請は、ご自身でも手続きは可能ですが、今回記載したような3つの審査ポイントに関して、例として挙げた項目に当てはまる方、また、申請書·理由書の作成に関して不安点がある方は、お近くの行政書士に相談されることをお勧めいたします。

行政書士あけやま事務所は、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて愛し合い、幸せな家庭を気づきたいと思うご夫婦を、全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、私たちは国際結婚できるの?といった条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。