ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。

私は主に、北海道の宿泊業や観光業で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの、新規取得や更新手続きのお手伝いを行っています。

日本社会のグローバル化に伴い、日本の企業で働く外国籍の方の数は増えています。外国籍の方が日本の職場で働き、人との出会いが増えれば、日本で結婚をされる方も増えています。そんなわけで、当事務所では、国際結婚の手続き、日本人の配偶者等の在留資格(ビザ)の取得に関するお問い合わせも、たくさんいただいております。

今回は、留学生と結婚し「日本人の配偶者等」のビザを取得する際に確認した方が良いことについて解説します。

留学ビザからの配偶者ビザへの変更

日本に住んでいる留学生は、通常「留学」のビザを持っています。このビザを、結婚した後に「日本人の配偶者等」のビザに変更をすることは可能です。そのために、正式名称では「在留資格変更許可申請」という手続きを行うことになります。留学ビザを持っている外国籍の方が、「日本人の配偶者等」のビザへの変更申請を行おうとする場合には、どのようなことを確認した方が良いのでしょうか?重要なポイントを2つお伝えします。

確認すべきポイント1:資格外活動違反がないか?

まず1つ目、資格外活動違反がないかを確認します。留学ビザでは、「教育を受けること」が許可されている活動ですので、原則として働いてお金を稼ぐことはできません。しかし、資格外活動許可申請を行い、それが認められることによって、週28時間まで報酬をもらって働いたり、事業を運営することが可能になります。週28時間、つまり1日4~5時間程度しか働けないため、留学生の中には、勤務先を複数掛け持ちするなどして、週28時間を超えて仕事やアルバイトをしている、つまり、オーバーワークの学生もいるようです。

では、出入国在留管理庁の審査官は、外国人配偶者の方が週28時間以上働いていたかを、どのようにチェックしているのでしょうか? 申請書類一式を提出し審査が行われている際に、「資料提出通知書」が届き、追加書類の提出を依頼されることがあります。その中で、まずは「年間の所得を証明する資料」として、「住民税課税証明書」「住民税納税証明書」の提出を求めてきます。これには、1年間の総所得額と住民税額が書かれています。この1年間の総所得額を、週28時間×52週で割ると、1時間当たりの所得金額が算出されます。これが、一般的なアルバイトの時給の範囲内、例えば、900円~1,500円程度であれば、週28時間以上働いているという疑いの余地はないはずです。しかし、この計算から算出される金額が、5,000円とか10,000円以上といった、どう考えても一般的なアルバイトの時給を超えている場合には、28時間以上働いているのではないか? もしくは、時給単価の極端に高い風俗営業などの仕事をしていたのではないか?という疑いがもたれます。こう言った疑いをもたれると、更に審査官は「すべてのアルバイト先の給与明細書」、または、「総労働時間のわかる賃金台帳」のコピーを提出するように指示してくることがあります。これらの書類によって、申請人が実際に何時間働いていたのかがわかってしまいます。さらに、勤務先の名前からは、風俗営業など資格外活動許可の範囲を超えた仕事をしていたかどうかも分かってしまいます。

資格外活動違反を指摘された場合に、軽微なものであれば追加書類として「理由書」を提出し、そうならざるを得なかった経緯や、今後、遵法精神をもって生活することを誓う等、反省の弁を記すことによって許可になることもあります。しかし重大かつ悪質な違反であると判断された場合は、在留資格変更申請は不許可になってしまいます。その場合、外国人配偶者の方にはいったん日本国外に出国していただき、在留資格認定証明書を取得して再度日本に呼び寄せるという手続きをとる必要があります。

確認すべきポイント2:在学校での出席状況や成績が良好か?

2点目としては、留学生として在籍している学校での出席状況が良好で、留学ビザの更新に支障がないレベルかどうかを確認してください。出席率に関しては、具体的な数値での基準は設けられていませんが、専門学校や日本語学校の場合、80%以上であればまずは問題ないといわれています。留学ビザが更新できないような留学生が、「日本人の配偶者等」のビザへの変更許可申請をした場合、収入国在留管理庁の審査官は、「留学ビザが更新できないけど、日本に居たいから、とりあえず誰でもいいから日本人と結婚しよう」、と考えたのではないか?という疑い、先入観を持って審査をされるため、不許可になってしまうことが多いようです。

さらに、週28時間以上のオーバーワークに加えて、学校での出席状況不良の2つの悪要素が揃ってしまった場合、審査官は、「この留学生は、留学ビザを取っているが、勉強せずに仕事をする目的で日本に滞在しているのだろう」と判断します。そして、「日本人の配偶者等のビザに変更するのは、本当の結婚をするためではなく、日本で引き続き仕事をするための口実として結婚する、つまり偽装結婚である」という流れで判断されることが多いため、変更が不許可になる可能性が非常に高くなります。

まとめ

このように、ビザの更新や変更の時に、不利な扱いを受けないようにするためにも、在留資格(ビザ)で定められた範囲内の活動をしっかり行う、ということは非常に重要なことになります。特に、オーバーワークは、悪意なく、少しなら大丈夫だろうと軽い気持でついついやってしまう学生もいるようですが、退去強制処分の理由にもなる重大な犯罪であるということを肝に銘じておくと良いでしょう。なお、退去強制処分で出国をした場合、最短でも5年間は日本に再入国できないという、非常に厳しい処分となっています。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて愛し合い、幸せな家庭を気づきたいと思うご夫婦を、全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、私たちは国際結婚できるの?といった条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。