ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

日本で仕事をする外国人の方で、滞在期間が長くなるにつれて結婚をして子供が生まれるなど、生活環境の変化に伴い、このまま日本で生活したいと感じる方もたくさんいらっしゃいます。外国籍の方が、外国籍のままで在留資格の更新など煩雑な手続きをせずに、日本に居住する方法は、「永住」の在留資格を取得するという方法があります。本日は、「永住」の在留資格を取得するために必要な「住居要件」について解説します。

「永住」の在留資格申請に必要な住居要件

申請に必要な居住期間は

法律では、「引き続き10年以上日本に住んでいること」と規定されています。10年以上というのはわかりやすいのですが、「引き続き」という条件がわかりづらいので細かく見ていきます。

「引き続き」の意味

  • 入国してから10年間、1回も出国したことがなく、常に日本に住んでいた方

このような方は、読んで字の通り「引き続き住んでいる」ということになりますので、この要件はクリアしています。

  • 10年間の間に、何回か日本から出国したことがある方

ほとんどの外国人の方は、母国での冠婚葬祭などプライベートな用事だけでなく、勤務先からの命令で業務出張に出たことのある方の方が多く、日本への出入国を何度も繰り返している方も多いと思われます。
このような方の場合には、

  1. 1回あたりの出国日数が、だいたい3か月(90日)を超えない場合、若しくは
  2. 1年の通算の出国日数の合計が、だいたい100日を超えない場合

であれば、その期間に関しては「引き続き」日本に住んでいるとみなされます。

ここで注意すべきことは、②に関しては1回あたりが3か月以内の出国であっても、合計の出国日数が1年間で100日を超えてしまった時点で、それまでの滞在日数のカウントがリセットされてしまいます。例えば、1回あたり30日間の出国を1年間で4回行った場合、1回あたりは90日以内なので①の基準はクリアしていますが、トータルの出国日数が120日になるため、②の基準日数をオーバーしているので、それまでの滞在日数のカウントはリセットされてしまい、再度入国した日から新たなカウントをして5年たたないと、要件を満たさないということになります。

居住期間の在留資格は?

この、引き続き10年間の居住期間の在留資格に関しては、規定があるのでしょうか?10年間のうち、最後の部分、「永住」の在留資格を申請する直近の5年間は、就労系の在留資格を取得して仕事をしている必要があります。この理由としては、「永住」の重要な要件の一つである「独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること」があります。この要件を証明するために、申請の際の必要書類として「住民税の課税証明書」「住民税の納税証明書」「源泉徴収票」の3点に関しては、直近5年分の提出が求められています。よって、これらの申請人の収入額を証明する書類を5年分提出するためにも、就労系の在留資格を持って居住していなくてはならないのです。

なお、就労系の在留資格を取得していれば、正社員でなくても、派遣社員やフリーランスの契約社員であったとしても、また、企業に雇われる形ではなく、自分で起業をして会社経営者となる「経営・管理」の在留資格であっても問題ありません。しかし、「留学」の在留資格で、資格外活動許可を取得して行う、週28時間のアルバイトに関しては該当しません。

住居要件の特例

日本人と結婚した配偶者、永住者の配偶者の場合

日本人との結婚が3年以上継続している場合は、その3年間引き続き日本に居住していれば申請要件を満たすことになります。また、3年以上結婚期間が継続している方で、そのうち、引き続き1年間は日本に居住している場合も同様となります。これは、例えば、海外で結婚生活を2年以上続けていた夫婦が来日し、その後1年間、日本で結婚生活が続いている場合は、永住の申請要件を満たしていることになります。

なお、この場合の結婚の意味に関しては、日本人と実体を伴う結婚をしていて、日本人の配偶者であればよいとされています。よって、「日本人の配偶者等」の在留資格を取得している必要はなく、「技術・人文知識・国際業務」や「留学」といった活動系在留資格で滞在していても問題はありません。

なお、「永住者の配偶者」が「永住」の在留資格を申請する場合も、日本人と結婚した配偶者の場合と同様の居住要件となります。

日本人の実子または特別養子、永住者の実子または特別養子の場合

引き続き1年間、日本に滞在していることが、永住申請の要件となっています。つまり、日本で出生した子供(実子)は、1歳になれば永住の在留資格を申請できるということを意味しています。

なお、永住者の実子または特別養子が「永住」の在留資格を申請する場合も、日本人の実子または特別養子の場合と同様の居住要件となります。

定住者の場合

定住者の在留資格を取得してから、引き続き5年間日本に居住していることは、永住申請の要件となります。

高度専門職の場合

  • 高度人材外国人として、3年以上日本に在留していること。もしくは、「永住」の申請日から3年前の時点を基準として、ポイント計算を行った結果、70点以上80点未満の外国人の方。70点を満たした時点から3年経過したときに、「永住」の申請要件を満たしたこととなります。
  • 高度人材外国人として、1年以上日本に在留していること。もしくは、「永住」の申請日から1年前の時点を基準として、ポイント計算を行った結果、80点以上の外国人の方。80点を満たした時点から1年経過したときに、「永住」の申請要件を満たしたこととなります。

まとめ

「永住」の在留資格取得を検討される際には、まず、ご自身が来日してから現在までの日本滞在や出入国の記録を確認し、この「住居要件」を満たしているかを確認することが、第一にすべきことです。また、この居住要件は「帰化申請」よりも特例や緩和措置が多いため、どの条件に当てはまるか、申請者ご自身の状況に応じて細かく確認してください。将来、永住の在留資格取得を考えている方は、住居要件を頭に入れておき、出国期間が規定を超えないように早い段階から意識をしておく必要があります。

行政書士あけやま事務所は、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として生きていこうとする、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、日本国籍取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。