ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

日本で仕事をする外国人の方で、滞在期間が長くなるにつれて結婚をして子供が生まれるなど、生活環境の変化に伴い、このまま日本で生活したいと感じる方もたくさんいらっしゃいます。外国籍の方が、外国籍のままで在留資格の更新など煩雑な手続きをせずに、日本に居住する方法は、「永住」の在留資格を取得するという方法があります。「永住」の在留資格は、居住要件が10年など、他の在留資格に比べると取得するためにクリアしなければならない要件が厳しいのですが、一度取得できると、日本社会で生活をする上で、様々なメリットがあります。しかし、このような在留資格でも、取り消しになってしまう場合もあります。今回は、どのような場合に永住の在留資格が取り消されてしまうのか?について解説をしていきます。

はじめに

在留資格「永住」は、日本に中長期で在留する外国人の方にとって、最強の在留資格だと言えます。法律に違反しない限り、何でも好きな仕事に就くことができますし、就労時間の制限もありません。更に、会社を辞めて無職になっても、日本人の配偶者と離婚をしても、この在留資格は取り消されることはありません。在留期間が無制限のため更新自体がなく、うっかり更新期限を過ぎてしまい、オーバーステイになることもありません。このような在留資格である「永住」は、次の4つのケースに該当する場合は、取り消しをされてしまうだけでなく、他の在留資格を持つ外国人の方と同様に、日本国外への退去強制処分になることもあります。1つずつ見ていきましょう。

「永住」の在留資格が取り消されてしまう場合

みなし再入国の有効期間内に再入国しなかった場合

日本出国時に、みなし再入国の手続きのみで出国した場合、再入国の有効期間は1年間となります。この間に再入国が出来なかった場合には、「永住」の在留資格は取り消しにされてしまいます。なお、みなし再入国許可の手続きで出国をした場合は、有効期間を延長することができません。これが通常の再入国許可の手続きと異なるところですので、勘違いのないよう充分注意をする必要があります。

再入国許可を取得して出国したけれど、有効期間内に再入国をしなかった場合

「永住」の在留資格を持つ方の場合、再入国許可の有効期間は最長で5年間となります。万が一、5年間再入国許可の有効期間内に再入国できない場合は、最長で1年間、合計6年を超えない範囲内で延長をすることができます。なお、再入国許可を延長する場合には、当初の再入国許可の期間内に申請をする必要があり、再入国許可の有効期限を過ぎた後の延長申請はできません。

過去に、偽装書類や虚偽申請によって入国して在留許可を受けたことが発覚した場合

これは、入国時に偽造パスポートを使って別人に成りすまして入国し、在留資格を得たような場合が該当します。最近では、渡航書類がデジタル化されたり、ICチップが搭載されたりしているので、このような偽造書類での出入国や在留許可を取得する犯罪は少なくなってきてはいますが、出入国関連の犯罪が発覚した場合には、「永住」の在留資格が取り消されることとなります。

重大な犯罪を犯してしまい、刑罰に処された場合

いろいろな種類の犯罪がありますが、一般の在留資格を持って日本に在留している外国人の方が、退去強制処分になるような犯罪を犯した場合に、「永住」の在留資格は取り消しをされてしまいます。具体的には、

 ・無期、または1年を超える懲役、若しくは禁錮に処されたもの(執行猶予処分の対象者は除く)

 ・麻薬、向精神薬、大麻、覚せい剤等に関連する犯罪を犯したもの

 ・売春や人身売買に関連する犯罪を犯したもの

 ・外国人の不法就労幇助などの犯罪を犯したもの

が該当します。これらの場合は、在留資格の取り消し処分だけでなく、国外への退去強制処分ともなり、処分の日から原則5年間、最長で10年間は日本に再入国が出来なくなってしまいます。

まとめ

「永住」の在留許可を持つ方は、在留資格の要件を満たすまでの間、基本的に10年以上の居住期間の間、税金や社会保険料を遅滞なく納付期限内に支払い、交通違反や軽微な違反も少なく、法律を犯すことなく、善良な態度をもって、日本社会で生活をしてきているはずです。よって、③や④といった、犯罪行為によってこの在留資格を取り消されるケースは稀で、ほとんどは①と②の再入国期限切れなどによるものだと想定されます。人数としても、令和3年度は永住の在留資格を持っている方の取り消しは8名のみ、全在留資格を持つ人の取り消しの数が800名でしたので、ちょうど1%としかなく、永住の在留資格を持つ人が、取り消し処分をされるのは、非常に稀なケースだと言えます。永住の在留資格は、中長期的に日本に在留する方にとっては非常に大切なものとなりますので、再入国許可の手続きや、その有効期間に関しては十分に注意をして、取り消しになることがないよう、くれぐれも気を付けるようにしてください。

行政書士あけやま事務所は、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として生きていこうとする、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、在留資格「永住」の取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。