ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、海外在住の外国人従業員を、技術・人文知識・国際業務ビザ(以下、技人国)を取得して呼び寄せる場合に確認すべきポイントをまとめました。日本国内の人手不足を背景に、海外で求人活動を行い、優秀な外国人材を採用する企業も増えています。このような場合、採用内定をしたとしても、就労ビザが取得できなければ日本に入国して正規に働くことはできません。よって、選考の段階で、ビザの要件を満たしているかどうかも確認の上、内定者を確定する必要があります。海外で採用活動を行う企業の人事担当者の方、また、日本で働きたいと考えている海外在住の方、どのようなことに気を付けて、確認をしたらよいかをまとめていますので、ぜひ最後までお読みください。

①必要な最終学歴は?

まずは、採用予定の外国人の方が、就業経験がなく新卒で採用する場合から解説をしていきます。新卒の学生の場合、技人国ビザの要件を満たすかどうかを確認する場合、まずは「学歴」に注目します。日本国以外の学校を卒業した方の場合は、「大学院」「大学」「短期大学」を卒業し学位を取得している、もしくは学位取得見込みの方が、技人国ビザの要件を学歴で満たすことができます。ここで、注意しなければならないのは専門学校です。海外の専門学校卒業者は、技人国ビザの申請要件を満たしません。専門学校卒業で要件を満たせるのは、日本国内にある学校に限ります。また、当然のことながら、高校卒業、日本語学校修了の方に関しても、それだけでは技人国ビザの要件を満たすことはできません。

②専攻内容・履修内容は?

大学院や大学、短期大学を卒業していれば、それでよいということではありません。次に確認しなければならないのは、「専攻内容・履修内容」です。大学等で専攻・履修した内容と、入社後の職務内容が一致、もしくは関連性があることが求められています。その理由としては、技人国の職務内容は、「自然科学や人文科学に関する知識や技術が必要な業務」と規定されているからです。この専攻内容と職務内容の関連性の証明に関しては、大学の卒業証明書(学位記)だけで明確にわかるものもあれば、成績証明書や履修科目一覧表を出さないと証明しづらいものもあります。特にわかりづらいものに関しては、履修科目一覧表やシラバスなどを参照し、どの科目の内容が、入社後の担当業務と一致(もしくは関連性)しているかを記載した説明書を添付文書として提出するなどの工夫が必要となります。

なお、国際業務の中の「通訳・翻訳・語学の指導」に関する業務に関しては、大学等での専攻科目や履修内容との一致・関連性は必要ないといわれています。しかし、職務内容の信憑性を証明するという観点から、このような国際業務での採用を行う場合は、業務で使用する語学力を証明する資料(日本語検定合格証明書やTOEFLスコアカード)等を追加資料として提出することを強くお勧めいたします。

(2)採用予定者が実務経験者の場合は?

①必要な実務経験年数は?

次に、海外在住の実務経験者を採用して日本に呼び寄せる場合です。この場合は、一定年数以上の実務経験年数が必要となります。一般的なホワイトカラーの仕事(技術・人文知識に該当するもの)に関しては、10年以上の実務経験が必要となります。この10年間には、大学などで関連する分野の教育を受けていた期間を参入することができます。もしくは、国際業務に該当する、広報やデザイン(インテリアやファッション)、商品開発、海外取引業務などに関しては、3年以上の実務経験が必要となります。

②実務経験の証明方法は?

実務経験の年数(10年以上、もしくは3年以上)を証明するために、「在職証明書」を提出します。これは、過去に仕事をしていた会社から発行をしてもらうものです。この在職証明書は、役所など公的機関が発行するのではなく、一般企業が発行するものですので、書式や記載内容は様々です。ここで問題になるのは、必要事項が正しく書かれた在職証明書でないと無効となり、実務経験年数としてカウントされなくなってしまいます。在職証明書の発行を依頼するにあたっては、次の項目を忘れずに記入してもらうようにしてください。

 1.申請人本人を特定する情報

名前、生年月日は必須です。これ以外に、出生地やパスポート番号や各国が発行している個人識別番号などを記載すると、本人特定という観点から信憑性は高くなります。

 2.会社を特定する情報

会社名、本社所在地住所、電話番号、代表者名等を記載します。会社名は正式名称で、当然この会社が地球上に実在していなければなりません。

 3.勤務内容を特定する情報

入社日、退社日、等の在職期間、勤務場所(店舗や支店など、本社以外の場所で勤務していた場合)、勤務場所の名称(レストランや店舗名等)、役職(ある場合)、担当していた職務内容(できるだけ詳しく)

 4.在職証明書を作成した人の情報

担当者の名前、部署名、連絡可能な住所、電話番号、E-mailアドレス等、入管の担当者が審査の途中で、申請人が過去に在籍をしていたかどうか、在職証明書を発行した企業に電話をかけて確認するケースもあると聞きます。このような場合に、きちんと連絡が取れる担当者の電話番号やメールアドレスを明記します。

これらの情報がすべて網羅されていれば、正式な在籍証明書として実務経験年数を証明する証拠資料として扱われ、ビザの申請要件を満たすかどうかの判断材料となります。

なお、在職証明書が英語以外の言語で書かれている場合は、日本語訳を添付する必要があります。この場合の翻訳は、公式な翻訳業者に依頼をする必要はなく、申請人が翻訳をしたものを提出することができます。ただし、だれが翻訳したかがわかるように、翻訳者の名前・住所・電話番号などの情報を明記してください。

(3)まとめ

海外在住の外国人の方を、技人国ビザを取得して呼び寄せいる場合に、確認しなければならないポイントと申請要件に関してまとめました。新卒の学生の場合は、短大・大学・大学院卒業の学歴があり、かつ、専攻・履修内容と職務内容に一致、もしくは関連性があること。既卒の実務経験者の場合は、10年、もしくは3年以上の実務経験があり、在職証明書で証明できること。このいずれかを確認することで、技人国ビザの申請要件を満たしているかどうかを判断します。海外での求人活動・人材確保にはコストがかかり、かつ、せっかく内定を出したとしても、ビザが取得できなければ日本で勤務させることはできません。そのため、ある程度選考が進んだ段階で、ビザの申請要件を満たしているか、つまり、ビザを取得して日本で仕事ができるか?という観点も考慮したうえで、内定者決定を行う必要があります。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、就労ビザ取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。