ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、外国人従業員を採用し、就労ビザを申請する際に提出する「在職証明書」には、どのようなことが書かれていなければならないのか?に関して解説をしていきます。在職証明書は、就労ビザを申請する際に、実務経験年数でビザの申請要件を満たしていることを証明するための書類となります。在職証明書は、過去に在籍(仕事をしていた)会社が発行するため、申請人(外国人)が作成することは通常ありません。しかし、作成してもらった在職証明書が、ビザ申請における実務経験を証明する書類として有効であるかどうか、つまり、記載内容の不足がないかどうかは、申請人の方が受取った際にすぐに確認できるよう、情報として知っておくべきことだと思われます。特に、在職証明書を発行するのは、一般企業であるため、納税証明書や印鑑証明書といった公的機関が発行する書類とは異なり、その記載内容はそれぞれの作成した企業によって異なる場合があります。よって、この記事では、ビザ申請の実務経験を証明する書類としての在職証明書に必ず記載されていなければならない、最低限必要な情報に関して解説をしていきます。ビザを申請する申請人の方だけでなく、外国人を採用した企業の人事担当者であれば、知っておいて損にはならない情報をお伝えしていきますので、ご興味のある方は最後までお読みください。

①在職証明書とは

就労ビザの申請要件(条件)を、実務経験年数や過去の職務内容で満たす場合に、こういった事柄を勤務先から証明してもらうために発行される書類です。公的な書類ではなく、過去に在籍をした企業に申請人から発行を依頼するものとなっています。

②在職証明書で証明すべきことは

ビザの要件に合致した職務内容の仕事に、一定年数携わっていたことを証明する、ということが在職証明書の目的となります。そのために、「だれが」「どの会社で」「どういった仕事を」「どれくらいの期間」やっていたかを証明する必要なあることから、これらの内容が、この在職証明書に記載されている必要があります。

③在職証明書の記載内容

本人を特定する情報

まず、大前提として書かれていなければならないのは、だれの在職証明書であるか、つまり、「名前」「生年月日」「性別」は、個人を特定する情報として記載されていなければならないものになります。更に、各国ごとに個人ID(マイナンバーのようなもの)が付与され、その番号で個人が特定できるような場合は、これに関しても併記することで、より具体的に個人を特定することが可能になります。

会社を特定する情報

次に、どの会社に雇用されていたか、また、この在職証明書はどの会社が発行したものであるかを明確にします。つまりどこで働いていたか、ということです。会社名、別に屋号があれば屋号も、本社所在地住所、電話、FAX番号、メールアドレスなど、所属していた会社の詳細情報を記入します。

職務内容を特定する情報

そして、在職証明書の中で一番大事な、「どのような仕事を」「どの程度の期間」やっていたのか、という部分です。これに関しては、まず入社日と退社日を記載することで、実際にこの会社に在籍をして仕事をしていた期間を明確にします。そして、勤務先が本社とは異なる場合は、支店名や店舗名、勤務先の住所を記載することで、実際に仕事をしていた場所を特定します。また、職務内容、つまりどのような仕事をしていたかも、より具体的に記載をします。特に大きな会社組織の場合、会社名と勤務先名を記載しただけでは、どのような職務を担当していたかがわからない場合もあることから、職務内容を具体的に記載することは、ビザの要件を満たしていることを証明する資料としては、非常に重要なポイントになります。もし、役職(マネージャー)などがある場合は、それも併せて記入をします。特に、日本ではマネージメント系の業務を行う場合、過去の所属企業でマネージャーとしての経験があれば、職務内容の関連性も証明することができ、信憑性は高くなります。

作成者を特定する情報

在職証明書は、会社の社長・代表者名で発行されることが多いかと思われます。しかし、この書類を作成しているのは、人事・総務担当者であったり、店長などマネージャークラスの方が担当することは多いと思われます。このような場合に、在職証明書を実務上作成し、その内容を正確に把握している担当者の名前や連絡先を記載します。これは、聞くところによると、入管でビザの審査を行う中で、提出された在職証明書の記載内容が正しいのか、つまり、その会社が実際に存在するのか、や、申請人が本当にその会社に在籍をしていたかを、審査官が電話をして確認をしている、という情報もあります。こういった直接連絡を取って確認をされた場合に、確実に電話がつながり、そして、その在職証明書の記載内容が正しいことを説明できる担当者名を、在職証明書に記載しておくことも、この書類の信憑性を高めるために重要なポイントとなります。

作成される言語は?

在職証明書は、海外の企業が作成する場合が多いです。入管にビザ申請の際に提出する書類は、原則として日本語と英語版になります。よって、これ以外の国の言葉で記載されている場合には、日本語訳を添付する必要があります。なお、この日本語訳に関しては、公的機関が翻訳をする必要はなく、公証なども必要とされていません。ただ、だれが翻訳をしたかがわかるよう、翻訳者名を必ず記載します。

複数の会社に在籍をしていた場合は

例えば、「技能1号 調理師ビザ」の実務経験は10年ですが、1社に10年以上在籍していた場合には、在職証明書は1枚で規定されている実務経験年数を証明することは可能です。しかし、1社目3年、2社目5年、3社目2年という具合に、転職歴があり複数の会社に在籍をしていた場合には、それぞれの会社から在職証明書を取得し、これらに記載されている在職期間の合計が10年、つまり120か月以上になる必要があります。

まとめ

就労ビザを申請する際の、提出書類の一つである「在職証明書」の記載内容に関してまとめました。この在職証明書は、実務経験によって就労ビザの申請要件をクリアするための、非常に重要な書類となります。記載内容のポイントとしては、

①誰が=申請人を特定する情報

②どこで=会社を特定する情報

③なにを=職務内容を特定する情報

④どのくらい=在職期間を特定する情報

⑤誰が書いたのか=書類作成者を特定する情報

この5点を確実に抑える必要があります。特に、一般企業が作成する文書のため、企業によって記載内容が異なることから、これらの必要事項に抜け・漏れが生じる可能性もあります。せっかく発行してもらった在職証明書でも、必要事項の記載がないと、実務経験の証明書としての役割を果たすことができません。申請人が作成を依頼する際には、どのような内容が書かれていなければならないかをよく理解し、それに基づいて、過去の勤務先に作成を依頼する必要があります。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、就労ビザ取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。