ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、観光業・宿泊業・サービス業に特化した行政書士として、この業界で働く外国人のビザ申請支援や、融資・補助金申請など資金調達のお手伝いをしています。主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

 スノーボードインストラクターとして日本で働くためには、「技能8号スポーツの指導者」ビザを取得する必要があります。このビザは、どのような人が取得できるのかについて、解説をしていきます。アフターコロナの2023/24年シーズンは、世界各国から多くの人たちが、スキーやスノーボードを楽しむために日本に来ています。このような訪日外国人を対象とした、スキー・スノーボードスクールでは、英語や中国語など、外国語でレッスンが出来るインストラクターの人気が高くなっています。日本で、スノーボードインストラクターとして仕事をしたいと考えている方が、ぜひ最後までお読みください。

スノーボードインストラクターが取得するビザ(在留資格)

前述の通り、スノーボードのインストラクターが取得するビザは、技能8号スポーツの指導者ビザになります。ここで、注意しなければならないのは、スキーのインストラクターは、特定活動50号スキーインストラクターというビザ(在留資格)がありますが、スノーボードインストラクターは、この特定活動50号ビザの対象外となっています。スキーインストラクターの申請要件として、日本をはじめ世界9か国のスキー指導者の資格が必要となっているのですが、これには、スノーボードインストラクターの指導資格は該当していないため、特定活動50号のビザをスノーボードインストラクターとして申請することは出来ないのです。

どのような人が、スノーボードインストラクターとして技能8号ビザを取得できるのか? 

現在日本にある29種類のビザ(在留資格)では、基準適合性、つまり、ビザを申請する人が適合していなければならない基準、が定められています。これらをひとつずつ確認していきます。

スポーツの指導に係る技能について3年以上の実務経験がある人。

スノーボードインストラクターとして技能8号ビザを取得する場合には、スノーボードの指導に関して3年以上の実務経験が必要とされています。この3年の期間には、海外の教育機関で、スノーボードの指導に関する科目を学習していた期間と、プロスノーボーダーとして報酬を得て活動していた期間を含めることが出来ます。

この実務経験の「3年間」は、36カ月以上を意味します。スノーボードは冬の雪があるときにしかできないスポーツのため、指導の実務経験がつめるのは、年間で長くても4~5カ月程度になります。なので、この実務経験期間を満たすまでには、8~9年以上かかる場合もあります。もしくは、北半球・南半球とシーズンごとに行き来をして指導をしていた場合には、もう少し短い年月で36カ月に達することも想定されます。一般的に、スノーボードの場合は、36カ月の実務経験を満たすのは、カレンダーイヤーの3か年よりも長くかかる傾向があるようです。

②技能を要する業務に従事、若しくは選手として、オリンピックや世界選手権大会等、国際大会に出場したことがある人

36カ月間のスノーボード指導の実務経験が無い人でも、オリンピックなど国際大会に出場経験がある人は、技能8号ビザの申請要件を満たしたことになります。選手としてだけでなく、コーチや監督などの職務で国際大会に参加した人も、対象者として想定されます。なお、求められているのは出場経験のみなので、順位や成績、入賞歴などは問われていません。

③日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

これに関しては、「技人国」や「教育」、特定活動46号」等、他の就労系ビザの基準適合性にも書かれている、重要な要件です。日本人が同等の業務に従事した場合の報酬と、同額以上である必要があります。外国人であることを理由に、低い報酬や待遇面での差別的な扱いをしている場合にはビザを取得することはできません。

④スポーツの指導に係る技能を要する業務に従事する人

日本入国後の職務内容が、スポーツ(スノーボード)の指導であること。これが、雇用契約書や労働条件通知書等に明記されている必要があります。

実務経験の証明方法に関して

他の就労系ビザと異なり、スノーボードインストラクターで技能8号ビザを取得するためには、学歴や年齢制限、その他資格など申請人に関する条件はなく、唯一最も重要な申請人の条件は「3年以上のスノーボード指導者としての実務経験」、若しくは「国際大会出場経験」のみとなります。これをどのように証明するかが、技能ビザの取得可否を決める重要なポイントとなります。

まず、3年以上の実務経験では、過去に在籍していたスノーボードスクールなどの勤務先から発行される在職証明書によって実務経験を証明します。通常、スノーボードスクール等は一般企業なので、在職証明書は結婚証明書や出生証明書等のように、その国の役所が公的に発行するものではありません。よって提携の書式が決まっているわけではなく、ビザ申請に必要な情報が網羅されていないと、実務経験が正しく証明できなくなってしまいます。具体的には、「名前」「性別」「生年月日」といった勤務者の個人を特定できる情報と、勤務先を特定するための情報として、「勤務先の名前」「住所」「電話番号」「代表者名」「担当者名と連絡先」と、そして最も重要な在職期間は、勤務開始日と勤務終了日の2つの年月日が記載されている必要があります。また、職務内容は「スノーボードの指導」であったことは必ず明記されていなければなりません。

なお、一般企業であるが故に、既に廃業してしまっていたり、経営者が変わってしまい、過去の在職証明書が発行できない場合もよくあります。残念ながら、このように在職証明書を提出できない期間に関しては、実務経験の3年にカウントすることはできず、これによって、証明できる実務経験が3年を下回る場合に関しては、技能ビザの要件を満たしていないこととなってしまいます。

まとめ

どのような人がスノーボードのインストラクターとして技能ビザを取得できるのか?について解説をしてきました。もっとも重要なポイントは、スノーボードインストラクターとして、3年以上の実務経験がある、若しくは、国際大会の出場歴があることが、在職証明書、その他書類によって証明できること。また、雇用契約書や労働条件通知書に明示されている報酬額が、同じような仕事をする日本人と同等額以上であること。そして、来日後の主な職務内容が、スノーボードの指導であることも、必ず押さえておかなければならないポイントとなります。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、就労ビザ取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。