ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、卒業までに就職が決まらなかった外国人留学生が、日本で就職を希望する場合、引き続き就職活動を行うことができるか?について解説をしていきます。

外国人留学生が卒業後に引き続き就職活動を行うことが出来るのか?

日本にいる外国人留学生が、在学中に企業から内定をもらうことが出来ず、卒業を迎えてしまうことがあります。せっかく日本の高等教育機関を卒業し、日本語もマスターした留学生は、日本での就職を希望する方もたくさんいます。そのような場合は、在学中に持っていた「留学」の在留資格の有効期間内に、「特定活動」の在留資格に変更することで、引き続き日本に滞在して、就職活動を続けることが可能になります。

どのような在留資格を取得すれば、引き続き就職活動を行うことができるのか?

学校を卒業後、引き続き就職活動を継続する留学生は、「特定活動」の在留資格の中で、「本邦の大学等を卒業した留学生が就職活動を行う場合」に変更をすることができます。変更にあたっては、「在留資格変更許可申請」を出入国在留管理庁に提出をして、許可を得る必要があります。

特定活動「本邦の大学等を卒業した留学生が就職活動を行う場合」(以下、「就職活動のための特定活動」)とは?

この在留資格は、名前の通り、日本国内の大学・短期大学・専門学校・日本語学校を卒業した外国人留学生が、卒業後に就職活動を継続して行う場合に与えられるものです。許可されている活動は「就職活動」になりますので、大学などに在学をする必要はありません。また、企業から内定が出て就職することになれば、「技術・人文知識・国際業務」等の就労系在留資格への変更が必要です。資格外活動許可の申請を行い、許可が得られれば、「留学」の在留資格と同じように週28時間までのアルバイトを行うことは可能です。ただし、内定がもらえないからと言って就職活動を辞めてしまい、アルバイトと友達と遊ぶだけで時間を過ごすことは、在留資格取消しの対象となります。また、在学期間中よりも時間があるからと言って、週28時間以上アルバイトをしてしまうと(オバーワーク)、就職が決まって就労系在留資格に変更申請をした際に、不許可になることがありますので注意が必要です。

どのような留学生が対象になるのか?

まずは、在学中から就職活動をしていて、それを卒業後も継続するという留学生が対象になります。

①大学・短期大学・大学院を卒業した留学生の場合には、あくまでも本科を卒業し、「学士」「修士」などの学位を取得している必要あります。これには、別科や科目履修生、聴講生は含まれません。

②専門学校を卒業したが留学生の場合には、「専門士」の称号を取得していること。また、専門学校での履修内容が、「技術・人文知識・国際業務」等、就労に係るいずれかの在留資格に該当する活動と関連があると認められる者、という規定があります。これは、例えば、「理容師・美容師」や「調理師」等の専門学校等、専門学校で学んだ内容を活かした職務内容で在留資格が取得できないような場合は、「就職活動のための特定活動」の在留資格への変更は認められないということになります。

③日本語学校を卒業した留学生の場合には、海外の大学、または大学院を卒業していないと、「就職活動のための特定活動」の在留資格への変更はできません。例えば、母国の高校を卒業後、すぐに来日して日本語学校に留学していたような留学生は、卒業後、就職活動を継続しようとした場合でも、「就職活動のための特定活動」への変更は認められないということになります。

「就職活動のための特定活動」の審査のポイント

現在の「留学」の在留資格から、「就職活動のための特定活動」の在留資格へ変更申請をする際に、許可になるための審査のポイントは、次の2点だと想定されます。

在学していた教育機関からの推薦状が提出できるか?

これは、卒業した大学や専門学校から正式に発行してもらう推薦状で、卒業後も就職活動を行うにあたっては、「許可される範囲内で資格外活動を行う」ことや「日本国法令を遵守する」ことによって、「就職活動のための特定活動」の在留資格に変更することが適当な者であると、教育機関から推薦をしてもらうものです。

この推薦状は、誰にでも発行されるものではなく、在学中の成績や出席状態が良好で、かつ、資格外活動違反がないなど、生活・学習態度と在留状況が良好な学生のみに発行されているようです。

この推薦状は、出入国在留管理庁のホームページには提出必須書類として規定されているため、これが申請時に提出できない学生は、「就職活動のための特定活動」の在留資格への変更は許可されないと言えます。

滞在期間中の生活費などを賄える資金があるか?

就職活動を行う1年間の生活費や就職活動費を賄えることを証明する必要があります。目安としては、月額20万円×12か月=240万円程度の金額となります。この程度の銀行の残高証明書を提出することが一番シンプルな証明方法となります。また、在学中からも親から定期的に仕送りを受けており、これが引き続き継続して受けられることを説明するという方法もあります。

ただし、この在留資格で認められる、資格外活動許可を取って行う週28時間以内のアルバイト収入のみで、生活費を工面するということは認められていません。週28時間程度のアルバイトでは、月額10万円程度の収入にしかならないため、在留中の一切の経費を支弁する能力があるとは言えないのです。

「就職活動のための特定活動」の在留資格の有効期限と更新は可能か?

この在留資格の有効期限は最大6か月のことが多く、1回のみ更新が可能です。つまり、学校を卒業後、おおよそ1年間はこの在留資格で就職活動を継続することが可能です。

まとめ

在学中に内定がもらえず、就職が決まらなかった留学生も、「教育機関からの推薦状」と「在留期間中の生活費の証明」が可能であれば、「就職活動のための特定活動」の在留資格を取得して、最大1年間、就職活動を継続することが可能です。日本での留学経験で得た、日本語能力と専門知識を活かし、日本社会で活躍するためにも、卒業後も頑張って就職活動を継続して、一日も早く就職先が決まることを祈っています。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、在留資格「就職活動のための特定活動」への変更や、就職内定後の在留資格変更に関する、条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。