ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。

私は主に、北海道の宿泊業や観光業で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの新規取得や更新手続きのお手伝いを行っています。

就労ビザの中で、事務職のいわゆるホワイトカラーの方が取得するケースが多い、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格、「技人国ビザ」について、今回は、申請の際に添付書類として提出したほうが良い「雇用理由書(採用理由書)」の書き方のポイントに関して解説していきます。

「雇用理由書」(採用理由書)とは

在留資格「技術・人文知識・国際業務」などの申請において、全てのカテゴリーで「雇用理由書」は必要書類に含まれていません。外国人従業員の方と採用企業が締結する「雇用契約書」は、カテゴリー3と4の企業の場合には提出必要書類に含まれていますが、カテゴリー1と2の企業の場合は提出を求められていません。

一般的に、在留資格の審査においては、

①申請人の外国人の方の行う活動が、在留資格ごとに定められた基準に適合している事=「在留資格該当性」

②申請人の要件が、在留資格ごとに定められた基準に適合している事=「基準適合性」

の2点を証明することで、許可を得ることが可能になります。

申請の際の提出書類では、この2つを客観的に証明することが出来る資料が必要提出書類として列記されており、これらを提出することで証明できる場合もあります。しかし、採用する企業側の言葉で、「在留資格該当性」と「基準適合性」を説明したうえで、この外国人従業員を採用したということを説明する場合には、必要提出書類ではない「雇用理由書」を作成して、補足書類として提出したほうが良いとされています。では、この「雇用理由書」を作成する際には、留意しなければならないポイントと、記載したほうが良い内容に関して解説していきます。

書き方のポイント

所属機関(勤務先企業)に関して

まずは、今回外国人従業員を採用する企業がどのような会社なのかを簡単に説明します。もちろん、会社パンフレットやホームページのコピー、決算書や登記事項証明書を必須書類として提出するので、詳細全てを記載する必要はありません。企業の概要を説明することによって、この会社が合法的な事業を行い、安定的な収益をあげており、会社として健全な経営をして事業が安定している事。このような状況下で、外国人従業員を適正に雇用できる企業である事、の2点が分かるような内容を記載できるとよいでしょう。

申請人(外国人従業員)の雇用契約の内容に関して

これも、雇用契約書や内定通知書を添付するため、すべてを記載する必要はありません。大切なポイントとしては、

1)雇用形態:この企業との「契約」に基づき正社員か派遣社員として採用されること

2)職務内容:在留資格に適合した職務内容であること

3)給与額:同じ仕事をする日本人と比較して同等以上であること    

の3点は必ず抑えたいところです。なお、これらの詳細に関しては③と④の項目で詳しく記載していきます。

申請人(外国人従業員)の活動内容が在留資格に適合しているか;「在留資格該当性」

②で説明した職務内容を、具体的に詳しく説明します。特に、法令で規定されている「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ人の活動として「理学、工学、その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務」に該当する職務内容を、申請人が採用後に行うことが分かるよう記載することがポイントです。

さらに、日本語能力検定の合格級や、その他担当する職務内容を遂行するにあたって必要となる資格や能力に関しても言及して、申請人がその職務を遂行することが出来ることの裏付けを説明しても良いでしょう。

今回の採用が法令に従ったものであるか;「基準適合性」

申請人の外国人従業員の方が、③で説明した担当予定の職務内容を行うにあたって必要とされる学歴や職歴を持っていることを説明していきます。もちろん、最終学歴の卒業証明書や単位履修証明書、若しくは、前職での在職証明書等、客観的な署名書類を添付書類として提出することになりますが、改めて、この項目で基準を満たしていることを明記していきます。具体的には、

1)学歴:「技術・人文知識・国際業務」で必要とされる、「大学院・大学・短期大学・(日本の専門学校)」を卒業していること

2)専攻内容:高等教育機関で専攻した内容、履修した科目と、採用後に担当する職務内容との関連性や一致があること

3)実務経験:採用後に担当する職務内容と同じ分野での職務経験が10年以上あること

4)報酬に関して:日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けていること

を記載しています。特に(4)の報酬に関しては②でも記載していますが、改めて、同等の職種を担当する日本人と同額以上の報酬であることを明示します。

まとめ

今回は、「雇用理由書」の記載内容のポイントを解説してきました。外国人従業員の方を採用する企業側が、自らの言葉で採用理由や、基準に適合している適切な採用であることをアピールする重要な書類となります。「企業経営の安定性」「外国人労働者を雇用する必要性」「外国人従業員の職務内容が在留資格に合致している適合性」「外国人労働者に従事させる職務内容の信ぴょう性」の4点を明確に説明する唯一の機会でもあります。すべてのカテゴリーで提出必須書類ではありませんが、審査に必要な内容を適切かつ十分に記載した「雇用理由書」は、審査に良い影響を与えることが期待されますので、是非作成し提出することをお勧めいたします。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、就労ビザ取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。