ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。

私は北海道唯一の観光産業とビザ申請に特化した行政書士として、北海道の宿泊業や観光業で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの、新規取得や更新手続きのお手伝いを行っています。

今回は、スノーボードのインストラクターはどのビザを取得すればよいのか?について解説していきます。スキーインストラクターのビザに関しては、こちらのコラムで解説をしましたが、スキーと似たようなウィンタースポーツであるスノーボードのインストラクターに関しては、どのようなビザを取得すればよいのでしょうか?

スノーボードインストラクターのビザ

スノーボードインストラクターは、どのビザを取得すればよいのでしょうか?

スノーボードインストラクターが取得できるビザは「技能」となります。スポーツの指導に係る技能を持ち、規定の要件を満たしている場合にこの在留資格が許可されます。技能ビザ、と言えば、一番多いのは調理師・料理人ではないかと思われます。技能ビザ申請要件の一番のポイントは、実務経験をどのように証明するのか?になります。

スキーインストラクターと同じビザが適用されるのか?

スキーインストラクターに関しては、「技能」に加えて、2020年9月から「特定活動50号」(スキーインストラクター)というビザを新たに取得できることになっています。これは、スキーインストラクターに限定されており、スノーボードインストラクターには適用されません。よって、スノーボードインストラクターに関しては、「技能」が唯一取得可能なビザとなります。

スノーボードインストラクターのビザを取るための要件

では、スノーボードインストラクターが技能ビザを取得するための要件を、「申請者の外国人側」と「雇い入れ企業側」のそれぞれを確認していきましょう。

申請者側の要件

まず、技能ビザに関して、どのような人が該当するのでしょうか?このビザでは、「熟練した技能を要する業務に従事する」ことが想定されており、その業務に従事できるだけの実務経験年数や実績が必要とされています。その要件は以下の通りとなっています。

スノーボードの指導に係る技能について三年以上の実務経験を有する者

(外国の教育機関においてスノーボードの指導に係る科目を専攻した期間及び報酬を受けてスノーボードに従事していた期間を含む。)

これに関しては、スノーボード指導の3年以上の実務要件を証明することになるのですが、体育大学やスポーツ専門学校などでスノーボードの指導科目を履修していた期間も含まれます。ただし、シーズンスポーツというスノーボードの特性上、通年で指導はできず、冬の降雪期の3~4か月程度しか稼働することができないため、3年間(=36か月)以上の実務経験を積むためには、相当の年数が必要になります。

スノーボード選手としてオリンピック大会,世界選手権大会その他の国際的な競技会に出場したことがある者

こちらに関しては、世界選手権などの出場歴という実績要件を証明することになるのですが、あくまでも出場歴ですので、順位や入賞歴を問われているものではありません。

これらのいずれかの要件を満たす18歳以上の外国人が、企業などとの契約(派遣やフリーランスを含む)を締結し、同じ仕事をする日本人と同等以上の報酬を得ることで、技能ビザを申請することができます。

雇入れ企業側の要件

スノーボードインストラクターを雇入れる企業には、どのような要件があるのでしょうか?技能ビザを取得する外国人の方は、「本邦の公私の機関」との契約に基づいて活動を行うこととなっています。公私の機関ですが、例えば、地方公共団体の運営するスキー場など公的な機関でもよいし、一般の企業が運営するスポーツスクール等でも構いません。必ずしも法人化している必要はなく、個人事業として運営されているところと契約をしても技能ビザを申請することが可能です。

申請に必要な書類は?

申請の際に必要な書類に関しては、大きく分けて、①所属機関(雇用する会社や組織)に関する書類と、②申請人に関する書類 に大別されます。

所属機関(雇用する会社や組織)に関する書類

まずは、「従事する業務の内容を証明する所属機関の文書」。この所属機関に関する書類は、「技術・人文知識・国際業務」のように、所属機関をカテゴリー1~4に分けて、それぞれ必要な書類を定めています。

カテゴリー1:上場企業、保険業の相互会社、国や地方公共団体、独立行政法人 など

カテゴリー2:「給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収額」が1000万円以上の企業

カテゴリー3:「給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収額」が1000万円以下の企業

カテゴリー4:カテゴリー1~4に該当しない企業

それぞれのカテゴリーによって、申請の際に提出が必要とされている書類が異なります。経営の安定度や信頼度が低くなるにつれ、外国人労働者を雇い入れても問題ない、ということを証明するための書類を多く提出しなければならず、その準備に手間と時間が掛かります。

カテゴリー1の会社では、

・「四季報の写し」若しくは「証券取引所の上場を証明する文書」を追加で提出すれば良いとされています。(これ以外でも代替できる書類もあります)。

これが、カテゴリー2の企業になると

・「前年分の給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表」の提出が必要になります。

さらに、カテゴリー3になると、

・前年分の給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表

・外国人労働者の活動内容を明らかにする書類として、例えば「労働条件通知書」

・外国人労働者の学歴や職歴などを証明する文書として、例えば「履歴書」や「学歴・職歴などを証明する文書」

・登記事項証明書

・企業の事業内容を説明するための、「会社案内パンフレット」

・直近年度の決算文書

と、提出する書類の種類や分量が増えてきます。

カテゴリー4の会社に関しては、「前年分の給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表」が出せず、上場していない会社ということで、起業してから1年未満の会社、と考えて頂くのが、一番分かり易いと思われます。(もちろん、他にもこのカテゴリーに該当する会社もあります)。そのために、「前年分の給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表」が提出できないことを説明する書類が求められます。また、新設会社や新規事業であれば、事業計画書を提出して、今後の経営計画や見通しを明示することによって外国人労働者を雇用する必要性を証明していきます。

申請人に関する書類

申請人に関する書類では、

  • スポーツの指導に係る実務に従事していたことを証明する文書(外国の教育機関において当該スポーツの指導に係る科目を専攻した期間及び報酬を受けて当該スポーツに従事していた期間を含む。) 
  • 選手としてオリンピック大会、世界選手権大会その他国際的な競技会に出場したことを証明する文書
  • 申請に係る技能を要する業務に従事した機関及び内容並びに期間を明示した履歴書

を提出します。

書類準備の際の注意事項

「技能」ビザでスノーボードインストラクターを採用しようと考えた際には、まずは、その企業がどのカテゴリーに該当するかを確認することから始めます。そしてカテゴリーに応じた書類を準備することになるのですが、ここで、出入国在留管理庁のホームページに記載されている必要書類の「罠」に関してお伝えしなければならないのです。この、必要書類は、「申請を受理する」、つまり窓口で書類を提出した際に、係の方が受理してくれるという最低限度提出しなければならない書類一覧になっています。これは、そこに記載されている書類を提出すれば、許可が保証されているというものではありません。逆に、明記されている書類しか提出しなかった場合には、受理されたあとの審査中に、追加書類の提出や追加説明を求められる文書が届き、その対応に慌てることが多いようです。これは、国際結婚の際の配偶者ビザの申請や、永住ビザ申請の時と同じ様に、審査官が説明不足だと思ったり、疑わしい、と思った場合に、不足点を補ったり、疑念を払しょくするために、その申請が本当のものであると証明できる追加書類を提出しなければならないのです。この、追加書類の提出依頼が来ると、審査がいったんストップしますので、審査結果が出るまでの期間がどうしても長くなってしまいます。特に急いでいる場合は、シーズンオープンに間に合わなかったり、企業の事業計画に影響を与えたりする可能性があります。これを避けるためにも、当初から十分な説明書類を準備して提出することをお勧めしています。カテゴリー1・2の企業であれば、3と同じ程度の書類を準備すること。また、カテゴリー3の会社でも決算状態が良くない場合は、4のみで必要となる事業計画書を予め作成して提出することで、審査をスムーズに進めることが出来ると思われます。特に、事業計画書に関しては、場合によってはカテゴリー1、2の企業でも提出したほうがよりよい場合もあります。

その他の書類としては、

・在留資格認定証明書交付申請書

・写真 1葉(指定の規格を満たした写真を用意し、申請書に添付して提出)

・返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上、404円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの)

が必要とされています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

スノーボードインストラクターは、現段階では「技能」ビザのみ取得可能です。審査のポイントは、申請人が在留資格の要件を満たしているか、と受入れる企業の安定性や職務内容の信ぴょう性が問われます。これらを提出書類の中で明確に説明することが、スムーズに許可を得るためのポイントとなります。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、就労ビザ取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。