ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。

私は主に、北海道の宿泊業や観光業で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの、新規取得や更新手続きのお手伝いを行っています。

今回は、就労ビザ(就労系の在留資格)を更新する際のポイントに関して、解説していきます。

はじめに;在留資格と有効期限

「技術・人文知識・国際業務」や「技能」等、いわゆる仕事をするための在留資格は、有効期限が定められています。通常、6月、1年、3年、5年間と決められており、最初の許可の場合は、1年が多いようです。有効期限内に更新手続きを完了しなければならないのですが、もし、1日でこの期限を過ぎてしまった場合は、オーバーステイ、つまり不法滞在となってしまいますので、外国人従業員の方も、雇い入れている企業の方も、在留資格の有効期限に関しては常に注意をし、オーバーステイにならないように管理をしていく必要があります。

いつから、在留資格の更新はできるのでしょうか?

まずは、就労系在留資格の更新申請はいつからできるのでしょうか?出入国在留管理庁への更新申請に関しては、有効期限が切れる3か月前から可能になっています。更新申請の審査期間は、だいたい2週間から1か月程度時間がかかるのが通常ですので、更新の時期が迫ってきたら、早めに書類の準備・収集に取り掛かるようにしてください。なお、有効期限内に更新の申請手続きが完了していれば、たとえ、審査期間の間に有効期限を過ぎてしまっても、オーバーステイになることはありません。更新申請が受理されていれば、有効期限が過ぎてから2か月間に関しては、オーバーステイになることはありません。通常、このような場合では、出入国在留管理庁は2か月以内に審査結果を出すことが多いです。このように、有効期限内に更新許可の結果が出なくても2か月は大丈夫な仕組みにはなっていますが、書類不備などで受理されない可能性があることも考えると、有効期限が来る前のなるべく早い段階で更新申請の手続きを完了させた方が良いです。

誰が、在留資格の更新ができるのでしょうか?

次に、就労系在留資格の更新申請は、誰ができるのでしょうか?出入国在留管理庁への更新申請に関しては、原則として、外国人本人が手続することになっており、雇い入れ企業は外国人の代わりに代理申請ができません。これは、外国人従業員の方を新規で採用した時とは異なりますので注意が必要です。もしくは、申請取次の資格を持つ行政書士等が、外国人従業員の方に代わって手続きを行うことができます。

転職や職務内容変更の有無

在留資格更新の申請には、大きく分けると2つのタイプに分けられます。

その就労系在留資格を取得した時から、「勤務先の会社」と「担当する職務内容」が一切変わっていない場合。

まず、こちら場合に関しては、新規申請の時から会社や職務内容が変わっていないので、審査は非常に容易で、手続き自体も短時間でスムーズに終了することがあります。ただし、前回の在留中に犯罪行為を行った履歴があるなど、外国人従業員側に問題行動があったという場合等では、手続きに時間がかかったり、不許可になるという可能性もあります。

その就労系在留資格を取得してから、転職をして「勤務先の変更」がある場合、若しくは「担当する職務内容の変更」がある場合

この場合に関しては、手続き的には在留資格の「更新」となるのですが、出入国在留管理庁での実際の審査においては新規の申請と同じような流れになるので、単純な更新よりも時間がかかることもあり、また、追加書類の提出などを求められることもあります。よって、綿密な準備が必要ですし、申請の難易度も高くなります。一方、転職からの中途採用の外国人の場合、採用時に、「就労資格証明書交付申請」の手続きを行うことがあります。この手続きは、中途採用時に採用予定の外国人がすでに保有している在留資格で、自社の職務内容を行わせる資格があるかの審査を受け、証明をしてもらうというものです。よって、中途採用時にこの手続きで在留資格があることが証明されている場合に関しては、更新時には、すでに在留資格があるということが証明されていることから、新規取得の場合のような審査ではなく、比較的に簡易な審査となりますので、手続きがスムーズに進むことが多いです。なお、この「就労格証明書」交付申請は義務ではなく任意になるのですが、更新時の手間や、不許可になるかもしれない、という不安を考えると、転職時に「在留資格証明書」の交付を受けていた方が、安心してスムーズに手続きを行うことができます。

在留資格の有効期限が過ぎてしまった場合は?

もし、何かの勘違いやうっかりミスによって、有効期限が過ぎてしまった場合、どのような対応をすればよいのでしょうか?まずは、一刻も早く、出入国在留管理庁の窓口に出頭し、更新申請が完了しておらず、オーバーステイの状態になっていることを自ら申告します。もし可能であれば、外国人従業員が一人で出頭するのではなく、雇用する会社の代表者や人事部長など、雇い入れの責任者も同席ができると良いでしょう。場合によっては、事情を斟酌されて特例的に更新が認められることがあるかもしれませんが、原則として、オーバーステイの場合には「出国命令」処分が下され、自主的に出国することになるケースが多いです。その場合には、原則として1年間、日本に再入国をすることが出来ず、もし、再度日本への入国を希望する場合は、1年後に「在留資格認定証明書交付申請」を行ったうえで、日本に呼び寄せる方法を取ります。しかし、オーバーステイ以外の違法状態が外国人側にあると、「出国命令」処分には該当せず、退去強制の処分が下されます。その場合には、最低でも5年間、場合によっては10年間、日本への再入国が出来なくなります。

一番避けなければならないのは、オーバーステイの状態で、自ら出入国在留管理庁に出頭する前に、例えば何らかの罪を犯して警察に捕まってしまったり、出入国在留管理庁の摘発によってオーバーステイが発覚してしまったりすることです。この場合には、オーバーステイ以外に違法状態がない場合であっても、退去強制の処分が下され、日本国外に出国させられてしまいます。この場合は、その方の状況にもよりますが、最低でも5年間、場合によっては10年間、日本への再入国が出来なくなります。

まとめ

就労系在留資格の更新手続きに関しては、勤務先や職務内容に変更がない場合は、比較的スムーズに行われることが多いのですが、それでも早めに申請の準備を進め、有効期限内に確実に手続きが完了することが非常に重要です。特に、1日でも有効期限を超過してしまえば、オーバーステイの不法状態になり、出国命令が下されるだけでなく、将来にわたってこの事実は記録として残るため、他の在留資格申請や帰化申請の際に悪影響を及ぼすこともあります。手続きに関してご不明点や不安がある方だけでなく、仕事が忙しく時間が取れない方は、早めに行政書士にご相談をされることをお勧めいたします。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、就労ビザ取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。