ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。

私は主に、北海道の宿泊業や観光業で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの、新規取得や更新手続きのお手伝いを行っています。

就労系在留資格(ビザ)の「技術・人文知識・国際業務」や「企業内転勤」を申請する際に、外国人の方が就労予定の企業は4つのカテゴリーに分けられています。今回は、このカテゴリーとはそもそもどういったものなのか、に関して解説をしていきます。

就労系在留資格を申請する際の、企業のカテゴリーとはどんなものなのか?

出入国在留管理庁のホームページには、「在留資格認定証明書交付申請」(海外から、新規に採用した外国人の方を呼び寄せるための在留資格を取得する申請)、「在留資格変更許可申請」(日本に住んでいて既にほかの在留資格を持っている外国人の方が、就労系の在留資格に変更するための申請)、「在留期間更新許可申請」(すでにこの在留資格を持っている外国人の方が、有効期間を更新するための申請)、といった3つの申請手続きをする際に、それぞれで必要となる提出書類が記載されています。この提出書類は、外国人の方を採用しようとする企業の「カテゴリーにより異なります」という記載があり、カテゴリーに応じた資料を提出するよう指示があります。

このカテゴリーは、「企業の規模や安定性」などを、だいたいの目安として表す項目によって、4つのカテゴリーに分けられています。会社の形態や決算状況、従業員の所得税の源泉徴収の合計額などによって、カテゴリー1・2・3・4と分けられています。より規模が大きく、経営の安定度、信頼度が高い順番に、1→2→3→4となっています。

企業のカテゴリーはどうやって調べることができるのか?

出入国在留管理庁のホームページの、在留資格「技術・人文知識・国際業務」、および、「企業内転勤」のページに、カテゴリー1から4までに、どのような企業が該当するかが記載されているので、こちらをご参照ください。ちなみに、「技術・人文知識・国際業務」と「企業内転勤」の在留資格において、カテゴリー分けの基準は変更はりません。

企業のカテゴリーが違うと申請にどう影響してくるのか?

カテゴリーの違いは、1.「企業経営の安定性」 2.「外国人労働者を雇い入れる必要性」 3.「外国人労働者に従事させる職務内容の信ぴょう性」に関わってくるといえるでしょう。つまり、カテゴリー1の企業は、それ以外の企業と比較すると、従業員数や売上高、納税金額も大きくいことから、事業規模が大きく経営も安定している企業だといえます。また、雇い入れをする企業(機関)が、株式市場に上場していたり、国や地方自治体であったりと社会性のある存在であったりもします。また、ある程度の規模の会社であれば、採用した外国人の方にも適切な仕事が十分にあり、さらに、在留資格で定められた職務以外の業務(単純労働や現場作業等の資格外活動)に従事するといった違法行為はしない可能性が高いと判断されます。

このようなことから、在留資格の申請を行うにあたって、カテゴリー1よりも2,2よりも3,3よりも4の方が、企業経営の安定性だけでなく、外国人採用の要否やその信ぴょう性に関しては、厳しく審査されるといえます。それゆえに、申請時の提出書類の種類がより多く求められます。カテゴリー3や4の企業で、外国人従業員を採用しようとする場合には、様々な書類を準備・提出することで、事業計画の信ぴょう性、財務状態の安定性、採用予定の外国人の方の職務内容の妥当性を証明していく必要があります。

それぞれのカテゴリーはどのような企業が該当するのか?

出入国在留管理庁のホームページでは、それぞれのカテゴリーに属する企業をどのように規定しているのでしょうか。それぞれ見ていきます。

【カテゴリー1】

  • 日本の証券取引所に上場している企業
  • 保険業を営む相互会社
  • 日本又は外国の国・地方公共団体
  • 独立行政法人
  • 特殊法人・認可法人
  • 日本の国・地方公共団体認可の公益法人
  • 法人税法別表第1に掲げる公共法人
  • 高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業)
  • 一定の条件を満たす企業等

上記①~⑨に属することがカテゴリー1の企業の条件になっています。これらを簡単に理解すると、「上場している株式会社」 「生命保険を扱う相互会社:現在は5社のみ」 「国や地方公共団体、その関連機関」といえます。外国人従業員の方を採用するのは一般企業が多いことから、このカテゴリー1を適用して申請を行うのは、上場企業がほとんどだと言えます。

なお、上場企業に関しては、経済指標としても取上げられる東京証券取引所の一部上場企業だけでなく、二部やマザーズ、JASDAQ、名古屋、福岡、札幌の地方市場に上場している企業も含まれます。よって該当企業数は、約3700社とかなり多くの企業が含まれています。

【カテゴリー2】

  • 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人
  • 在留申請オンラインシステムの利用申出の承認を受けている機関(カテゴリー1及び4の機関を除く)

このカテゴリー2では、企業の事業規模を判断する基準として、従業員数と給与の支払いが一定程度あるかを、給与所得の源泉徴収額の合計額によって判断をしています。これが1,000万円以上ある企業がカテゴリー2に該当すると規定されています。では、源泉徴収税額が1,000万円以上とはどの程度の企業なのでしょうか? だいたいの目安として、年収500万円のサラリーマンの所得税源泉徴収額は約10万円なので、正社員の従業員が80名~100名程度いる企業が、このカテゴリー2に該当すると言えます。もちろん役員の数や、社員の給与額によっても変わっていきますので、あくまでも目安としてお考え下さい。給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表は、顧問税理士のいる企業に関しては税理士の方に依頼をすると、すぐに準備をしてもらえるはずです。

【カテゴリー3】

前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く

つまり、前年度から事業を行っており税務申告を行った会社で、上場企業等でなく、さらに、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,000万円未満である企業が該当します。具体的には従業員数で言うと、だいたい50名未満の中小企業や個人事業主の方が該当すると言えます。

【カテゴリー4】

カテゴリー1~3のいずれにも該当しない団体・個人

つまり、上場企業ではなく、かつ、前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出されていない企業ということになります。具体的には、新規開業から1年未満で、まだ決算期を迎えておらず、税務申告も行っていない企業や個人事業主の方が該当します。

まとめ

就労系在留資格の審査にあたって、出入国在留管理庁は、外国人の方を採用する企業を、規模や安定性などを目安として表す項目によって、4つのカテゴリーに分けています。より規模が大きく、経営の安定度、信頼度が高い順番に、1→2→3→4となっていることから、カテゴリー1の企業の方が、申請時に提出する書類も少なく、審査も比較的容易に済むといわれています。しかし、かといって、カテゴリー4や3の企業や個人事業主の申請は難しく、許可を得ることが不可能に近い、ということではありません。企業経営や事業の安定性、外国人従業員雇用に必要性や職務内容の信ぴょう性といった、審査上のポイントだと思われる点をしっかり押さえ、これらを証明する客観的な書類を十分に揃えて提出すれば、在留資格の許可を取得することは十分可能です。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、就労ビザ取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。