ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。

北海道で唯一の、観光業界とビザ申請に特化した行政書士として、主に、北海道の宿泊業や観光業で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、四年制大学を卒業する外国人留学生が就職をする際に、留学の在留資格から変更する就労系在留資格に関して解説していきます。

四年制大学新卒外国人が取得(変更)できる可能性のある在留資格

大学4年生の秋ごろ、就職予定先の企業から採用内定通知をもらった後、4月1日の入社に向けて、現在持っている在留資格「留学」から就労系の在留資格への変更手続きを行うことになります。四年制大学を卒業した外国人留学生の方に関しては、就労系の在留資格に関しては、入社後に担当する予定の職務内容や、外国人留学生の大学や日本語能力などによって、「技術・人文知識・国際業務」、「特定活動46号」、「高度専門職」の3つのオプションが考えられます。これらの在留資格の特徴や、どのような条件の人が申請できるかなど、ひとつずつ見ていきましょう。

「技術・人文知識・国際業務」

大学を卒業したホワイトカラーの事務職の方が取得する代表的な在留資格です。すでに25万人以上の方が、この在留資格を持って仕事をしています。この在留資格の特徴としては、「技術」と「人文知識」と「国際業務」の3つの職務内容に大きく分かれています。

 「技術」:理工・工学・その他の自然科学などの分野における技術や知識を要する業務。例えば、ITエンジニアやWEBデザイナー、建築設計業務など

 「人文知識」:法律学・経済学・社会学・その他の人文科学の分野における技術や知識を要する業務。例えば、人事・総務・経理、営業やマーケティング業務など

 「国際業務」:外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を要する業務。例えば、通訳、翻訳業務、外国人(母国の人)を対象としたマーケティングや広報業務など

具体的な業務はそれぞれの企業によって異なりますが、大きく分けて上記3つのカテゴリーに該当する業務を行うこととなります。

そして、この在留資格を申請する際のポイントとしては、大学での専攻科目や履修内容と、就職予定の会社での職務内容の関連性や一致が求められています。例えば、「理工学部システム工学科を卒業した方がITエンジニアに」、「経営学部を卒業した方が財務経理担当に」、「日本語学科を卒業した方が通訳翻訳業務に」、といった具合に、大学での専攻内容と就職後の職務内容の関連性が明確な場合には、比較的容易にこの在留資格の許可を得ることが可能だといえます。この関連性に関しては、大学の卒業証明書だけでなく、場合によっては、履修科目一覧や単位取得証明書、成績表などの証明書類を提出することによって、履修内容と職務内容の関連性を証明していきます。  なお、申請できる留学生に関しては、日本国内の学校であれば、大学卒業だけでなく、専門学校や短大卒でも、この在留資格の申請は可能です。また、日本語能力の証明や専門的な資格などに関しては、申請要件としては必要ではありません。ただし、就業予定の職務内容に業務上必要と思われる資格や能力がない場合には、職務内容の信ぴょう性の観点から在留資格の申請が不許可になる場合もあります。

「特定活動46号」 

この在留資格は、2019年5月に新たに作られた比較的新しいいもので、「技人国」よりも認知度は低く、企業にも留学生にもあまりよく知られていないようです。

一番の特徴としては、申請人の方が日本の大学、もしくは大学院を卒業していることに加えて、日本語能力検定N1の合格、もしくは、BJT日本語能力テスト480点以上を取得することが要件となります。

 また、入社後に担当する職務内容に関しては、「技人国」のように、大学での履修科目や選考内容に縛られることはありません。さらに、いわゆるホワイトカラーの事務職や学術知識を使う専門的な仕事に限定されず、現場での作業や単純労働も業務の一部として担当することができます。つまり、「技人国」よりもカバーできる職務内容が広く、飲食業やサービス業、製造業や建築業など、現場労働も伴うような業態と相性の良い在留資格だといえます。ただし、この在留資格を取得するためには、高い日本語能力・コミュニケーション能力が求められていることから、職務を行うにあたっては、日本語での高度なコミュニケーションを伴う業務であることが必要とされています。よって、現場での作業や単純労働だけのための採用であったり、日本語でのコミュニケーションが全く必要とされていない業務に就くことはできません。採用予定の外国人の方が、入社後どのような職務を担当するかに関しえては、在留資格変更申請の際に提出する、「雇用理由書」の記載によって説明をしていくことになります。

「高度専門職」

この在留資格も2012年に創設された、比較的新しいものです。高度専門職の在留資格は、1号と2号、そして職務の内容によって、それぞれ、(イ)(ロ)(ハ)の3つのタイプに分かれています。外国人留学生が大学を卒業後、企業に就職することを想定しているのは、高度専門職1号(ロ)となります。

この在留資格に関しては、「高度専門職ポイント計算表」を使って、申請人の学位や出身大学、職歴、年収、年齢などを計算していき、高度専門職1号を申請する基準点である70点に達しているかどうかで、申請ができるかが決まります。さらに、年収の最低限度額も300万円と決まっているため、見込年収が300万円以上あることを証明する書類を企業側に発行てもらう必要があります。

学歴に関しては、日本の大学(院)だけでなく、海外の大学(院)も対象になります。ポイント計算表で加点を得るためには、世界ランキングの上位にランクインしている有名大学や、文科省の指定するスーパーグローバル大学などを卒業していること。また、特許登録されているものを持っていたり、日本語能力検定N1の合格者も、加点評価の項目があるので、ポイント計算上有利となります。

高度専門職の在留資格を持つ方の優遇措置に関しては、別の記事で詳細をご紹介していますが、①永住申請まで最短で1年間、②親を日本に呼ぶことができる というほかの在留資格にはない、2つの大きなメリットがあるため、まずはご自身の点数をポイント計算表で確認したうえで、可能性のある方はまずは「高度専門職」の在留資格の取得をチャレンジしたほうが良いといえます。

まとめ

四年制大学を卒業する留学生が変更可能な就労系在留資格に関して、それぞれの特徴や申請要件に関してまとめてきました。大卒のいわゆるホワイトカラー事務職・専門職となると、「技人国」の在留資格が一番に思いつく方が多いと思いますが、「特定活動46号」や「高度専門職」等、比較的新しくできたこれらの在留資格のほうが、職務内容的にマッチしているだけでなく、申請人される方の要件により合致していて、許可がとりやすいというケースもあります。どの在留資格が一番適しているかに関しては、ビザや在留資格を専門に扱う、申請取次行政書士に相談をされ、的確なアドバイスをもらうことをお勧めいたします。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として生活しようとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、就労系在留資格への変更に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。