ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。

私は主に、北海道の宿泊業や観光業で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの、新規取得や更新手続きのお手伝いを行っています。

今回は、就労ビザを取得する際に、行政書士に依頼するメリットについて解説していきます。

はじめに

一般的に行政書士の仕事は、依頼者様の代わりに書類を作成し、それを官公庁(ビザ・在留資格の場合は出入国在留管理庁)に提出することです。本来であれば、依頼者様ご本人が出来ることを、行政書士が代理でして差し上げるということになります。就労ビザだけでなく、その他の種類の在留資格に関しても、申請に関する手続き方法や必要書類等の情報は、基本的にすべて出入国在留管理庁のホームページに掲載されています。更に、ご親切にも、申請用紙のダウンロードまで出来るようになっています。行政書士の私が言うのもなんですが、ご依頼者様が手間と時間をかけて、出入国在留管理庁のホームページを調べるなど情報収集をしっかりすれば、行政書士に依頼をしなくても、全てご自身でできてしまいうのではないかと思います。しかし、当事務所だけでなく、在留資格申請業務を取り扱う行政書士事務所の数はかなり多いことからも、おそらく、多くの外国人の方々は、行政書士事務所に書類作成や申請を依頼していることが想定されます。では、なぜ、行政書士にビザ申請の手続きを依頼するのでしょうか?そのメリットとして以下の項目が挙げられます。

出入国在留管理庁のホームページの記載が難しい

ビザの申請や更新に関して、出入国在留管理庁のホームページには、親切丁寧に細かい情報まで書かれています。しかし、漢字や専門用語が多く、通常、普通の日本人が読んだとしても、1回で100%完璧に理解できる人は少ないと思われます。また、読んで理解できたとしても、例えば、「給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表」って、そもそもどんな書類なのか?誰に依頼をしたらよいのか?どうやったら発行してもらえるのか?といったことを全てわかっているひとは、更に少ないのではないかと思います。外国人の方がこのホームページを見て、全て正確に理解するには、ご自身で調べるだけでなく、日本人の友人知人にも聞くなど、かなりの手間と時間がかかることが想定されます。

出入国在留管理庁のホームページに記載されている提出書類は、必要最小限のものでしかない

日本で申請できる29種類のビザ(在留資格)に関しては、手続きの種類(新規取得、期間延長・更新、種類変更等)によって、必要とされる書類は、出入国在留管理庁のホームページにすべて記載されています。ただし、これらの書類は、申請を受理される、つまり、窓口に書類を提出したら受け取ってもらえる、最低限必要な書類であって、申請の許可をもらうのに必要十分な書類ではありません。なぜならば、書類一覧の一番下に、

「申請頂いた後に、当局における審査の過程において、上記以外の資料を求める場合もありますので、あらかじめ、ご承知おき願います。」

という追記があるように、実際の実務上では、ホームページに記載されている書類しか提出しなかった場合は、審査の途中で、審査官から追加書類や追加説明の書類を提出するように要請が来ることがほとんどです。もちろん、追加提出の依頼があった段階で、それらの書類を準備して提出するということでも問題はないのですが、その分、審査結果が出るまでの時間が余計にかかりますので、出来れば、追加書類の提出なしに審査が完了し、許可が出ることに越したことはありません。

では、行政書士は、どうやって最初の申請の段階で、出入国在留管理庁が審査に必要十分と思われる書類を準備することができるのでしょうか?これは、行政書士が、過去の似たような事情・状況の申請経験に基づき、どのような書類を提出したら、雇い入れ企業の経営の安定性や、外国人従業員雇用の必要性、職務内容の信ぴょう性といった、ビザ発給が許可になるための重要なポイントを最大限証明できるかを考えて、提出書類を決めていきます。よって、今回の申請が初めてというご依頼者様がご自身で、必要書類の見極めをするのは、正直なところ難しいと言えます。

時間と手間の大幅な節約になる

就労ビザの取得や更新手続きをする場合、3ページの申請書と、それに添付する様々な書類を準備する必要があります。まず申請書は、一字一句誤りなく、また事実に基づき嘘偽りなく記入する必要があります。それだけでも大変な労力がかかりますが、これに加えて、様々な書類を、いろいろな相手先から集めなくてはならないのです。就労ビザの種類によって異なりますが、「最終学歴の卒業証明書」や、「実務経験を証明するための在籍証明書」、「住民税の課税証明書」など、ホームページに記載されている書類をそろえる必要があります。これらは一か所ですべて入手できるものではなく、市町村役場や税務署だったり、過去の勤務先や在籍校だったりと、平日昼間にお仕事をしている方は、役所の窓口の空いている時間に書類を取りに行くのは、仕事の調整などなかなか大変なのではないかと思います。行政書士に手続きを依頼した場合は、申請書や質問書の作成は代わりにやってもらえますし、日本の役所で発行される書類は代理取得をしてもらえます。これらの書類をお任せできるだけでも、かなり手間と時間は省けますし、更に、本国書類の翻訳の手配を格安でしてくれるような事務所があります。ご依頼者様は、どうしてもご自身で取得しなければならない、出身国で発行される書類など、必要最小限の数点の書類のみをご自身で取得いただけばよいということになります。

※各行政書士事務所によって、申請サポートのサービス内容は異なりますので、ご依頼される前に、何をやってもらえるのか、そしていくら費用が掛かるのかは、個別・具体的に確認をしてください。

会社の機密書類を従業員に渡さなくてもよい

就労ビザの必要書類は、企業のカテゴリーによって提出書類が異なりますが、上場企業や大企業等、カテゴリー1に属する企業以外は、経営状況や決算に係る書類を提出する必要があります。例えば、「前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」であったり、「登記事項証明書」や「決算書」、「事業計画書」等、カテゴリーによって必要書類は様々です。上場企業であれば、これらの情報はホームページなどで公開されているものも多いのですが、中小企業では決算の状況や事業計画などを、従業員にも公表している会社は多くないようです。外国人従業員がビザの申請をする場合は、こういった会社の機密情報(もしくは、あまり従業員には見せたくない情報)が書かれている書類を、従業員に渡さなくてはならないという状況になります。行政書士に申請を依頼すれば、このような書類は、行政書士と依頼企業が直接やり取りをすることができるため、従業員の目に触れることなく手続きを進めることが可能です。

出入国在留管理庁の窓口に行かなくても良い

例えば、就労ビザへの変更や期間更新手続の場合、合計2回、窓口に出頭する必要があります。1回は、申請書類一式を提出するため、もう1回は、審査結果が出た際に、新しい在留カードを受け取るためです。地域によって差はありますが、窓口はどこも非常に混雑しており、2~3時間待ちは当たり前、というところがあります。窓口で番号札を引いて待つだけの時間は、お仕事が忙しい方であれば、その時間をほかのことに有効に使いたいと思われるはずです。行政書士は、申請書類の代理提出、及び、結果の受け取り、在留カードの代理受け取りが可能ですので、ご依頼者様は、1回も出入国在留管理庁の窓口に行かずして、ビザの変更や更新の手続きをすることが可能です。

不許可になるリスクが自己申請よりも低い

ビザ申請が許可になるかどうか、最終的な判断は出入国在留管理庁(法務大臣)にあるため、行政書士に手続きを依頼しても、100%許可がもらえるという保証はありません。しかし、ビザ・在留資格申請を専門に扱う行政書士に依頼をすることで、過去、数多くの申請を取り扱った経験則から、理由書の記載方法や添付書類の選択など、許可が得られるよう最善の方法を考えて申請に向けて準備をすることが可能になります。出入国在留管理庁のホームページには書かれていない、許可を得るためのノウハウやヒントを十分活用して申請に臨むことが出来るため、一般的には、初めての方が自己申請で手続きを行うよりも、不許可になるリスクは低いと言えます。

まとめ

以上、就労ビザの申請を行政書士に依頼する6つのメリットをお伝えしました。唯一、大きなデメリットとして挙げられるのは、行政書士に依頼するには費用が掛かることです。だいたい、10万円前後が標準的な料金だといえますが、場合によっては、プラス加算料金が必要となり、15 万円~20万円程度掛かる場合もあります。この辺は、ご自身の時間と手間がどれくらいかかるのかを考慮し、費用対効果を考えてみることをお勧めします。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、就労ビザの取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。