ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。

北海道で唯一の、観光業界とビザ申請に特化した行政書士として、主に、北海道の宿泊業や観光業で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、在留資格「高度専門職」に該当するかを判断する、「高度専門職ポイント計算表」において、学歴がどの程度影響するかを解説していきます。

はじめに;高度専門職ビザとは?

「高度専門職」ビザとは、高度人材を外国から招聘するために、ポイント制度を用いた出入国在留管理上の優遇制度で、2012年5月に開始されました。主に、「教授」、「研究」、「技術・人文知識・国際業務」、「経営・管理」等、いわゆるホワイトカラーの職務内容を行う在留資格を申請するような方が対象となります。この在留資格を申請する場合には、「高度専門職ポイント計算表」を使って、「学歴」・「年収」・「職務経験」・「年令」等の基準をポイント計算して、70点をクリアしていれば、証明資料を添付しして申請をすることが可能です。このポイント計算の中でも、特に学歴に関する項目は加点項目が多いため、ここでたくさん点数を積み重ねることが出来るかが、重要なポイントになっています。今回は、学歴がどのような形で評価されているのかを、今回は「高度専門職(ロ)」のポイント計算表から解説をしていきます。

学歴に関して

学歴が高い方がポイントは高い、ということは想像できますが、取得学位によってどれくらい違うのでしょうか?

   ①博士学位を取っている場合  30点

   ②経営管理に関する専門職学位(MBA等)25点

   ③修士又は専門職学位     20点

   ④大卒またはそれと同等の教育 10点

   ⑤複数の分野における2以上の博士若しくは修士の学位又は専門職学位 5点

という具合に、大卒(学士)と博士では20点の差、MBAとでは15点の差があります。また修士以上の学位を2つ以上持っていると、5点が加算されます。

日本の大学/院か、それ以外の国か?

日本の大学若しくは大学院を修了している場合は、10点が加算されます。なお、学歴からは逸れますが、日本語能力試験N1に合格している方は15点が加算されます。通常、日本の大学を卒業する方は、日本語に関しても高い能力を取得していることが多いため、この2項目で合計25点を取得できる方がほとんどではないかと思われます。但し、日本語能力試験N2に関しては、日本の大学/院卒の場合にはポイントを加算することはできません。

世界的に有名な大学かどうか?

これは、世界で主要な3つの大学評価ランキングのうち、2つ以上で上位300位以内に入っている場合には、10点が加算されます。この3つの大学ランキングとは、

 ①クアクアレリ・シモンズ社のWorld University Rankings

    ②タイムズ社のWorld University Rankings

    ③上海交通大学のAcademic Ranking of World Universities

の3つです。例えば、タイムズ社の2022年度のランキングでは、イギリスのオックスフォード大学が1位、アメリカのカリフォルニア工科大学が2位、アメリカのハーバード大学が3位、と世界的な有名校・超難関校が続き、東京大学が35位、京都大学が61位、東北大学が200‐250位という感じなので、かなり狭き門になります。

文科省の特定事業で指定されている大学かどうか?

前述の世界ランキング300位以内の大学ですと、日本国内には3つ程度しかありませんが、文科省の特定事業の指定を受けている大学だとその数は多くなります。この特定事業は2つ挙げられていて、

①文科省の指定する「スーパー・グローバル大学創成支援事業」 :日本国内の37大学

②文科省の指定する「イノベーティブ・アジア事業」のパートナー校 :アジア12か国の60大学

が対象になっています。これらに該当する場合は、10点が加算されます。

もちろん、世界ランキング300位以内に該当する大学と重複する学校もありますが、数としてはかなり多くなり、いわゆる各国の難関大学と言われる大学が該当することになります。なお、(3)と(4)は重複加点することが出来ず、どちらかが該当すれば10点となります。

まとめ

上記のポイント加算を踏まえて、例えば、「東京大学」の「博士課程修了」、「日本語能力試験N1合格」の方の場合は、30点+10点+15点+10点=65点となります。高度専門職に必要なポイントは70点以上なので、そのほか1項目で5点以上のポイントが獲得できれば、申請が可能になります。例えば、この方が30歳未満であれば、年齢のポイントだけで15点が獲得できるので、実務経験年数が無くても80点に達することとなります。なお、どんなにポイントが高くても、年収が300万円以上でないと高度専門職の要件は満たしていないことになりますので、注意が必要です。

今回は、学歴によるポイント加算の重要性に関して解説をしてきましたが、学歴以外にも考慮されるポイントがあるため、一概に学歴が多い(長い)とプラスに加算されるということはありません。在学期間が長く、就職する年齢が高くなれば、年齢が若いことによるポイント加算は少なくなり、また、在職期間が短い場合は職務経歴年数による加算ポイントも低くなってしまいます。さらに、年収に関しても、在籍年数が長くなるほど高くなる傾向になり、年収が高くなれば獲得できるポイントも大きくなることから、学歴の見にフォーカスしすぎるのではなく、「学歴」「年齢」「職務経験」「年収」の4つのバランスが大切だといえます。一般的に年齢が若い方がポイント計算上では有利になりますので、高度専門職の在留資格を検討されている方は、まずは大学/院を卒業した際に、ご自身が何ポイント取得できているかを計算してみることをお勧めいたします。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として生きていこうとする、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、高度専門職への在留資格変更に関しての条件面、手続き面、ポイント計算に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。