ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。
私は北海道唯一の観光産業とビザ申請に特化した行政書士として、北海道の宿泊業や観光業で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの、新規取得や更新手続きのお手伝いを行っています。
今回は、就労系の在留資格(ビザ)を持って働いている人が、解雇や雇止めなど、会社都合で離職をした場合に、就労ビザはどうなるのか?について解説をしていきます。
はじめに
就労ビザを持って日本で働く外国人の方が、解雇や雇止めにあって退職(離職)をした場合、在留資格の有効期間内であれば、日本にそのまま居住をすることができます。会社都合での離職であったとしても、退職時に在留資格が剥奪されることはありません。引き続き日本での生活を希望する方は、法律で定められた手続きを確実に行いながら、新しい勤務先を探すことができます。必要な手続きのうち、主要なものは以下の通りです。
必要な手続①「契約機関に関する届出」
就労ビザを持って日本で働いている外国人の方も、働いていた会社を辞めて別の会社に転職するのは、よくあることかと思われます。転職や離職などで、勤務先(所属機関)が変わった場合には、法務大臣への届け出が義務付けられています。例えば、「技術・人文知識・国際業務」や「技能」、「高度専門職(イ)(ロ)」、等の就労ビザを持つ外国人の方が、会社を退職した場合には、「契約機関との契約を終了したとき」に該当するため、退職日から14日以内に「契約機関に関する届出」を行わなければならないとされています。この届出に関しては、自己都合退職、もしくは会社都合退職どちらも関係なく、退職をした場合には届出が必要な手続きとなります。そして退職後、転職先の会社が決まり、新しい会社に入社した場合には、「新たな契約機関と契約を結んだとき」に該当するため、入社日から14日以内に、「契約機関に関する届出」を行うことが義務づけられています。
必要な手続②「ハローワークで雇用保険の受給手続」
就労ビザを取得して仕事をしていた外国人の方が退職(離職)をした場合、ハローワークで雇用保険の受給手続きを行うことで、再就職が決まるまでの間、日本人と同様に「失業手当」を受給することができます。届出の必要書類として「離職票」があり、これは、前職の会社に発行してもらう必要があります。これをハローワークに持参して、「求職の申し込み」や、「雇用保険受給者説明会」への参加を経て、待期期間の後、雇用保険(失業給付)が受けられます。雇用保険の手続き方法に関しては、ハローワークの相談窓口や、社会保険労務士の先生に詳細を確認するとよいでしょう。
必要な手続③「在留資格変更許可申請」
退職後、転職先の会社が決まった場合に、在留資格はどうなるのでしょうか?これは、現在もっている在留資格の種類によって異なります。
「特定活動46号=大学卒業+日本語能力」、「高度専門職」、「特定技能」を持つ方
これらの在留資格を持つ方が転職をする場合は、前職と同じ職務内容を担当する予定で、在留資格そのものを変更する場合でなくても、「在留資格変更許可申請」が必要となります。その理由として、これら3つの在留資格では、パスポートに貼付された「指定書」に、勤務する会社名や住所が記載されており、これらは在留資格とセットになっています。つまり、勤務先が変わる以上、「指定書」に記載されている企業名も変更する必要があることから、在留資格そのものを変更する手続きを取らなければならないのです。
上記以外の在留資格を持つ方
原則として、「在留資格変更許可申請」は不要で、次回の在留期間更新の時までは在留資格に関する手続きをせずに仕事をすることができます。ただし、新たな会社での職務内容は、前職の会社で担当していた職務内容と同じ場合に限られます。在留資格に該当しないような職務内容、例えば、「技人国」を持つ人が現場作業や工場で単純労働を行うような場合には、在留資格該当性がないことから、発覚した場合には不法就労で処分される可能性もありますし、在留期間更新許可申請の際には、許可にならない可能性が高いです。現在の在留資格で、新たな会社での職務内容に従事できるか心配な場合は、出入国在留管理庁に「就労資格証明書交付申請」を行い、在留資格の該当性の確認をすることが可能です。
無職期間中に在留期限が迫ってきた場合は?
前職を退職後、就職活動をしていても、新たな仕事がなかなか決まらないことがあります。就職活動をしている間に、在留期限が迫ってきた場合には、どのような手続きをすればよいのでしょうか?
解雇や雇止め等、会社都合で退職(離職)した方の場合
解雇や雇止め等、会社都合で退職をした方の場合は、「就職活動のための告示外特定活動」の在留資格に変更することができます。この特定活動の場合、資格外活動許可を得ることができますので、就職活動の傍ら、週28時間までのアルバイトをすることが可能です。ただし、在留期間は6か月となっており、この特定活動は在留期間の更新ができません。この6か月の間に転職先を見つけて、就労系の在留資格に変更できない場合には、それ以上日本に在留することができず、指定された期間内に出国をする必要があります。
自己都合で退職(離職)した方の場合
残念ながら、「就職活動のための告示外特定活動」の在留資格を取得することはできません。もともと持っている在留資格の有効期間内に、新たな転職先を見つけて在留期間更新許可申請を行なうことができない場合は、在留資格の有効期限の日までに、日本を出国しなければならないのです。もしくは、就労系以外の在留資格、例えば、結婚をすることで、「日本人の配偶者等」、もしくは「永住者の配偶者等」に変更するということもできなくはありません。
まとめ
就労ビザを持つ外国人の方が、会社を退職した場合の必要な手続きに関してまとめてみました。一番避けなければならないのは、無職の期間中に在留資格の有効期限が来てしまうことです。会社都合で離職した場合には、告示外の特定活動の在留資格を使って、6か月間在留期間を延ばすことができますが、それでも新たな勤務先が決まらない場合は、日本から出国せざるを得なくなります。また、外国人の方であっても、在職中に一定期間、雇用保険を支払っていれば、無職の期間中に雇用保険(失業給付)を受けることができます。必要書類や手続きがわからない場合は、ハローワークの相談窓口や、前職の会社の人事総務の担当者に確認をするとよいでしょう。
ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、在留資格を持つ外国人の方の再就職の手続きや、転職時の在留資格に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。