ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、技能実習生が実習期間終了後も日本に滞在したいと思った場合に、どのような方法が取れるのか、主な方法を解説していきます。なお、この手続きは、どれも完了するまでに時間が掛かること、また、技能実習生のビザの有効期間内に手続きをすべて完了させなければならないという注意点があります。

はじめに

技能実習生が期間終了後も日本に滞在する方法は、次の4点が挙げられます。

1)在留資格の変更すること:技能実習生の在留期間終了後に、在留資格を変更することで、そのあとも日本に滞在をすることが可能です。現段階で一番多いのは、「特定技能」の在留資格に変更することです。専門的・技術的職業分野における就労を目的とする在留資格「特定技能」の取得が可能であれば、技能実習生から特定技能に移行することができます。

2)日本人と結婚すること:技能実習生が日本人と結婚をして、「日本人の配偶者等」の在留資格に変更することで、結婚をしている期間中は日本に滞在をすることが可能になります。

3)日本企業に雇用されること:在留期間内に日本企業から正規雇用を受けることで、正規の就労ビザを取得することができ、これによって日本に滞在することが可能になります。

4)留学をすること:日本語学校や専門学校、大学などに入学をすることによって、留学ビザを取得できれば、日本での滞在が継続できます。

特定技能ビザに変更する際の流れ

技能実習生が、特定技能ビザに変更する際の概要をお伝えします。

①特定技能ビザに移行できる職種の中で、新たな勤務先と仕事を探すこと。現在の技能実習の実習分野(従事している職種)によって、移行可能な職種が規定されています。まずはご自身の現在の職種は、どの特定技能の職種に変更が可能かを確認します。また、場合によっては、特定技能試験を受験し、合格しなければならないこともあります。

②移行可能な職種に従事できる会社を探して内定を得ます。効率よく勤務先を探すために、人材紹介会社に登録をする人も多いようです。

③新たな勤務先と雇用契約を結びます。雇用契約が完了すると、在留資格変更に必要な書類を会社側に準備してもらい、在留資格変更の手続を行います。

④在留資格の変更申請を行います。居住地を管轄する出入国在留管理局に必要書類を提出します。審査は1カ月から3カ月程度かかります。審査が完了し、新しい在留カードを入手後に、特定技能として新たな勤務先で仕事をすることが可能になります。

日本人の配偶者等のビザに変更する際の流れ

①日本人の配偶者(結婚する相手)がいることが大前提となります。

婚姻届けを提出するだけでなく、交際の事実や夫婦として共同生活をするなど、実態のある結婚である必要があります。

②日本人の配偶者等の在留資格の要件を満たしていること。

夫婦で生活をして生計を維持できる収入や資産があること、同居生活ができる住居が確保されていること、犯罪歴(過去の在留状況に違反がないことを含む)がないことや、税金・健康保険・年金などの社会的義務をきちんと果たしていることが審査されます。

③結婚の手続と書類の準備。日本人の配偶者等の在留資格を取得するためには、日本と、外国人の出身国の両方で、正式な婚姻手続きが終了している必要があります。そのため、まずは両国で結婚手続きを完了させ、政府の発行する公式な婚姻証明書を取得すること。日本に関しては、結婚の手続が完了すると、日本人側の戸籍謄本に結婚相手の外国人の氏名や生年月日、出身国などが記載されます。この戸籍謄本を結婚の証明書類として提出します。

④出入国在留管理局へ申請。全ての書類を揃えて、住居地を管轄する出入国在留管理局の窓口に申請を行います。オンラインでの申請も可能です。結果が出るまでには、1か月~3か月程度時間が掛かります。途中、追加書類の提出依頼が来ることもあります。その場合は、期限内に指定された書類を提出(郵送もしくは窓口へ持参)します。

※日本人の配偶者等のビザに変更が完了すれば、就労制限はなくなります。日本人と同じように自由に働く会社や仕事内容を選ぶことができます。また、勤務時間の制限もなくなりますので、正社員として週40時間の勤務、そして残業も可能になります。

日本企業に雇用される際の流れ‐技術・人文知識・国際業務(技人国)への変更

①技人国に変更する場合に、申請人(外国人)は、海外の短大・大学の卒業、若しくは、日本国内の専門学校・短大・大学を卒業し、学位を取得している必要があります。高校卒業のみの方は、原則として技人国への変更はできません。

②希望する職務内容が、技人国ビザの範囲内であること。このビザで認められる活動内容は、いわゆるホワイトカラーの知識労働になります。現場労働や単純作業に関しては対象外となります。また、高等教育機関での履修内容と、勤務先の職務内容の関連性があることが必要とされます。

③就業可能な職種を募集している会社を探して内定を得ます。効率よく勤務先を探すために、人材紹介会社に登録をする人も多いようです。

④新たな勤務先と雇用契約を結びます。雇用契約が完了すると、在留資格変更に必要な書類を会社側に準備してもらい、在留資格変更の手続を行います。

⑤在留資格の変更申請を行います。居住地を管轄する出入国在留管理局に必要書類を提出します。審査は1カ月から3カ月程度かかります。審査が完了し、新しい在留カードを入手後に、正式に新たな勤務先で仕事をすることが可能になります。

留学の在留資格に変更する際の流れ

①入学を希望する、日本語学校や大学、専門学校を決めて、入学手続きを行います。

②入学許可証が発行された後、在留資格変更許可申請の手続きを行います。必要書類を揃えて、居住地を管轄する出入国在留管理局に提出して審査を受けます。審査は1カ月~3カ月程度かかります。

※留学の在留資格に変更後は、技能実習生として実習活動を行うことは出来なくなります。また、資格外活動許可を得ない限り、アルバイトをすることもできませんので注意が必要です。

まとめ

技能実習生が実習期間終了後も日本に滞在を希望した場合の、主な方法に関して手続きの流れを解説しました。まずは在留資格(ビザ)を変更しなければならないのですが、それぞれのビザには、許可になるための条件が必ずあります。これをクリアできなければ変更は不可能ですので、出入国在留管理局のホームページに記載されている要件と、ご自身の状況をよく確認する必要があります。また、技能実習ビザに限らず、変更の手続は有効期間内に申請を完了してください。1日でも有効期限を過ぎてしまうと、オーバーステイ(不法滞在)となり、変更や更新の手続きは不可能になります。申請書類の準備には時間が掛かり、また、現在の雇用主や関係者の理解も必要な場合もありますので、早めに相談をして準備を始めるとよいでしょう。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、就労ビザ取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。