ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、既に日本に居住していて何らかのビザを持っている方が、日本人の方と結婚をして、「日本人の配偶者等」の在留資格への変更申請した際に、不許可になりやすい注意すべきケースについて解説していきます。

はじめに 「日本人の配偶者等」の在留資格の審査のポイント

出入国在留管理庁の審査官が「日本人の配偶者等」在留資格の審査をするにあたって、一番気を付けて確認をしていることは、「結婚の信ぴょう性」、つまり、この結婚は実体を伴う本当の結婚であって、偽装結婚ではないか?ということだと言えます。偽装結婚は不法滞在、不法就労等の犯罪につながる入口であり、さらに、薬物の密売や売春行為など、重大な犯罪の温床になりかねないのです。また、いままで日本に居住していた期間の在留状況が良くない場合、例えば、法律違反や資格外活動違反などがある場合、順法意識の低い外国人に「日本人の配偶者等」の在留資格を与えると、その後も何らかの違法行為を繰り返し犯罪につながるかもしれないという懸念があります。更に、結婚生活を維持できるだけの収入基盤があるかどうかも重要なポイントになります。経済的な困窮から、不法行為や犯罪行為に加担することも考えられるため、そのようなことにならないためにも、生計を維持できるだけの収入があることも、証明が必要なことになっています。これらのことを踏まえて、「日本人の配偶者等」の在留資格への変更が不許可になりやすいケースは以下のような場合が挙げられます。

結婚の信ぴょう性が低い場合=偽装結婚が疑われる場合

結婚の信ぴょう性が低いかどうかの判断基準としては、一般的な日本人の結婚像、から外れているかどうか、またその外れ方がより大きくなればなるほど、結婚の信ぴょう性は低くなります。これは日常生活上の肌感覚、常識的な感覚になってきますが、例えば、年齢差5歳程度までの夫婦であれば、皆さんの周りにも普通にいるし、そんなに珍しいことではないかと思われます。しかし、これが15歳以上の年齢差がある夫婦となると、極端に少なくなり、皆さんの知り合いの中にはいない人もいると思われます。このように、ご自身の身の回りにいないような夫婦の組み合わせ、それを知ったときに「驚き」や「どうして結婚したの?」「この人を選んだ理由は?」といった疑問や、「ほんとに結婚して大丈夫なの?」と思う心配があるようなご夫婦の結婚は、一般的に結婚の信ぴょう性が低いといえます。「日本人の配偶者等」の在留資格の審査にあたって、審査官が結婚の信ぴょう性が低いと思われるのは、例として次のようなケースが挙げられます。

①夫婦の年齢差が大きい場合、特に15歳以上の年齢差がある場合

②夫婦のどちらかが高齢の場合、特に50歳以上の場合

③交際期間がかなり短い場合

④初めての出会いから、結婚までに1・2回しか会っていない場合

⑤再再婚以上の結婚・離婚歴があり、相手が外国人の場合(逆に外国人側の相手が日本人の場合)

⑥結婚式をしていない場合

⑦出国命令や退去強制処分歴、犯罪歴がある場合

上記のような項目に該当するようなご夫婦の場合は、申請にあたっては、通常の申請よりも、より丁寧に結婚の信ぴょう性を証明するための写真や追加説明資料を準備し、具体的かつ客観的な証拠によって結婚の信ぴょう性を証明していく必要があります。

過去の在留状況が良くない場合=不法就労等が疑われる場合

まず、申請書の中に、過去の、出国命令による自主出国歴や退去強制歴の有無が確認されます。過去、オーバーステイ(不法滞在)によって、自主出国歴があるような場合、その事実は隠さず正確に伝えることが大前提としてあります。出入国在留管理庁のデータベースには、過去の在留状況は全て履歴として残っているので、隠そうとしても隠せることではありません。やましいことがあるから隠しているのではないか?と審査官の心象は悪くなり不許可になる可能性は高くなります。

また、出国命令や退去強制歴が無くても、在留状況が良くなかったことが、審査の中で発覚する場合もあります。例えば、「留学」の在留資格を持っていた方と結婚する場合、「日本人の配偶者等」への在留資格変更の審査の際に、過去の在留状況を調べられることがあります。資格外活動許可を取得してアルバイトをしていたようなケースでは、審査の途中で、「住民税の課税(納税)証明書」や「アルバイト先の源泉徴収票」等の提出を求められます。これらの書類によって、年間の総収入額が分かってしまうのですが、その金額が、年収300万円以上といったような、週28時間では到底稼げないような金額だったりすると、週28時間を超過してアルバイトをしていた資格外活動違反、いわゆるオーバーワークをしていたことが発覚します。これは、不法就労という犯罪行為ですので、このような状態にあった人がそのまま、「日本人の配偶者等」の在留資格への変更申請が許可になる可能性は低いです。

生計が維持できるような収入・経済基盤がない場合=最初から就労を目的とした結婚が疑われる場合

既に外国人配偶者が日本に在留しており、就労系在留資格を持って安定した収入がある場合には、日本人側の収入だけで生活をしていくことにはならないため、日本人の年収自体に関しては、それほど大きな問題にはならないと思われます。しかし、外国人配偶者側が留学生で、週28時間程度のアルバイト収入しかないような場合、日本人側の収入やある程度の経済基盤がないと、結婚生活を維持できるかどうか、審査官が疑念を持つことになります。もちろん、日本人の夫婦でも、専業主婦の家庭は少なく、夫婦共働きは珍しいケースではありません。しかし、国際結婚の場合には、無職の日本人と結婚をし、外国人配偶者が仕事をするという前提だと、「最初から働くことを目的としている」つまり就労目的の偽装結婚ではないか?というような構図で、この結婚の信ぴょう性は低い、という判断をされて、申請が不許可になってしまうことがあります。

まとめ

「日本人の配偶者等」の在留資格への変更に関しては、「結婚の信ぴょう性」「過去の在留状況」「生計を維持できる経済状態」の3点が審査のポイントとなると思われます。特に「結婚の信ぴょう性」に関しては、説明の仕方や任意書類の内容によって、審査官の判断が大きく分かれるところです。私たち行政書士は、嘘の結婚を本当の結婚と偽って申請できませんし、それは犯罪行為ですので、絶対にそのようなことはしません。ただし、本当の結婚であるにもかかわらず信ぴょう性が低く見えるものに関しては、様々な証拠書類の収集や提出に関してアドバイスをさせていただき、真の結婚であることを立証するお手伝いをさせていただいております。上記の項目に該当し、ご自身で申請されることが不安な方や、すでにご自身で申請をして不許可になってしまった方は、是非、お近くの行政書士にご相談をされることをお勧めいたします。

行政書士あけやま事務所は、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて愛し合い、幸せな家庭を気づきたいと思うご夫婦を、全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、私たちは国際結婚できるの?といった条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。