ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、「みなし高度専門職」とはどんな人が該当するのか、また、どのようなメリットがあるのかを解説していきます。

はじめに;「高度専門職」と「みなし高度専門職」とは?

まず、「みなし高度専門職」とは、「高度専門職」の在留資格は取得していないけれど、「高度専門職ポイント計算表」を使って学歴や年収等のポイントを計算すると、高度専門職の申請基準を、一定期間クリアしている外国人の方のことを言います。ちなみに、「高度専門職」とは、高度人材を外国から招聘するために、ポイント制度を用いた出入国在留管理上の優遇制度で、2012年5月に開始されました。就労系在留資格のうち、「教授」、「研究」、「技術・人文知識・国際業務」、「経営・管理」等、ホワイトカラーの職務内容を行う在留資格を取得するような外国人の方で、「学歴」・「年収」・「職務経験」・「年令」等の基準をポイントにして、ある一定の基準を超えた方のみが、申請・取得できるのが「高度専門職」です。この在留資格を持つ人は、日本で居住、生活するうえで、他の在留資格にはない様々な優遇制度が用意されています。これを踏まえて、具体的にどのような外国人の方が「みなし高度専門職」に該当するか、次の項目で詳しく見ていきます。

どのような人が該当するのか?

在留資格「高度専門職」の基準に該当するかどうかは、「高度専門職ポイント計算表」に基づき計算されたポイントによって判定しますが、合計年数によって必要な年数が異なってきます。

①合計ポイントが70点以上、80点未満の場合:70点以上の期間が、3年以上前から継続している必要があります。

②合計ポイントが80点以上の場合:80点以上の期間が、1年以上前から継続している必要があります。

これらの条件に該当している外国人の方は、現在保有している在留資格が、「技術・人文知識・国際業務」や「教授」、「研究」等、「高度専門職」の在留資格を取得していなくても、「高度専門職」と同等の高度人材とみなされるため、「みなし高度専門職」という扱いになります。

「みなし高度専門職」のメリットは?

この「みなし高度専門職」に該当する方のメリットは、在留資格「永住」を取得する際に、住居要件の基準が「高度専門職」の在留資格を持っている方と同じ条件になります。例えば、「永住」の申請を行う日から逆算して3年前から70点~79点をクリアしている方、若しくは、1年前から80点以上をクリアしている方は、「永住」の申請要件を満たしているとみなされ、申請を行うことができます。この際に、在留資格を「高度専門職」に変更許可申請をする必要はなく、現在持っている別の在留資格のままであっても、「高度専門職」を持っていると見なして基準が適用され、審査が行われます。つまり、通常、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ方が「永住」の申請を行おうとした場合には、「引き続き10年以上日本に居住し、うち直近5年間以上は就労系の在留資格を持って働いている必要がある」といった居住要件は適用されず、3年(もしくは1年)の居住期間のみで「永住」の申請が可能になるということです。これは、非常に大きなメリットだと言えます。

注意点;あくまでも「みなし」です

この「みなし高度専門職」は、あくまでも「みなし」であって、在留資格は「高度専門職」ではなく、「技術・人文知識・国際業務」や「教授」等のままです。よって、「永住」申請の際の住居要件の短縮以外は、現在取得している在留資格が適用されるため、そのほかのメリットはありません。

例えば、複合的な在留活動の許容 /  在留期間「5年」の付与 / 配偶者の就労 / 一定の条件の下での親の帯同の許容 /  一定の条件の下での家事使用人の帯同の許容 / 入国・在留手続の優先処理

に関しては、「高度専門職」の在留資格を取得した方のみの優遇措置であり、「みなし高度専門職」の方には適用されませんので誤解のないようにして下さい。

まとめ

今回は、「みなし高度専門職」に解説をしてきました。ある一定期間、「高度専門職」に該当するポイントをクリアしている方は、わざわざ在留資格を「高度専門職」に変更しなくても、「高度専門職」の在留資格を持っていると見なして、「永住」の申請を行うことができる制度です。「高度専門職」の在留資格に関しては、前述のようにメリットが大きい反面、転職の際に「在留資格変更許可申請」が義務になっているなど、「技術・人文知識・国際業務」に比べるとデメリットになる部分もあります。「高度専門職」に在留資格を変更するか否かは別として、現在、「教授」、「研究」、「技術・人文知識・国際業務」、「経営・管理」などホワイトカラー系の在留資格を保有している方は、是非一度、出入国在留管理庁のホームページの「高度専門職ポイント表」を確認し、ご自身が何点取得できている状態かを確認されると良いでしょう。ご自身で気が付かないうちに、既に「永住」の申請要件をクリアしていることもありますので、中長期的に日本での在留を希望している方、いつか「永住」を取りたいと思っている方は、早い段階でチェックをされることをお勧めします。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として生きていこうとする、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、高度専門職への在留資格変更に関しての条件面、手続き面、ポイント計算に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。