ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。

北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、特定技能ビザを持つ外国人の方を雇う場合、雇用する企業にはどのようなことが求められているか?について解説をしていきます。「特定技能外国人受入れに関する運用要領」では、特定技能の外国人の方を雇い入れる企業に関して、「特定技能所属機関は、特定技能雇用契約の適正な履行が確保されるものとして特定技能基準省令で定める基準に適合するものでなければなりません」と規定しています。具体的に、16の項目に関して、細かい基準を設けています。今回はその中の1番目に記載されている、「労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること」に関して、具体的に解説をしていきます。

はじめに;特定技能の外国人の方を雇用する企業が遵守しなくてはならない16項目に関して

 「特定技能外国人受入れに関する運用要領」に規定されている、特定技能外国人を雇用する企業が遵守しなければならないと規定されている項目は、以下の16項目となります。

1)労働、社会保険及び租税に関する法令の規定を順守していること

2)非自発的離職者を発生させていないこと

3)外国人の行方不明者を発生させていないこと

4)関係法律による刑罰を受けたことによる欠格事由がないこと

5)実習認定の取り消しを受けたことによる欠格事由がないこと

6)出入国又は労働関係法令に関する不正行為を行っていないこと

7)暴力団排除の観点からの欠格事由がないこと

8)特定技能所属機関の行為能力・役員等の適格性に係る欠格事由がないこと

9)特定技能外国人の活動状況に関する文書を作成し、特定技能外国人が業務に従事する事業所に備えておくこと

10)保証金の徴収・違約金契約等による欠格事由がないこと

11)支援に要する費用の負担に関するもの

12)派遣形態による受入れに関するもの

13)労災保険法に係る措置等に関するもの

14)特定技能雇用契約継続履行体制に関するもの

15)報酬の口座振込み等に関するもの

16)分野に特有の事情にかんがみて定められた基準に関するもの

と、かなり項目も多く、細かな規定が定められ、それぞれに関して受け入れ企業が適合していることが求められます。

労働、社会保険及び租税に関する法令の規定を順守していること

上記16の項目のうち、まず第一として、会社として特定技能所属機関が、労働関係法令、社会保険関係法令、及び租税関係法令を遵守していることが求められています。この項目に関しては、特定技能外国人を雇用するためでなく、会社として労働保険料や社会保険料、各種の税金をきちんと支払っているかどうかが求められています。それぞれ具体的には、

①労働関連法令を遵守していること:労働保険料を未納なく正しく納付していることを、客観的に示す書類を提出することで証明をします。なお、労働保険料に未納があった場合でも、地方出入国在留管理局の助言・指導に基づき納付手続きを行った場合には、労働関係法令を遵守していると評価されることから、必要な手続きを行うことが必要です。また、雇用の経緯をきちんと説明することや、人材派遣会社など斡旋業者を通じて特定技能の方を採用することになった場合は、厚生労働省職業安定局ホームページの「人材サービス総合サイト」で、その業者に関する情報が記載されている画面を印刷したものを提出することで、無料/優良職業紹介事業の許可を受けている適切な業者から、正規な方法であっせん・紹介されて採用が行われていることを証明します。なお、労働関連法令に違反する行為は、欠格事由(不正行為)の対象となり、5年間特定技能外国人の受け入れが認められないこととなりうるため、法令を遵守した受け入れを行うよう、留意する必要があります。

②社会保険関連法令を遵守していること:健康保険料・厚生年金保険料の領収書など、未納なく適正に納付していることを示す書類を提出します。なお、社会保険料に未納があった場合でも、地方出入国在留管理局の助言・指導に基づき納付手続きを行った場合には、社会保険関係法令を遵守していると評価されることから、必要な手続きを行うことが必要です。

③租税関連法令を遵守していること:「国税」、「地方税」ともに納税証明書などを提出し、未納なく適切に納税をしていることを証明します。なお、納付すべき税金に未納があった場合でも、地方出入国在留管理局の助言・指導に基づき納付手続きを行った場合には、租税関係法令を遵守していると評価されることから、必要な手続きを行うことが必要です。

まとめ

特定技能外国人を受け入れるために、雇用する企業が遵守すべき項目の第一番目として挙げられている、「労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること」に関して確認をしてきました。特定技能外国人を雇い入れる以前の問題として、各種保険料の支払いや納税の義務をきちんと果たし、企業として適正な運営がされえてることが大前提となっています。しかし、各種保険料の未納や、税金の滞納があった場合に関しても、出入国在留管理局の指導に基づいて、在留資格の申請前に支払いを完了すれば、法令を遵守したことになるということもポイントとなります。しかし、労働関連法令違反のみは、欠格事由の対象となり、特定技能外国人を5年間受け入れできないという罰則もあることから、これらの法令に関してはより慎重に留意しておく必要があります。

行政書士あけやま事務所は、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、特定技能外国人の方の受け入れに関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。