北海道で唯一、観光業界専門の行政書士の明山崇です。私は主に、北海道の宿泊業や観光業で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの、新規取得や更新手続きのお手伝いを行っています。

今回は、「英語の先生」はどのビザ(在留資格)を取った方が良いか?について解説します。日本では、様々な学校や教育機関で英語が教えられており、ひとことで「英語の先生」と言っても、幼稚園から大学まで学校の種類も幅広く、活躍されている職場も様々です。中には、フリーランスの英語教師として、いくつかの企業や教育現場を掛け持ちしている先生もいたり、日本の学校の教員免許を取得して、正規の教員として働いている先生もいます。では、これらの英語の先生は、どのような在留資格を持って仕事をしているのでしょうか?英語の先生の在留資格は、その働く場所によって、大きく3つに分かれます。一つ一つ見ていきましょう。

「教育」ビザ

まず1つ目は、「教育」のビザ(在留資格)です。この在留資格は、日本国内の、「小学校」「中学校」「義務教育学校(小中一貫校)」「中等教育学校(中高一貫校)」「高等学校」「特別支援学校」「各種学校」で、語学教育、その他を教える先生が取得するものです。簡単に解りやすく言うと、「生徒・児童が通う学校で英語を教える先生」が、教育の在留資格に該当します。

「教育」の在留資格を取得しようとした場合、次の条件が必要とされています。

まず、学歴や資格に関しては、

・大学卒業、これと同等以上の教育を受けていること(日本でも日本国外でもどちらでもよい)

・教育に必要な技術や知識に関連する科目を、日本国内の専修学校の専門課程を修了していること

・教育に必要な資格を取得していること

のいずれかが必要で、かつ、

・外国語の指導をする場合は、その外国語で12年以上の教育を受けていること

・日本人と同等額以上の報酬を得ること

が条件になっています。

日本の学校の先生が教壇に立つために必要とされている「教員免許」に関しては、「教育」の在留資格を取得する際には必要とされていません。よって、教員免許がなくても英語教員として在留資格は取得できますが、生徒が授業を受けて単位取得するためには正規の教員免許を取得した先生の授業を受けなくてはならないことから、教員免許を持たない外国人の英語教員は、ALT=Assistant Language Teacher=外国語指導助手という位置づけになっています。

「教育」の在留資格を申請する際には、所属機関や雇用形態によってカテゴリーが3つに分かれており、それぞれのカテゴリーごとに指定されている必要書類を提出する必要があります。小学校・中学校・高等学校等、公立、私立を問わず、いわゆる学校で常勤雇用される場合に関しては、雇用元が国の認可を受けて事業を行っていることからか、提出書類が少なく比較的簡単に申請手続きを行うことができます。

「教授」ビザ

2つ目は、「教授」の在留資格です。この在留資格は、日本国内の、「大学」か、これに準じる機関か、「高等専門学校」において、研究や研究の指導、または教育を行う先生が取得するものです。簡単に言うと、「大学教授」が教授の在留資格に該当します。「教育」の在留資格との違いは、高等教育機関で教えることだけでなく、研究活動や学生の研究を指導することも職務内容に含まれていることです。なお、研究活動に関しては、大学など教育機関だけでなく、一般企業の研究所や政府関係機関などでも研究を行っている場合があり、そのような機関と契約を結んで研究活動を行う場合には、「教授」ではなく「研究」という在留資格になります。

なお、「教授」の在留資格の申請においては、申請人の雇用形態(常勤、または非常勤)によって、カテゴリー1、若しくは2に分かれており、申請時の必要書類に違いがあります。

「技術・人文知識・国際業務」ビザ

3つ目は、「技術・人文知識・国際業務」のビザ(在留資格)です。この在留資格は、「教育」「教授」で列挙された教育機関以外で語学の指導を行う先生が取得するものです。一般的な例としては、企業が運営する英会話学校や英語塾で英語を教えている先生が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当します。この場合の語学の指導に関しては、「外国の文化に基盤を有する思考または感受性を必要とする業務」という位置づけになっています。

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得する場合は、申請する外国人の学歴と、高等教育機関における専攻内容が、雇い入れ企業での職務内容が一致しているかが許可のポイントとなっています。また、この在留資格で語学の指導を行う場合には、通常3年以上の実務経験を必要とされますが、大学を卒業していれば実務経験のない場合でも、語学の指導に係る業務に従事することができます。「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に関しては、これがカバーする職種は非常に広いために、この在留資格を持っている外国人は、この資格がカバーする職務内容の範囲内においては、同一職場内での職務内容の変更だけでなく、別の会社に転職をすることが可能です。つまり、語学の指導だけでなく、通訳、翻訳をはじめとして、他の職種にも従事することが可能です(もちろん、学歴や専攻内容が職務内容と一致していなければならないという条件付きではありますが)。

まとめ

現在、仕事をすることを目的とした就労系の在留資格(就労ビザ)は19種類もあり、英語の先生、という職業においても、3つの在留資格が存在するなど、日本の在留資格のシステムは非常に複雑でわかりづらくなっています。さらに、それぞれの在留資格では、就業できる職務内容が細かく規定されているため、意図せず在留資格で定められた範囲外の仕事をさせてしまった場合には、不法就労という犯罪行為になってしまい、外国人従業員だけでなく、雇用者側も不法就労助長罪に問われることになります。外国人従業員の職務内容と取得すべき在留資格に関して、不安な点がある場合は、出入国在留管理庁の窓口かお近くの行政書士に確認されることをお勧めいたします。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、就労ビザ取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。