ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。

北海道で唯一の、観光業界とビザ申請に特化した行政書士として、主に、北海道の宿泊業や観光業で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、「技術・人文知識・国際業務」や「留学」等の活動系の在留資格や、「日本人の配偶者等」や「家族滞在」等の身分系の在留資格を持つ外国人の方に必要となる、「所属機関等に関する届出手続」について解説していきます。

はじめに;所属機関等の届出手続

この届出は、活動系在留資格を持っている方であれば雇用関係や所属関係、身分系在留資格を持っている方であれば婚姻関係など、在留資格のベースになっている部分に変更が生じた場合に、その内容を出入国在留管理庁に届出る手続きとなります。この「所属機関等に関する手続」には、①「活動機関に関する届出手続」、②「契約機関に関する届出手続」、③「配偶者に関する届出手続」の3つに分かれています。

活動機関に関する届出手続/契約機関に関する届出手続

まず、就労や留学等、活動系の在留資格を持つ人が行う届出である①「活動機関に関する届出手続」と、②「契約機関に関する届出手続」に関してみていきましょう。①と②は、どの在留資格を持つかによって、その対象者は異なっており、出入国在留管理庁のホームページによると、

①の「活動機関に関する届出手続」は

中長期滞在の外国人の方のうち、「教授」,「高度専門職1号ハ」,「高度専門職2号」,「経営・管理」,「法律・会計業務」,「医療」,「教育」,「企業内転勤」,「技能実習」,「留学」又は「研修」の在留資格を有する方

②の「契約機関に関する届出手続」は、

「高度専門職1号イ」,「高度専門職1号ロ」,「高度専門職2号」,「研究」,「技術・人文知識・国際業務」,「介護」,「興行」又は 「技能」の在留資格を有する方

といった具合に、所有する在留資格によって届出手続が分かれています。

どのような場合に手続きが必要なのか?

そして、これらの手続きが必要な場合は

  • 日本にある活動機関(契約機関)の名称・所在地に変更が生じた場合

→勤務/所属していた会社や団体の名前や住所変更があった場合

  • 活動機関(契約機関)の消滅

→勤務/所属していた会社や団体がなくなったとき

  • 活動機関からの離脱・移籍があったとき / 契約機関との契約の終了・新たな契約の締結があったとき

→勤務/所属していた会社や団体を辞めたとき(退職時)

→新たな会社/団体に勤務/所属したとき(転職時)

の3つのケースに該当する場合は、14日以内に、出入国在留管理庁長官に届出ることは義務となっています。

届出書の書式は、出入国在留管理庁のホームページからダウンロードすることができます。これを印刷して記入し、最寄りの出入国在留管理庁の窓口に書類を直接提出しても良いし、郵便で送っても、また、インターネット上でも手続きを完了させることができます。「在留資格変更許可申請」のように、申請書以外の添付書類などは必要ありません。

この、「契約機関(活動機関)に関する届出」に関しては、届出が義務であることが意外と知られていないようで、また、出入国在留管理庁からその都度チェックがされるということはほとんどないため、ついついこの届出を忘れてしまい、そのままになっている方も多いようです。ではこの手続きがされていないことは、いつ発覚してしまうのでしょうか?

届出をしなかったらどうなるのか?

多くの場合、在留資格の有効期限が迫ってきて更新手続きを行う際に、「契約機関(活動機関)に関する届け出」が未提出であることが発覚してしまいます。例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は変わらず、転職後に更新の手続きを行う際に、新たな勤務先に関する書類を提出することになります。そうすると、出入国在留管理庁側の保有している記録上では、その外国人従業員は別の会社に勤務していることになっているため、「どうして違う会社の書類で申請をしてきたのか?もしかしたら転職したのか?」と、審査官が審査の途中で指摘をしてきます。もし、このような指摘があった場合の対処方法としては、とにかくすぐに「契約機関(活動機関)に関する届け出」を提出することです。14日以内の期限外でも構いません。指摘された後で、期限からかなり遅れて提出した場合であっても、通常、他の違反事項が無い場合であれば、在留資格の変更申請は、問題なく許可になることがほとんどです。しかし、追加書類の提出依頼を受けた場合には、その間、審査が滞り、結果が出るまで時間がかかってしまいますので、きちんと届出を出しておくに越したことはありません。

配偶者に関する届出手続

次に、身分系の在留資格を持つ外国人の方が行う、③「配偶者に関する届出手続」は、「「家族滞在」,「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」の在留資格をもち、配偶者としての身分を有する方」が、「その配偶者と離婚又は死別した場合」に、「14日以内出入国在留管理庁長官に対し、届け出なければなりません」と規定されています。

では、14日以内に「配偶者に関する届出手続き」を行った場合、今までの在留資格はどうなってしまうのでしょうか?この届出を行ったことにより、即時に在留資格が消滅することはありません。また、自動的に別の在留資格に変更されることはありません。ただし、正当な理由がなく、配偶者としての活動を継続して6か月以上行わない場合には、在留資格は取消しの対象になってしまいます。よって、なるべく早い段階で(6か月以内に)別の在留資格への変更手続きをご自身で申請する必要があります。

届出をしなかった際の罰則

本日お伝えしてきた、「活動機関/契約機関/配偶者に関する届出手続」に関しては、定められた期間に必要な届出をしなかったり、嘘の届出をした場合は、罰則や不利益処分の対象となってしまいます。もし、必要な届出をしなかった場合には「20万円以下の罰金」に、嘘の届け出は「1年以下の懲役又は20万円以下の罰金」に処せられることがあります。また、住居地の届出をしなかったり虚偽届出をした場合には、在留資格が取り消されることがあります。また、虚偽届出をして懲役に処せられた場合は退去強制事由にも該当します。

まとめ

意外と忘れがちな「活動機関/契約機関/配偶者に関する届出手続」ですが、在留期間更新の際に発覚すると手続きがスムーズに進まなかったりするだけでなく、申請が不許可になってしまうこともあります。また、虚偽の届出なと、悪質だと判断された場合には、罰金刑となる場合もありますので、忘れずに確実に手続きを行うようにしましょう。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、就労ビザ取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。