ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

日本で仕事をする外国人の方で、滞在期間が長くなるにつれて結婚をして子供が生まれるなど、生活環境の変化に伴い、このまま日本で生活したいと感じる方もたくさんいらっしゃいます。外国人の方が、外国籍のままで在留資格の更新など煩雑な手続きをせずに、日本に居住する方法は、「永住」の在留資格を取得するという方法があります。この在留資格を申請するためには、様々種類の数多くの書類を用意する必要があります。実は、ご自身で作成する書類は、「永住許可申請書」・「履歴書」・「理由書」の3点と非常に少なく、それ以外のほとんどは、市町村役場や税務署など依頼して発行してもらったものを取りに行く、という収集作業になります。ご自身で作成する書類のうち、一番大切で、そして難しいのが「理由書」だと言えます。今回は、その理由書の書き方のポイントを解説していきます。

在留資格「永住」の理由書とは

在留資格「永住」の許可申請で提出する必要書類は20種類以上になりますが、その中で、申請人本人の想いや考えを説明する書類は、この「理由書」の1点のみとなります。それ故に、申請人がどのような理由で日本に永住をしようと思ったのか、そう思うに至った経緯や背景であったり、現在の仕事や経済状況を説明し、永住が許可されても問題なく日本で生活ができることを証明したり、今後日本社会でどのように生活をしていきたいのかの思い、といった永住の審査上で非常に重要な要素を、A4用紙2枚程度にまとめてしっかりと書いていく必要があります。日本に来てから既に10年以上経過している方がほとんどですので、A42枚じゃまとめられない、という方も多いと思います。しかし、長くて分量が多ければよいというものではありませんので、わかりやすく要点をまとめてご自身の考えや要点をきちんと伝えられるような文書にしてください。そのためにも、次項の理由書の記載項目の①~⑥の内容を確実におさえて、書き進めていってください。

理由書の記載項目

来日してから現在までの経緯について

大前提として、別紙で履歴書を提出しているので、全てを時系列で記載する必要はありません。ポイントとなるのは、

・いつ、何のために来日したのか?

・留学生として来日した場合は、在籍した学校、学部学科と学んだ内容を簡単に説明

 学校を卒業した後、就職した場合は、その会社名と職務内容を簡単に説明

・就職をするために来日した場合は、在籍した会社、職務内容を簡単に説明

・就職後、転職歴があったり、特別な(プラスになるような)資格を取得した場合は追記

・結婚をした、子供が生まれたなど、重要な身辺変化がある場合は追記

現在の仕事状況について

現在在籍している会社名と部署、役職と担当業務を記載し、どのような思いで日々仕事に取り組んでいるかや、仕事の目標等も簡単に書けると良いでしょう。会社経営者の方は、事業概要や経営状況だけでなく、ご自身の事業活動を通して、どのように日本社会に貢献していきたいか、といった想いも書いてください。

申請理由について

今後、日本で長く暮らしていきたいと強く思った理由をまとめてください。簡単な具体例やエピソードを交えると、より信ぴょう性が高まり、審査官に思いが伝わりやすいです。家族や同僚などが申請人の永住に賛同してくれているのであれば、その旨も記載してください。

身元保証人の方について

永住の申請にあたって、身元保証人になってくださった方を簡単に紹介してください。身元保証人の方はどのような方で、普段の交友関係やお付き合いはどのようにしているのか。また、永住を取得するということを伝えたら、どのような反応やコメントがあったかなど、具体的に書けると良いでしょう。

現在の収入と家計の状況について

住民税の課税/納税証明書や、源泉徴収票、銀行の預金通帳のコピーなどを添付書類として提出しているため、全てもれなく記載する必要はありません。生活を維持するためのメインの収入額(月収)と、預貯金の額程度で構いません。そして、税金や社会保険料、年金などの支払いに関しては、きちんと義務を果たして支払っていることも説明します。そして、今後も日本で生活をしていけるだけの経済的な基盤があること、金銭面の不安がないことも明記してください。

まとめ

 理由書のまとめとしては、

 ・生活の基盤はすでに日本にあること

 ・日本人と同様に、日本の規則や法律を守り、社会的な義務を履行して誠実に暮らしていくこと

 ・これからも日本で末永く暮らしていきたい

ということを記載し、許可を頂けるようお願いをして、文章を締めくくります。

まとめ

永住の在留資格申請に必要な「理由書」の記載事項の要点を解説してきました。申請に必要とされる、「住居要件」や「生計要件」、「素行要件」をご自身の言葉で端的に説明するような内容になります。具体的には、

・これからも安定した生活を維持できる仕事や収入があるか

・身元保証人を含め、周囲の人たちと協調融和して社会生活を行っているか

・日本で長く生活したいと思う動機が健全で、社会に悪影響を及ぼすような思想を持っていないか

・収入や仕事など日本で安定的に暮らしていける生計要件を満たしているか

をまとめて、わかりやすく説明できていれば理由書としては問題ないです。

これらの詳細は、別途提出する添付資料で説明・証明されることとなりますので、ポイントになることを絞って、まとめて記載するようにしてください。記載に当たっては、添付書類との齟齬や矛盾が出ないよう、細かい点にも注意を払う必要があります。例えば、理由書に記載した学校の卒業年と、最終学歴の卒業証書に記載されている卒業年が異なる等があると、申請書類全体の信ぴょう性が低くなり、審査官も他にも間違っているところがあるかもしれない、といった疑念を持って審査が行われるため、心証としては不利になってしまいます。

 理由書は、A4用紙2枚程度ですが、申請人の想いを伝える非常に重要な書類で、この書類の内容も審査の重要な要素になっております。申請書の作成に不安がある方や、1回の申請で確実に許可を取りたい方は、在留資格を専門に扱っている申請取次行政書士に依頼することをお勧めします。

行政書士あけやま事務所は、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として生きていこうとする、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、在留資格「永住」の取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。