ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、観光業・宿泊業等のサービス業界と、ビザ申請に特化した行政書士として、主に北海道のサービス業界で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。今回は、過去にオーバーステイの履歴がある日本人と結婚して、配偶者ビザを申請しようとした場合、どのようなことに気を付けたらよいかの概略を解説していきます。
オーバーステイとは(簡単に)
日本で生活する外国人の方には、在日中の活動に応じて、様々な在留資格(ビザ)があります。このビザには許可されている活動、やってはいけない活動などが定められているだけでなく、有効期限が定められています。(※一部、永住等、有効期限の定めのないものもあります。)有効期限のあるビザを持っている人は、その期限内に、「同じビザを更新」するか、「別の種類のビザに変更」するか、若しくは、日本国外に出国すると、という、基本的に3つの選択肢の中から選んで手続きをする必要があります。しかし、これらの手続きをせずに有効期限を迎えてしまうと、その翌日から「不法在留」、いわゆるオーバーステイの状態になります。この状態で、例えば街を歩いていて警察官の職務質問を受けた際に、身分証明書(パスポートや在留カード)を提示すると、オーバーステイであることが判明します。こうなると、「不法在留」の容疑者となり、入国管理局から退去強制の処分が下され、日本国外に出国させられてしまいます。この場合は、その方の状況にもよりますが、最低でも5年間、場合によっては10年間、日本への再入国が出来なくなります。
一方、ビザの有効期限が過ぎてしまい、自ら入国管理局に出頭し、オーバーステイであることを自主申告する方もいます。その場合は、違反している事柄が、オーバーステイ以外にない、つまり他の罪を犯していたり、違法な状態であったりしない場合には、出国命令書を交付され、自主的に出国することとなります。出国命令書による自主出国の場合には、原則として1年間、日本に再入国をすることが出来ません。ちなみに、オーバーステイ以外の違法状態があると、自ら入国管理局に出頭をした場合でも、退去強制の処分が下されることになります。
配偶者ビザを申請する際のポイント
ここからは、過去、オーバーステイの状態にあったが、出国命令、若しくは退去強制の処分により日本から出国し、入国禁止期間を過ぎた後に再入国した外国人の方と結婚をして、「日本人の配偶者等」のビザを取得するということを前提に、気を付けるべきことを解説します。
まず、大前提として、いったん帰国して新たなビザを取得して再入国が出来たとしても、過去のオーバーステイの履歴は消えることがなく、入国管理局のデータベースに残り続けます。よって、今回「日本人の配偶者等」のビザを申請した際に、パスポートなど個人情報が分かる必要書類を提出すれば、その外国人の方が、過去どのような在留状態であったかは、すべて把握されていると思ってください。このことを十分に念頭に置いて、申請書や理由書などの書類を作成してください。つまり、申請書に書かなくても大丈夫だろう、昔の事だから入国管理局に記録が残っていないだろう、なんてことは一切ありません。申請のために提出された書類と入国管理局の持っている過去の記録が異なっている場合や、入国管理局の把握している、過去の犯罪歴、違法な状況が、申請書類に記載されていない場合、申請人は自分に都合の悪いことを隠して、つまりウソをついてビザを取得しようとしている、と判断されてしまいます。そのような場合は、質問書の一番最後に書かれているように、「※事実に反する記入をしたことが判明した場合には申請人に関わる審査上不利益な扱いを受ける場合や罪に問われる場合があります」ということで、ビザの許可を得られないだけでなく、犯罪になる可能性もあります。
こういったことを避けるために、まずは、過去のオーバーステイに関しては、隠さずに正直に正確に申請書や質問書に記載しなくてはなりません。そして、その当時、どのような状況であったかに関しては、別途追加書類を添付して、事情や状況を説明します。オーバーステイに関しては法律違反で悪いことであるという認識や、それを元に、十分に反省をしているということも記載し、さらに、今後どうしていくかの決意のようなものも書けるとよいでしょう。例えば、今後、結婚生活を営むにあたっては、外国人配偶者だけでなく日本人配偶者と共に協力し、お互いに十分に気を付けることで、オーバーステイだけでなく、日常生活すべての事柄に関しても、日本の法律をよく理解し遵守することを誓約する旨を、審査官にもわかるように文書にして提出することで、「日本人の配偶者等」のビザ発給の許可を得られる様に嘆願します。
過去のオーバーステイに関して、前述のようにしっかり説明することに加えて、それ以外の審査のポイントとなる、「結婚の信ぴょう性」や、「結婚生活を維持できる経済状態」の証明に関しても、他の方以上にしっかりと説明、立証することで、入国管理局の審査官に疑いがもたれない様にしなければならないのは、言うまでもありません。この2点の証明が十分にできないと、「過去に違法状態だった人が、敢えて再度入国をしてくるということは、結婚以外の他の目的があるのかもしれない」と、偽装結婚や犯罪目的の入国であると疑念を持たれてしまいます。
まとめ
オーバーステイの履歴のある方に関しては、それぞれひとりひとり事情は異なるため、上記のような説明で許可が得られるケースもあれば、不許可になってしまうケースもあります。ただ、ここで言えることは、入国管理局のホームページに記載されている書類の提出だけでは、完全に説明不足となり、審査中に追加書類の提出を求められることがほとんどです。申請にあたっては、過去の在留状態を精査しながら、必要十分な書類を準備して臨む必要があります。一般的に、オーバーステイだけでなく、過去の犯罪歴のあるような方に関しては、ビザの取得が難しいと言われています。質問書の作成や書類の準備に不安のある方は、お近くの行政書士にご相談されることをお勧めします。
なお、現在既にオーバーステイの状態になっている方は、手続き方法が異なります。在留特別許可を申請することになります。この申請手続きは審査結果が出るまで時間が掛かり、また手続きも非常に難しいため、弁護士などの専門家に依頼する方が多いようです。
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