ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

外国人の方が、独立起業をして自分のビジネスを立ち上げるための在留資格が「経営・管理」です。会社設立の際に、ご友人と2人以上の共同経営でビジネスを始める方もいらっしゃいます。このような場合には、「経営・管理」の在留資格は取得できるのでしょうか?審査のポイントになると思われる点と留意点を解説していきます。

初めに;経営者は何人?

基本的な考え方として、「経営・管理」の在留資格を取得するために、経営者(代表者)を何人置けるかに関しては、1つの会社に1人、というのが、出入国在留管理庁のスタンスとなっています。よって、2人以上の経営者で会社を設立する場合に関しては、その理由と必要性が、審査官にわかるよう、合理的で客観的に説明することで、例外的に認められる場合があります。

2人以上の経営者が必要だと認められる場合

では、どのようなケースが、経営者が2人以上必要だと認められるのでしょうか

2人以上で「経営」・「管理」の仕事をしなければならない業務量があること

まずは、会社の規模的に経営者が一人では賄えないような業務量があることです。これは、「経営」「管理」の業務量であって、現場での作業や業務量を含んでいません。例えば、従業員が20名以上いるWEB制作会社を設立するケースでは、社員の人数も多く、それなりの業務量と事業規模が会社自体にあることから、会社運営や人材マネージメントの業務が多く発生することが想定されます。また、東京と大阪の2拠点で、通訳翻訳会社を設立し、それぞれに従業員を複数名雇用して事業展開をするような場合には、それぞれの拠点でマネージメントをする役員が必要だと認められれば、2名に在留資格が許可されることもあります。一方、飲食店を2人でオープンして、一人は調理担当役員、もう一人はホール・接客担当役員ということで、「経営・管理」の在留資格を取得することはできません。そもそも、調理やホール接客という、現場作業を行うことを前提にこの在留資格は許可されません。このような現場作業に関しては、経営者の本来の仕事ではなく、他にアルバイト従業員を雇用して従事させるべきもので、そもそも「経営・管理」の在留資格で従事することを想定しているものではありません。このような人事配置を行う事業計画自体、「経営・管理」在留資格を取得するにあたっては、認められることはありません。

それぞれの役割分担が明確になっていること

経営者を2人置く理由として、業務量だけでなく、それぞれの業務分担・役割が明確になっている必要があります。

例えば、衣料品の製造販売会社を設立した場合、製造に関する技術面を管理する責任者として一人、販売・マーケティング等、営業面の責任者として一人、それぞれ役員を置くというケース。また、東京と大阪に事務所を持つWEB制作会社が、それぞれの管理者として役員を置くというケースなどが該当します。もちろん、業務範囲や担当が明確に分かれていたとしても、それぞれの役員が分担して担当しなければならない業務量が十分にあることが大前提となります。どっちがやってもよい、という状態では、わざわざ2人の役員を置く必要はなく、1人でもよいのではないか?と審査官に判断されてしまうと、申請は不許可になってしまいます。

出資額に関して

在留資格「経営・管理」を取得するための出資額は、別の記事でも解説をしていますが、株式会社を設立する場合500万円以上準備して、資本金として出資することが要件となっています。2人以上の共同経営の場合、この出資額はどのようになるのでしょうか?

500万円は、あくまでも1人で出資をして会社を設立する場合の金額です。2人以上で設立する場合に関しては、それぞれが500万円以上の出資をすることが求められます。

まとめ

2人以上で共同経営する会社を設立して、「経営・管理」の在留資格を取得できる場合に関して解説してきました。会社の事業規模的にそれぞれの役員に十分な業務量があるか、その業務の役割分担は明確か、の2点が審査上のポイントとなってきます。そのうえで、それぞれが500万円以上の出資をして、他の要件(事務所の設置や許認可の取得)などを満たした会社を設立したうえで、在留資格の申請を行うこととなります。

なお、「経営・管理」の在留資格を2名以上取得することが難しい場合であっても、会社設立時に外国人従業員を雇用する場合には、2名まで在留資格を取得できることになっています。よって、1名は「経営・管理」を取得、それ以外の方に関しては、「技術・人文知識・国際業務」や「技能」の在留資格を取得して事業に携わることも可能です。もちろん、申請する方の学歴や経歴が、それぞれ取得しようとしている在留資格の要件を満たし、そして職務内容も在留資格で規定された活動内容の範囲内であることは、許可になる大前提となります。

共同経営で「経営・管理」の在留資格を取得するのは、経営者一人の会社と比べると、説明する事項も増えることから手続きが複雑になり、難易度も高くなります。出入国在留管理庁のホームページに記載されている提出書類だけでなく、様々な補足説明資料を任意資料として提出することで、許可が得られるよう手続きを進める必要があります。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会で起業し新たなチャレンジを行おうとする、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、会社設立や在留資格「経営管理」に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。