ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、外国人配偶者の前婚の子、いわゆる連れ子を日本に呼び寄せる場合、在留資格を取得するためのポイントと考えられることを解説していきます。

取得出来る在留資格は?

今回のケースでは、母国に住んでいる外国人配偶者の子供を日本に呼び寄せることになります。具体的には、過去に、母国で結婚をしていて子供がいる方が、離婚後、新たに日本人配偶者と結婚し日本に居住。当初は母国に子供を置いていたが、あるタイミングで日本に呼び寄せて一緒に生活をしたいというケースが該当します。外国人夫婦の子供ですから、国籍は当然に外国籍となります。そして、外国人の方を呼び寄せる場合には、「在留資格認定証明書」が必要となりますので、この証明書の交付申請を行うこととなります。この場合の子供の在留資格は「定住者」となります。

呼び寄せる子供の年齢制限は

外国人配偶者の子供を日本に呼び寄せるにあたって、子供の年齢制限はありません。しかし、親(日本人と外国人配偶者夫婦)に扶養されることを考えると、年齢が高くなるにつれて難しくなると言えます。また、教育の問題を考えても、義務教育終了前の15歳以下と16歳以上では難易度が変わります。これは、子供側に立ってメリットを考えた際に、日本語が話せず日本での文化生活背景を持たない義務教育を終了した16歳の子供が日本に来た場合と、そのまま母国で暮らした場合、どちらが生活環境として良いか、という観点で見た際に、日本で暮らすことのメリットがその子供にとって大きくなければ、日本に呼び寄せる合理的な理由があるとは言い難いです。よって、年齢が高い子供の申請では、日本への呼び寄せが、その子供にとってメリットがあり将来にわたって有益であることを説明していく必要があります。

審査のポイント

では、外国人配偶者の前婚の子供を日本に呼び寄せる際、在留資格「定住者」を申請する際の、申請書類の作成のポイントだと思われる点を解説していきます。

ポイント1:どうしていままで日本に呼ばず母国で育てていたのか?

⇒ポイント2・3にも関わってくるのですが、いままで日本で同居せず、母国で育ててきた理由や状況を説明します。具体的には、外国人配偶者(親)の健康状態や経済状態、子供の出生後の健康状態、養育環境などが、日本に連れてきて一緒に生活するよりも、子供にとっては良い状態であったことを説明できるとよいでしょう。これに関しては、「子供を日本に呼び寄せることになった理由・背景」を説明していく一連のストーリーの中で、合理的で矛盾がないような理由・状況説明が必要になります。

ポイント2:その間、母国でどのように子供を養育していたのか?

⇒母国での養育環境や状態を説明します。具体的には、その子供を誰が・どのような方法で育てていたのかを説明します。ポイント1と併せて、その状況が親とは離れての生活にはなったが、子供にとっては合理的で良い選択であったことが分かるような説明が出来るとよいでしょう。

ポイント3:いま、どうして子供を呼び寄せる必要があるのか?

⇒ポイント1・2といった、子供にとっては良いと思われていた環境を変えて、なぜこのタイミングで日本に呼び寄せようと思ったのか、理由や必要性を説明していきます。具体的には、母国で子供を養育してきた両親の高齢化や病気、母国の戦争や自然災害など、環境が変化したことによって、子供を養育するには適した環境ではなくなったこと等。また、外国人配偶者(親)の日本での生活環境が整ったり経済状況の改善により、母国よりもより良い環境で子供を養育できることになったこと等。この2つの観点から、子供を呼び寄せて日本で生活することが、現段階では子供にとってより良い方法であることを説明していきます。

ポイント4 今後、日本でどのように教育していくのか?

⇒いままで母国で養育されていた子供が直面するのは、日本語でのコミュニケーションが取れないという言葉の問題、また、就学年齢になっていれば、日本の義務教育を受けて来なかったという教育の問題が生じてきます。今後、日本社会の一員として生活していくためにも、日本語の習得を含めて、子供をどのように教育していくかの考えをあらかじめ持っておく必要があり、教育の計画を具体的に立てておく必要があります。その際に、「定住者」の在留資格で呼び寄せるにあたっては、「留学」の在留資格で代替できる物であれば、「定住者」としての在留資格を申請することの矛盾が生じてしまうため、教育方法の記載に関しては注意が必要です。

ポイント5:養父(外国人配偶者の夫)との関係性は?

⇒呼び寄せをする子供にとっては、養父(日本人配偶者)は、母親の結婚相手(夫)ではありますが、全くの他人です。ましてや言葉や文化も違う外国人です。日本に来て、このような人と同じ屋根の下で暮らすことになるわけですので、現段階までに、子供と養父との関係性がどのような状態であるかも説明できるとよいでしょう。例えば、既に子供と養父は何回かあっており、良好な関係が築けつつあることを、写真や交流の記録を提出して説明できれば、日本に呼び寄せて養育することが子供にとってよりよい選択であることの合理的な説明となるはずです。

①~⑤のポイントは、他の在留資格証明書取得と同じように、日本の出入国在留管理庁に合理的な説明をすることが必要です。その中の特に気をつけたいのは、今回の日本への呼び寄せが、子供にとって現段階で考え得る最善の選択であるということを、客観的かつ合理的に説明することが、呼び寄せの許可を得るための最大のポイントなってきます。

日本人側は、外国人配偶者の子供を養子にする必要はあるか?

「定住者」の在留資格を取得して日本に呼び寄せを行うにあたって、その子供の養子にすることは、法律上の要件としては求められていないため、養子縁組をしなくても手続きを進めることは可能です。

まとめ

とにかく、今まで異文化の母国で育ってきた子供を呼び寄せるにあたっては、手続き面だけでなく、子供の養育にとって何が一番良い選択であるかを考える必要があります。それが日本へ呼び寄せて生活をすることであれば、客観的な事実を具体的に説明していくことで、「定住者」の在留資格取得許可が得られるはずです。

行政書士あけやま事務所は、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として生活しようとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、お子様の在留資格に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。