ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、日本人の配偶者と結婚している外国人の方が離婚した場合、そのまま日本に滞在し続けることができるか、について解説していきます。外国人の方が、日本人の配偶者と離婚をしようとして、引き続き日本での生活を希望する場合、最も気になることは、どのような在留資格が取得できるか、ではないかと思います。これに関しては、その外国人の方の結婚期間や子供がいて親権があるかであったり、職務経歴や学歴があるかによって、いくつかのパターンがあります。もっとも一般的なケースでは、「定住者」の在留資格を取得する方が多いのですが、学歴や実務経験のある方の場合は「技術・人文知識・国際業務」等、就労系在留資格を取得する方もいます。それぞれのケースごとに見ていきましょう。

「定住者」の在留資格を取得する場合

実体のある結婚期間が3年以上ある場合

「定住者」の在留資格を取得するためには、実体のある結婚期間が3年以上必要とされています。つまりこれは、同居して結婚生活を行っている期間が3年以上という意味であり、書類上の入籍期間が続いていればよいということではありません。結婚当初2年間は同居していたけど、不仲になってしまい最後1年間は別居状態になっていての3年間の結婚期間、ということではこの基準をクリアできません。

実体のある結婚期間が3年未満の場合

「定住者」の在留資格を取得するための要件が、「実体のある結婚機関が3年以上」でしたが、これに満たないケースでも、「定住者」の在留資格が取得できる例外があります。

子供がいる場合

日本国籍の子供がいて、かつ、その子供の親権を外国人の方が持っている場合がこれに該当します。子供の養育の観点から、親が日本に居住できなくなると、子供を養育する人がいなくなってしまうことから、定住者の在留資格が与えられます。このような子供がいる場合には、結婚期間が非常に短い場合であっても、「定住者」の在留資格が認められるケースは殆どです。逆に言うと、特別な事情がない限りにおいては、実体のある結婚期間が3年未満で、子供の親権がない外国人配偶者は、「定住者」の在留資格を取得することは難しく、別の就労系の在留資格を取得するか、母国に帰るといったどちらかの選択になってしまいます。

離婚の原因が外国人側に無い場合

日本人の配偶者側に問題があって、実体のある結婚生活を継続できなくなったことで、離婚に至った場合です。例えば、日常的にDVを受けていて同居生活を続けることで、心身の危険が伴う場合。また、ギャンブルなどによる浪費で生活費を家計に入れず生計が成り立たず生活が破綻している場合などが該当します。このようなケースでは、実体のある結婚期間が3年未満で離婚した場合であっても、「定住者」の在留資格は認められます。

ただし、これらの事由をどのように客観的に証明するかが非常に難しいです。外国人側からの一方的な自己申告では認められず、離婚協議書や裁判の記録など、証明できる書類が必要となってきます。

就労系在留資格を取得する場合

「技術・人文知識・国際業務」や「技能」の在留資格を取得する

外国人の方に、学歴や職務経験がある場合には、就職先を見つけることで就労系の在留資格を取得できる可能性があります。このケースは、「日本人の配偶者等」の在留資格を取得する前に、既に来日していて就労系の在留資格を取得して仕事をしていたような方は、就職先を見つけることが出来れば、就労系の在留資格の取得が出来る可能性は高いと思われます。但し、就労系の在留資格を取得するためには、アルバイトではなく正社員として雇用される必要があります。また、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、日本の専門学校以上を卒業した学歴と、就業しようとしている職務内容が、高等教育機関での履修内容や専攻科目との一致や関連性が求められます。また、「技能」の在留資格であれば、10年以上の実務経験が必要な場合が多く、来日前に関連した業務の職務経験が十分にあることや、来日後、結婚前に「技能」の在留資格で仕事をしていた経験のある方でないと、この在留資格の取得は難しいと言えます。

「経営・管理」の在留資格を取得す場合

 就労系の在留資格を取得して企業に採用される条件を持たない外国人の方は、ご自身で起業をすることで、「経営・管理」の在留資格を取得するという方法もなくはありません。この在留資格は、500万円以上の出資や、事務所、事業規模等、「経営・管理」の在留資格申請に適合した会社設立の要件もあり、準備にも時間が掛かることから、綿密な計画が必要となります。

まとめ

「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ方が離婚後も日本での滞在を希望する場合には、「定住者」の資格に変更されるケースが多く、その場合には、「実体のある結婚期間が3年以上」若しくは「親権を持つ日本国籍の子供がいる」ということがポイントになってきます。まずはこの条件をクリアできているかを確認し、もし、この条件に満たない方は、就職をして就労系の在留資格を取得することを検討することとなります。

行政書士あけやま事務所は、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として生活しようとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、「定住者」の在留資格に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。