ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。
今回は、子供の在留資格と国籍に関して解説をしていきます。考えられるパターンとしては、以下の6つがあり、それぞれについてみていきます。
1)両親かどちらか一方が日本国籍の場合
①日本国籍の夫婦が、日本で出産した子供のケース:血統主義
②日本国籍の夫婦が、アメリカで出産した子供のケース:出生地主義
③日本国籍と外国籍の夫婦が、日本で出産した子供のケース
2)外国籍の夫婦が、出産した子供のケース
① どちらか一方が「家族滞在」の在留資格を持つケース
② 永住者の夫婦が、日本で出産した子供のケース
③ 永住者の夫婦が、海外で出産した子供のケース
両親かどちらか一方が日本国籍の場合
①日本国籍の夫婦が、日本で出産した子供のケース:血統主義
まず、一番簡単な例として、Aの両親が日本国籍で子供が日本で生まれた場合、子供は日本国籍になります。
これは解説をするまでもなく、皆さんご承知のことかと思います。もう少し専門的に解説をすると、日本では国籍の決め方では「血統主義」という考え方を取っています。この考え方は、生まれた場所を問わず、子供は親と同じ国籍を取得するというものです。日本の場合、子供が生まれたときに、父母のどちらかが日本人であれば、生まれた場所がどの国であっても、子供は日本国籍を取得する、ということが法律で規定されています。この血統主義をとる国には、日本以外にも、韓国、中国、イタリア、スペイン、フィンランド等、世界で80%以上あります。
②日本国籍の夫婦が、アメリカで出産した子供のケース:出生地主義
次に②のケースを見ていきます。日本人夫婦がアメリカ滞在中に子供を出産した場合です。両親が日本人で、日本はAの血統主義をとっているため、アメリカで生まれても日本国籍を取得することができます。ただ、アメリカでは日本とは異なり、国籍の決めた方では「出生地主義」という考え方を取っています。この考え方は、親の国籍問わず、その国で生まれた子供には国籍を与える(取得する権利を与える)というものです。よって、日本人夫婦からアメリカで生まれた子供には、アメリカ国籍が取得できます。この子供は、日本国籍も取得するため、アメリカ国籍との二重国籍状態になります。この、出生地主義をとる国は、アメリカ、カナダ、ブラジル等中南米の国が多く、世界では20%以下となっています。
③日本国籍と外国籍の夫婦が、日本で出産した子供のケース
③の場合、基本的な考え方は①と同じです。両親のうちどちらかが日本人なので、血統主義の考え方から子供は日本国籍を取得します。
外国籍の夫婦が出産した子供のケース
ここからは、両親ともに外国籍の場合の子供の国籍に関してみていきます。
①どちらか一方が「家族滞在」の在留資格を持つケース
まず、①のケースでは、就労や留学など活動系の在留資格を持つ外国籍の方の、外国籍の配偶者の方は、「家族滞在」の在留資格をもって滞在をしていることが多いです。このようなご夫婦が日本で出産した場合には、血統主義を採用している日本では、子供は親と同じ外国籍のままです。この子供が、日本で両親と暮らす場合には、出生から30日以内に「在留資格取得許可申請」を行うことによって、通常は「家族滞在」の在留資格が与えられます。
②永住者の夫婦が、日本で出産した子供のケース
次に、外国籍の夫婦の両方が永住者の在留資格を持っていて、その子供が日本で生まれた場合、国籍は外国籍のままです。この子供が、日本で両親と暮らす場合には、出生から30日以内に「在留資格取得許可申請」を行うことによって、通常は「永住者の配偶者等」の在留資格が与えられます。なお、この在留資格は「永住者」とは異なり、在留期限が定められており(6月~5年の期間)、有効期間内に更新の手続きが必要です。なお、「永住者の配偶者等」で1年以上日本に引き続き居住している場合には、「永住者」の在留資格取得を申請することが可能になります。
③永住者の夫婦が、海外で出産した子供のケース
最後に、②同様、外国籍の夫婦の両方が永住者の在留資格を持っているのですが、その子供が海外で生まれた場合です。よくある例が、外国籍の奥様が里帰り出産をするために母国に帰っているときに生まれた子供です。この子供の国籍は外国籍のままです。出産後、奥様が日本にこの子供を連れてきて、ご夫婦と一緒に生活をする場合はどのような手続きが必要になるのでしょうか?
この子供は、在留資格を持たない外国籍の方、という扱いになるため、他の就労系在留資格と同様に、日本に呼び寄せるためには在留資格を取得する必要があります。日本にいる方(この場合、子供の父親にあたるケースが多い)が、日本の出入国在留管理庁に「在留資格認定証明書交付申請」を行い、「定住者」の在留資格認定証明書の発行をしてもらいます。そして、この認定証明書を、母国にいる奥様に送り、母国の日本大使館(領事館)で査証(ビザ)を取得します。このビザが取得できた後で、奥様と一緒に子供は日本に渡航し、入国審査を受けます。審査に通過し、問題なく入国できた際に「定住者」の在留資格が正式に与えられることになります。なお、定住者に関しても、在留期限が定められており(6月~5年の期間)、有効期間内に更新の手続きが必要です。両親にはない煩雑な更新手続きが発生するため、「定住者」の在留資格で5年以上引き続き日本に滞在している方は、「在留資格変更許可申請」を行い、「永住者」の在留資格へ変更される方も多いです。
まとめ
外国籍の夫婦から生まれた子供の国籍に関しては、親の在留資格や出生地によって、「家族滞在」「永住者の配偶者」「定住者」の3パターンに分かれます。日本で出生した子供の場合は、出生時には在留資格を持たないため、引き続き日本で暮らす場合には、「在留資格取得許可申請」を行ない、「家族滞在」もしくは「永住者の配偶者等」の在留資格を取得しないと、オーバーステイの扱いになってしまいます。また、子供の生まれた場所によって「永住者の配偶者等」もしくは、「定住者」と在留資格が異なることも注意が必要です。
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