ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、日本で留学や仕事をするために中長期に滞在している外国人の方が、母国から家族を呼びよせて、日本で一緒に生活したいと考えたときには、「家族滞在」の在留資格を取得します。「家族滞在」で日本に住んでいる方は、働くことができるのでしょうか?今回は、「家族滞在」と仕事について解説をしていきます。

在留資格「家族滞在」とは?

 「家族滞在」の在留資格は、主に「技術・人文知識・国際業務」や「技能」といった就労系の在留資格や、「留学」の在留資格を持つ外国人の方が、「扶養する配偶者や子供」を日本に呼び寄せるときに使うものです。まず、ここで注意すべき点が2つあります。1つ目は、「家族」は配偶者と子供に限定されていることです。両親や兄弟姉妹などの親族は含まれていません。そして、子供に関しては、通常、特別な事情がない限りは、日本における未成年(18歳未満)の子供を意味します。大学生や18歳以上の成年に達した方は、実子であったとしても家族滞在の在留資格を使って日本に呼び寄せることはできません。

「家族滞在」の人は働けるのでしょうか?

原則として、「家族滞在」の在留資格では、働くことはできません。ただし、「資格外活動許可」を申請して許可を得られれば、働くことは可能です。そもそも、「家族滞在」の在留資格は、日本で仕事をすることを目的として与えられるものではありません。あくまでも、留学や就労系の在留資格を持っている人に扶養され、そして同居して日本で生活することが主な活動内容として与えられるものです。

「家族滞在」の人が働くときに、守らなければならないことは?

資格外活動許可を取得すること

前述の通り、家族滞在の在留資格を持つ方は、「資格外活動許可」を取得しないと、会社等に雇われて仕事をすることはできません。資格外活動許可を取得せずに働いてしまうと、不法就労となってしまい、退去強制処分の対象となります。さらに、他の同居する家族の在留資格の更新や永住等別の在留資格への変更手続きを行う際に、不利益な扱いを受け、不許可になる危険も高くなります。

資格外活動許可を取得しているかどうかは、「在留カード」の裏面の資格外活動許可欄に、「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と記載されていますので、外国人の方を雇用しようとする企業の方は、面接時には必ず在留カードの原本で、資格外活動許可の有無を確認してください。

労働時間に注意!1週間の労働時間は28時間以内

「資格外活動許可」を得て働けるのは、原則として、1週間当たり28時間までです。在留カードの裏面に記載されている通りです。この28時間というのは、すべての勤務先の合計の労働時間になります。コンビニで週28時間、居酒屋で週28時間は、合計週56時間の労働時間になります。週28時間を超えて働く、いわゆるオーバーワークに関しても不法就労となりますので、退去強制処分の対象となります。

そもそも、この「家族滞在」の在留資格は、就労が目的となっていないため、週40時間フルタイムでしっかり働いて稼がなくても、メインの在留資格を持つ方の収入や資産で扶養し、生活ができるという前提になっています。よって、「家族滞在」の在留資格を持つ方の収入は、あくまでも予備、プラスアルファの収入と考えるべきものです。

週28時間以上のオーバーワークをしていたかどうかは、在留資格の更新や、永住などほかの在留資格への変更申請、もしくは帰化申請を行う際に発覚することが多いです。これらの申請手続きの際に、「住民税の課税(非課税)証明書」や「住民税の納税証明書」が提出必須書類に入っています。これらの公的書類には、正確な年収額が記載されます。その金額が、週28時間の労働では稼げないような高額だった場合、例えば、年収で400万円以上だったりすると、計算上、時給3,000円近くなります。一般的なアルバイトの時給が1,000円程度であることから、長時間仕事をしているのではないか?もしくは、週28時間の時間数は守っているけど、時給の高い夜の仕事や法律ギリギリの怪しい仕事をしているのではないか?という疑いを審査官にもたれてしまいます。このような疑いをもたれてしまった場合は、さらに詳しい書類を提出し追加説明を求められることとなります。

業界・職務内容に注意!風俗営業関連の仕事はできません

「在留カード」の裏面の資格外活動許可欄に記載されている通り、風俗営業等には従事することはできません。いわゆる風俗営業に関わる仕事で、キャバクラやナイトクラブなど、お客さんを接待して飲食をさせるお店や、性的なサービスを提供する店舗などでの勤務は、たとえ週28時間以内であったとしても、勤務することはできません。その他、ゲームセンターやパチンコ店も風俗営業に該当するため、勤務先を選ぶ際には注意が必要です。

まとめ

「家族滞在」の在留資格を持つ人は、日本で働くことができるのか?について解説をしてきました。ポイントは資格外活動許可を取得し、1週間当たりの時間数上限と就労できる職種に十分注意をすることです。資格外活動の範囲を超えた就労は、不法就労ということとなり、退去強制処分の対象になることはもちろん、家族の他の人の在留資格更新や変更にも悪影響を及ぼす可能性があります。配偶者だけでなく、子供のアルバイトに関しても同様に、資格外活動で定められた範囲を守るよう、保護者が指導・監督をする必要があります。

行政書士あけやま事務所は、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、家族滞在の在留資格に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください