ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、日本で留学や仕事をするために中長期に滞在している外国人の方が、母国から家族を呼びよせて、日本で一緒に生活したいと考えたときには、「家族滞在」の在留資格を取得します。「家族滞在」の在留資格で呼び寄せられるのは、「配偶者と子供」に限られています。今回は、配偶者を日本に呼び寄せて一緒に暮らしたいと考えた場合に、注意すべきことに関して解説をしていきます。

「家族滞在」で家族を呼ぶ人の在留資格は?

呼び寄せる側の外国人の方の在留資格によって、「家族滞在」の在留資格を使って家族が呼び寄せられるかが決まっています。具体的には、「教授」・「芸術」・「宗教」・「報道」・「経営・管理」・「法律・会計業務」・「医療」・「研究」・「教育」・「技術・人文知識・国際業務」・「企業内転筋」・「介護」・「興行」・「技能」・「特定技能2号」・「文化活動」・「留学」の在留資格を持つ方は、「家族滞在」の在留資格を使って家族を呼び寄せることができます。

なお、「留学」の在留資格を持つ人に関しては、日本語学校在学中の方は例外として「家族滞在」を使って呼び寄せはできませんので注意が必要です。

また、上記以外の在留資格を持つ方に関しては、例えば「高度専門職」や「特定活動46号」の在留資格を持つ方に関しては、特定活動の在留資格に関する告示によって、「家族滞在」の在留資格を使わずに配偶者を呼べる場合もあります。

「家族滞在」の在留資格で呼べる配偶者は?

法律的に有効な結婚が成立し、手続きがすべて完了している配偶者になります。正式な結婚手続きがされていない、内縁関係の方や、愛人や不倫関係にある方を、この在留資格で日本に呼び寄せることはできません。在留資格認定証明書の交付申請の際に、夫婦関係を公的に証明する書類を、必要書類として提出することが求められます。よって、公的な結婚証明書のような書類が発行されないような関係の場合は、家族滞在の在留資格を使って呼び寄せることは吹可能です。

なお、日本以外の国では、同性婚も正式な婚姻として法律で認められているところも徐々に増えてきましたが、現段階において、同性婚による配偶者を家族滞在の在留資格を使って呼ぶことはできません。  

「家族滞在」で配偶者を呼び寄せる場合に注意すべきことは?

夫婦関係の信ぴょう性があるか?

ひとことで言うと、「偽装結婚で夫婦を装い、不法入国をしようとしていないか?」ということです。この2人が、法的にきちんとした手続きを踏んで結婚した夫婦であり、かつ、実態のある夫婦生活を営んでいた実績があること。そして、日本に来た後も、夫婦2人が同居をして、呼び寄せ人の扶養の下で生活するということが、申請時に合理的かつ明確に証明することが求められます。よって、夫婦関係が破綻していて、同居の意思もなく、来日後は別々に生活をして仕事をしようと企てている場合や、とりあえず日本に入国するために夫婦の体裁だけを整えているような場合は、この在留資格は不許可になる可能性が高いです。

夫婦の生計を維持することができるだけの収入や資産があるか?

「家族滞在」は、呼び寄せ人に扶養されることを前提にしています。よって、配偶者の方が来日後に働いて、生活費を稼げなければ生計を維持できないような低収入だったり、もしくは、貯金等の資産が乏しいような場合には、家族滞在は不許可になる可能性が高いです。この年収の目安に関しては、基準額が定められているわけではありませんが、例えば、永住申請の際には年収300万円が、一つの指標となる金額と言われていますので、この額を大幅に下回るような場合には、許可になるのは難しいといえます。そもそも「家族滞在」の方に関しては、原則的に就労をすることはできず、資格外活動許可を取得することにより、1週間当たり28時間までしか働くことはできません。よって、この収入を最初から生活費の当てにすることは、そもそも無理があることかもしれません。

夫婦が同居して生活できる住環境が整っているか?

家族滞在は扶養者と同居することを前提として許可される在留資格です。よって、配偶者の方が来日後に同居して一緒に生活できる住環境が整っていなければならないのです。決して広くて豪華な家を用意する必要はありませんが、常識的に考えて、「ここで夫婦が生活するのは無理があるだろう!」と思われるような場合は、申請が不許可になることもあります。例えば、20㎡くらいのワンルームのアパートに男性3人で住んでいて、そこに結婚した奥さんを海外から呼び寄せるような申請の場合、誰もが疑問に思うはずです。このような場合は、奥さんが来日したら自分たち夫婦が引っ越しをする予定である、とか、若しくは、奥さんが来日するまでには、別の男性2人が引っ越しをする予定であるということを、審査官から指摘される前に、申請の段階で予め説明をしておくと、追加書類提出依頼を回避できる可能性があります。

まとめ

在留資格「家族滞在」で配偶者を呼び寄せる場合に、気を付けることについて解説をしてきました。ポイントとしては、①夫婦関係の信ぴょう性(=本当に夫婦なのか?) ②生計の安定性(=扶養できるのか?) ③適切な住環境の確保(=同居できるのか?)の3点を具体的かつ合理的に審査官に説明できるよう、「在留資格認定証明書交付申請」の際に、補足資料などを十分に添付して、疑義を持たれないようにすることが大切です。具体的にどのような書類を追加提出すればよいかは、申請人・呼び寄せ人それぞれの状況によって異なりますので、不安のある方は、ビザ申請を専門に扱う、申請取次行政書士に相談をしてアドバイスをもらうとよいでしょう。

行政書士あけやま事務所は、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、家族滞在の在留資格取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。