ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。

私は主に、北海道の宿泊業や観光業で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの新規取得や更新手続きのお手伝いを行っています。今回は、ワーキングホリデーで来日している外国人の方を、正規雇用の従業員として採用する際のポイントを解説していきます。

はじめに;ワーキングホリデーとは

ワーキングホリデーの制度を使って海外に出る日本の大学生や若者もたくさんいることから、ワーキングホリデーという言葉をご存じの方も多いかと思われます。外務省のホームページでは、「二国・地域間の取り決め等に基づき、各々が、相手国・地域の青少年に対し、休暇目的の入国及び滞在期間中における旅行・滞在資金を補うための付随的な就労を認める制度」という説明があります。

2020年の段階で、日本は26の国と地域との間で、このワーキングホリデーに関する協定を結んでいます。具体的には以下の国々です。

オーストラリア / ニュージーランド / カナダ / 韓国 / フランス / ドイツ / イギリス / アイルランド /デンマーク /  台湾 / 香港 / ノルウェー / ポルトガル / ポーランド / スロバキア /  オーストリア /ハンガリー / スペイン / アルゼンチン /  チリ / アイスランド / チェコ / リトアニア / スウェーデン /エストニア / オランダ  といった国々です。

ワーキングホリデーといえばオーストラリア、というイメージのお持ちの方が多いかと思いますが、オーストラリアはこの26か国の中でも一番歴史が古く、今から40年以上も前、1980年に制度を開始しています。二国間の取り決めで行われているということで、日本にも、上記の26か国から、このワーキングホリデーの制度を利用して来日している若者がいます。コロナ前の2019年には13,000人以上がこの制度を使って来日していました。彼らは「旅行・滞在資金を補うための就労」が認められているために、希望をすれば日本の企業で採用し、働くことが可能です。

ワーキングホリデーの在留資格(ビザ)

ワーキングホリデーは、在留資格上では、「特定活動5」もしくは「特定活動5-2」という在留資格を持っています。この在留資格が取得できるのは、

  ・上記の26か国の原則18歳~30歳の健康な若者(国によって上限25歳、26歳の国もある)

  ・休暇を過ごすことを主な目的としていること

  ・滞在期間は最長1年間であること(延長は不可)

  ・単身で渡航してくること

  ・パスポートと帰りの航空券が確保できること

  ・当面の滞在できる生活費があること

  ・いままでにワーキングホリデーのビザを発給されたことがないこと

ということが主な条件になります。この在留資格は、入国後に短期滞在などから変更をすることはできないため、渡航前に手続きをしてから来日する必要があります。

就労制限は?

どのような就労ができるかは、パスポートに貼付された「指定書」に記載された範囲内の仕事が可能になりますので、採用時には、必ず在留カードとパスポートを確認する必要があります。原則として、

・就労時間の制限なし

・風俗営業に関わる活動は不可

ということになっています。

つまり、留学生のように週28時間以内という労働時間の制限はなく、日本人正社員のように週40時間+残業という条件で雇用することも可能です。しかし、風俗営業に関わる仕事で、キャバクラやナイトクラブなど、お客さんを接待して飲食をさせるお店や、性的なサービスを提供する店舗などでの勤務は出来ないことになっています。

ワーキングホリデー期間が終了した後に本採用をしたい場合は?

ワーキングホリデーの制度では、日本に滞在できる期間は最長で1年、そして延長はできません。ワーキングホリデーの期間期間終了後は、在留資格を変更しなければ日本に滞在することはできず、オーバーステイ(不法滞在)なってしまいます。ワーキングホリデーの在留資格は、二国間の協定によって、日本国内で在留資格の変更ができる国もあれば、できない国もあります。日本国内で手続きができる国は2020年現在、次の5か国しかありません。  

日本国内で在留資格が変更できる国:オーストラリア / ニュージーランド / カナダ / 韓国 / ドイツ

これ以外の21か国はいったん帰国(出国)する必要があります。

本採用する場合の手続き

ワーキングホリデーの特定活動から、就労系の在留資格に変更する必要があります。その場合の手続きは、日本出来る国の場合と、出国しなければならない国の場合で異なってきます。

日本で在留資格が変更できる5か国の場合

「在留資格変更許可申請」を出入国在留管理庁の窓口に行います。申請に必要な書類や申請人に必要とされる要件は、変更しようとする在留資格によって異なりますが、大前提として、採用する会社が決まっていて、雇用契約書、若しくは内定書がないと、変更の申請を行うことができません。なお、この変更申請は、ワーキングホリデーの在留資格の有効期間内に手続きを完了させる必要があります。

日本で在留資格が変更できない21か国の場合

「在留資格認定書交付申請」を出入国在留管理庁に行い、「在留資格認定証明書」を発行してもらいます。そして、この証明書を母国にある日本大使館/領事館に提出して、日本入国のための査証(ビザ)の発給を受けます。この査証をもって日本に渡航し、入国審査の後、在留資格と在留カードの発給が受けられます。この一連の手続きは、新規に外国人を海外から呼び寄せる手続きと同じ流れとなり、再度新しい在留資格を取得して入国するということになります。

まとめ

ワーキングホリデーは、時間はあるけどお金のない若者が、旅費や滞在費を稼ぎながら異国の文化に触れて見分を広げることが出来る素晴らしい制度です。それ故に、在留資格の目的はあくまでも「休暇」であり、また、滞在期間も最長で1年間であることから、本格的な就労を目的としたものではありません。しかし、そのまま日本に残りたいという方が、学歴などの要件を満たしていれば、就労系の在留資格を取得することも可能です。企業側、外国人側の両者の合意があれば、ワーキングホリデー以後の採用を検討しても良いかもしれません。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、ワーキングホリデーや就労系在留資格の取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。