ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、「特定技能」の在留資格を持つ外国人の方を雇う場合、雇用する企業にはどのようなことが求められているか?について解説をしていきます。「特定技能外国人受入れに関する運用要領」では、特定技能の外国人の方を雇い入れる企業に関して、「特定技能所属機関は、特定技能雇用契約の適正な履行が確保されるものとして特定技能基準省令で定める基準に適合するものでなければなりません」と規定しています。具体的に、16の項目に関して、細かい基準を設けています。今回はその中の9番目に記載されている、「特定技能外国人の活動状況に関する文書を作成し、特定技能外国人が業務に従事する事業所に備えおくこと」が求められています。どのような文書を用意し、どのような内容を記載しなければならないのか、受入れに関する運用要領をもとに解説をしていきます。

「活動の内容に係る文書」とは

特定技能受入れ機関が作成し、外国人が活動する事業所に備え置かなければならない文書は、次の5点になっています。

  • ①特定技能外国人の管理簿
  • ②特定技能雇用契約の内容
  • ③雇用条件
  • ④特定技能外国人の待遇に係る事項が記載された書類(賃金台帳等)
  • ⑤特定技能外国人の出勤状況に関する書類(出勤簿等の書類)

その他、法令で作成等が義務付けられているものに関しては、それぞれの規定に基づいて適切に作成、保管しなければならないとされています。企業全体として日本人、外国人問わず作成しなければならない文書に関しては、特定技能外国人用に別途特別に作成する必要はなく、これを特定技能外国人の活動状況に係る文書としても問題はありません。

上記、①~⑤の中で、特に①と②に関しては記載項目が多いので、個別に見ていきます。

特定技能外国人の管理簿

これは、特定技能外国人の名簿となっており、必ず記載しなければならないのは以下の項目となります。

    【 氏名 / 国籍・地域 /  生年月日 / 性別 / 在留資格 / 在留期間 / 在留期間の満了日

      在留カード番号 / 外国人雇用状況届出の届出日 】

特定技能外国人の活動状況に関する帳簿

これは、職務内容や就業場所に関する状況や、所属機関に関する情報を記載することになります。特に、労働保険、社会保険に適切に加入しているか、従業員と職場環境の安全衛生が確保されているかも記載することとなります。

・活動(就労)場所(派遣形態の場合、派遣先の氏名又は名称及び住所)

・従事した業務の内容

・雇用状況(在籍者、新規雇用者、自発的離職者、非自発的離職者、行方不明者)に関する内容

・労働保険(雇用保険及び労災保険)の適用状況

・社会保険(健康保険及び厚生年金保険)の加入状況

・安全衛生(労働災害及び健康診断を含む)の確保状況

・特定技能外国人の受入れに要した費用の額及び内訳

  →毎月の報酬の支払い状況として、口座振込であれば口座振込明細書を添付書類として付けます

・休暇の取得状況(一時帰国休暇の取得状況を含む) ・行政機関からの指導又は処分に関する内容

まとめ

特定技能外国人受入機関が作成し、活動(就労)する事業所に備え置かなければならない文書に関して解説をしました。「特定技能外国人の管理簿」に関しては、通常の社員名簿に外国人固有の在留に関する情報を追加したものであり、また、「特定技能外国人の活動状況に関する帳簿」に関しても、社会保険や雇用保険、賃金の支払いなど、日本人従業員に対しても記録を作成し保管しなければならない内容のものと重複することが多いことから、特定技能外国人を受入れたからと言って、特別業務量が多くなるといった性質のものではないと想定されます。常日頃から、日本人にも外国人にも、法令に則ってコンプライアンスを重視し、当たり前のことを当たり前のように守っている会社であれば、難なく対応できる内容ではないかと思われます。

行政書士あけやま事務所は、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、特定技能外国人の方の受け入れに関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。