ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

日本で仕事をしている中で、滞在期間が長くなるにつれて結婚をして子供が生まれるなど、生活環境の変化に伴い、このまま日本で生活したいと考える外国人の方もたくさんいらっしゃいます。外国人の方が、在留資格の更新など煩雑な手続きをせずに、日本に居住する方法は、「永住」の在留資格の取得と、「日本国籍」の取得、いわゆる帰化をするという方法があります。前回までは、日本国籍を取得するための要件である「住居要件」「素行要件」「能力要件」「喪失要件」「思想要件」について解説してきましたが、今回は「生計要件」と「日本語能力要件」について解説します。今回の2つは、日本社会の一員として、経済的にも安定した生活を送るために不可欠な要件とも言えます。これらを含めて、全部で7つの要件がクリアできて、初めて帰化申請が許可されることとなります。

生計要件とは

申請者自身の生活を維持出来る収入があることが、帰化申請の条件となります。せっかく日本国籍を取得したにもかかわらず、生活保護を受けなければならない状態では、本来の帰化の趣旨に反することになってしまいます。では、具体的にどの程度の月収(年収)があればよいのでしょうか?

会社員の方

就労系の在留資格で滞在している方の場合、会社から支払われるお給料で、月収18~20万円程度あれば問題ないとされています。雇用形態に関しては、正社員だけでなく、派遣社員、契約社員など契約形態は問われません。ご自身の収入として、毎月定期的に一定額の収入があるということがポイントとなります。

会社経営をされている方

「経営・管理」の在留資格で滞在している方の場合、お給料ということではなく、役員報酬として毎月の給与に相当する支払いを受けていると思われます。この金額に関しても、会社員の方と同様に、月収18~20万円程度あれば問題ないとされています。役員報酬の年額を12で割った額、つまり1月当たりの金額で判断をしてください。

生計要件の証明方法は?

申請者の「住民税の課税(非課税)証明書」「住民税の納税証明書」を提出することで、直近1年間にどの程度の年収があったかどうかが分かります。また、銀行通帳のコピーを提出するので、毎月定期的に収入として入金されているかどうかも確認されます。

申請者が会社を経営されている場合や個人事業主の場合には、法人税や消費税、事業税の納税証明書の提出も必要とされており、個人としてだけでなく、経営している会社としても所得があり、それに伴って発生する納税義務を果たしているかが確認されます。

申請時に預貯金が多い方が良いだろう、と考えて、親せきや友人からお金をかき集めて残高を増やす方もいます。これに関しては、急に残高が増えるのは不自然というだけでなく、年収や毎月の給与振込額は税金関連の書類と通帳のコピーを証拠として提出しているため、整合性が取れなくなってしまいます。このような動きは、合理的に説明できないことから、却って審査担当者に怪しまれることになりますのでやめておきましょう。ちなみに、預貯金の残高に関しては、帰化申請の審査に影響を与えることはないと言われています。

借金やローンに関して

 「永住」の在留資格を持っている方では、マイホームやマイカーのローンを組んで購入されている方も多くいます。この残高が帰化申請の審査に影響を与えるかに関してですが、毎月きちんと滞りなく返済をしていれば、マイナスポイントになることはありません。ちなみに、ご自身で住宅(不動産)を所有されているか、お住まいが賃貸か持ち家化に関しても、帰化申請の審査に影響を与えることはないと言われています。

日本語能力要件とは

帰化申請は、日本国籍を取得して日本人として社会生活を行うことになることから、日常生活における日本語力をある程度持っているかも要件となっています。日本語能力試験で3級程度の読解能力があれば問題ないとされています。これは、申請書類の中に、日本語能力試験の合格証明書の提出等、客観的な資料を求められているということだったり、全員が面接時に試験を受けるということではありません。帰化申請の手続きの中で、窓口の担当者の方と相談や質問、書類提出を行う際のコミュニケーションややりとりの中で、担当者が「この申請人は、日本語能力が怪しいなぁ?」と思った際に、筆記試験を実施して読み書きの力を確認されるという程度です。

一般的に、日本の高等教育機関を卒業し、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得して3年以上働いていたような方であれば、日本語能力要件ではまず問題にならないと思われます。一方、日本人の配偶者として来日した方は、一般の就労系在留資格の方よりも日本滞在期間が短くても帰化申請が出来ることから、日本語能力要件に関して、不安に思われる方も多いようです。

まとめ

3回にわたって、日本国籍取得の要件を解説してきました。ほとんどの要件が、一朝一夕では解決できず、要件に適合するような社会生活をある一定期間行っていないと、帰化の要件が満たせないようになっています。これは日本人として、これから先も日常生活・社会生活上の法律や規則を守って生活できる素養や資質があるかどうかが問われています。よって、一つ一つの要件では決して難しい条件が課されているというわけではなく、日々の生活上の心がけやちょっとした注意を続けていれば、ある一定の期間が経過すれば、7つの要件すべてをクリアできると思われます。日本国籍の取得を考えている方は、早い段階からこれらの要件を確認したうえで、この要件がクリアできるようにご自身でコントロールしていくことが必要です。

行政書士あけやま事務所は、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として生きていこうとする、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、日本国籍取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。