ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

日本で仕事をしている中で、滞在期間が長くなるにつれて結婚をして子供が生まれるなど、生活環境の変化に伴い、このまま日本で生活したいと感がる外国籍の方もたくさんいらっしゃいます。外国籍の方が、在留資格の更新など煩雑な手続きをせずに、日本に居住する方法は、「永住」の在留資格の取得と、「日本国籍」の取得、いわゆる帰化をするという方法があります。本日は、日本国籍を取得するための要件の一つである「住居要件」について解説します。

帰化申請の要件① 住居要件とは

「日本に長く住んでいて、一定の手続きをすれば日本国籍を取得できる」、ということをご存じの方は多いともいます。では、「長く住む」とはどの程度の期間を意味するのでしょうか?法律では、「引き続き5年以上日本に住んでいること」と規定されています。5年以上、というのはわかりやすいのですが、「引き続き」という条件がわかりづらいので細かく見ていきます。

「引き続き5年以上」のカウント方法

「引き続き5年以上」とは具体的にどのような状態を意味しているのでしょうか。いくつかのケースに分けてみていきます。

①入国してから5年間、1回も出国したことがなく、常に日本に住んでいた方

→このような方は、読んで字の通り「引き続き住んでいる」ということになりますので、この要件はクリアしています。

②5年間の間に、何回か日本から出国したことがある方

→ほとんどの外国人の方は、母国での冠婚葬祭などプライベートな用事だけでなく、勤務先からの命令で業務出張に出たことのある方の方が多く、日本への出入国を何度も繰り返している方も多いと思われます。

このような方の場合には、

A)1回あたりの出国日数が、だいたい3か月(90日)を超えない場合、若しくは

B)1年の通算の出国日数の合計が、だいたい100日を超えない場合

であれば、その期間に関しては「引き続き」日本に住んでいるとみなされます。

A)に関しては、1回あたりが3か月以内の出国であっても、合計の出国日数が1年間で100日を超えてしまった時点で、それまでの滞在日数のカウントがリセットされてしまいます。例えば、1回あたり30日間の出国を1年間で6回行った場合、1回あたりは90日以内なので①の基準はクリアしていますが、トータルの出国日数が180日になるため、②の基準日数をオーバーしているので、それまでの滞在日数のカウントはリセットされてしまい、再度入国した日から新たなカウントをして5年たたないと、要件を満たさないということになります。

この居住要件に関しては、日本国外に出ていた日数を単純にカウントして、範囲内か範囲外かを機械的に判断されます。よって、「会社の業務命令」とか「親族の不幸」等の理由があったとしても、ほとんどの場合は考慮されることはないと考えていた方が良いでしょう。

5年間の在留資格は?

次に、「引き続き5年以上日本に住んでいる」間は、どのような在留資格だったら良いのでしょうか?5年間のうち、3年間以上は就労系の在留資格で滞在していること、つまり正規の仕事をしているということが条件になっています。正社員でなくても、派遣社員やフリーランスの契約社員であったとしても、また、企業に雇われる形ではなく、自分で起業をして会社経営者となる「経営・管理」の在留資格であっても問題ありません。なお、これには、「留学」の在留資格で、資格外活動許可を取得して行う、週28時間のアルバイトは該当しません。

例えば、来日後、2年間の短期大学を卒業し、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取って仕事をしているようなケースは、この要件を満たすと言えます。一方、来日後、4年制大学を卒業してすぐに、「経営・管理」の在留資格を取り起業して1年目の外国人は、引き続き5年間日本に住んでいますが、就労系の在留資格を取得して1年しかたっていないため、あと2年間仕事をしていないとこの要件を満たすことはできません。なお、この「就労系在留資格で3年」の要件には例外があり、引き続き日本に10年以上住んでいる外国人は、そのうち就労系の在留資格をもって仕事をしていた期間が1年間で良くなります。

特例 日本人と正式な結婚している方

今まで解説をしてきたのは、一般の外国人のケースです。日本人と結婚をして「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ方、もしくは別の在留資格を持っていても日本人と正式な婚姻関係にある方に関しては、この「住居要件」が「3年間」に大幅に緩和されます。これは、結婚した時から3年ということではなく、結婚した時点ですでに3年を経過していれば、その時点で住居要件を満たすということになります。また、日本人との結婚期間が3年以上ある外国人の方は、実際に日本に住んだ期間が1年以上あれば、住居要件を満たし帰化申請が可能になります。これは、例えば、海外在住時に結婚をし(もちろん、日本での正式な入籍手続きも完了していることが必要)、その後、夫婦で日本に帰国した場合に、海外で結婚後に2年間住んでいれば、日本帰国後1年間で居住要件を満たすということになります。なお、「引き続き」という言葉の解釈や、居住期間のカウント方法に関しては、一般の外国人の方の帰化申請と同じです。

日本人の配偶者が帰化申請をする場合、就労経験は必要?

日本人と正式な結婚をしている方、もしくは、「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人の方の場合、「3年間」の在留資格に関しては、就労経験を問われないということもポイントになります。日本人の配偶者としての3年間は、在留系の就労資格を取って仕事をしている必要はなく、無職や主婦でも問題はありません。さらに、結婚前の期間の在留資格が就労系であるかどうかに関しても、申請の要件にはなっていません。また、日本人側に一定の定期的な収入がある場合は、外国人配偶者自身には生活を維持するための収入は必要とされないため、帰化申請時に無職、無収入であったとしても、申請をすることが可能です。

まとめ

日本国籍の取得を検討される際には、まず、ご自身が来日してから現在までの日本滞在や出入国の記録を確認し、この「住居要件」を満たしているかを確認することが、第一にすべきことです。将来、日本国籍の取得を考えている方は、住居要件を頭に入れておき、出国期間が規定を超えないように早い段階から意識をしておく必要があります。

行政書士あけやま事務所は、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として生きていこうとする、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、日本国籍取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。