ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

日本で仕事をしている中で、滞在期間が長くなるにつれて結婚をして子供が生まれるなど、生活環境の変化に伴い、このまま日本で生活したいと感がる外国籍の方もたくさんいらっしゃいます。外国人の方が、在留資格の更新など煩雑な手続きをせずに、日本に居住するために、帰化申請を行い「日本国籍」の取得をするという方法があります。帰化申請の手続きをするためには、様々種類の数多くの書類を用意する必要があります。20種類以上の書類を作成するのは大変だぁ!と思われる方も多いのですが、実は、ご自身で作成する書類は、「帰化許可書申請書」・「親族の概要」・「履歴書」・「生計の概要」・「在籍及び給与証明書」・「宣誓書」・「動機書」の6点と非常に少なく、それ以外のほとんどは、市町村役場や税務署など依頼して発行してもらったものを取りに行く、という収集作業になります。ご自身で作成する書類の中で、一番大切で、そして難しいのが「動機書」だと言えます。今回は、その動機書の書き方のポイントを解説していきます。

帰化申請の「動機書」とは?

帰化申請で提出する必要書類は20種類以上になりますが、その中で、申請人本人の想いや考えを説明する書類は、この「動機書」の1点のみとなります。それ故に、申請人がどのような理由で日本国籍を取得したいと思ったのか、そう思うに至った経緯や背景であったり、現在の仕事や経済状況を説明し、帰化申請が許可されても問題なく日本で生活ができることを証明したり、今後日本社会でどのように生活をしていきたいのかの思い、といった帰化申請の審査上で非常に重要な要素を、A4サイズの用紙1枚程度にまとめてしっかりと書いていく必要があります。日本に来てから既に5年以上経過している方がほとんどですので、A4サイズ1枚じゃまとめられない、という方も多いと思います。しかし、長くて分量が多ければよいというものではありませんので、わかりやすく要点をまとめてご自身の考えや要点をきちんと伝えられるような文書にしてください。そのためにも、(2)動機書の記載項目の①~⑨の内容を確実におさえて、書き進めていってください。

「動機書」の記載項目は?

大前提として、別紙で履歴書や学歴、職歴の証明書、収入や納税に関する証明書を提出していますので、全てを詳細まで、時系列に沿って完璧に記載する必要がありません。主要なもの、帰化申請の理由につながるターニングポイントになるような事柄をピンポイントにまとめてください。

①生年月日、出生地、国籍

  いつどこで生まれた何人であるかを簡潔に書いてください。

②来日したそもそもの経緯や理由

  いつ、何を目的として、どうして来日したかをまとめます。

③来日後の学歴や職歴

  日本で在籍・卒業した学校や、入社した会社や業務内容を簡単にまとめます。

④結婚や離婚、子供の誕生など家族状況の変化

  結婚、離婚歴のある場合や、子供が生まれた場合などに関しては、いつ・何人と結婚(離婚)したのか、子供は日本国籍なのか、等を記載しています。配偶者や子供は、申請人が日本国籍を取得すことを賛成している旨も追記できると良い。

⑤現在の仕事状況について

 現在在籍している会社名と部署、役職と担当業務を記載し、どのような思いで日々仕事に取り組んでいるかや、仕事の目標等も簡単に書けると良いでしょう。会社経営者の方は、事業概要や経営状況だけでなく、ご自身の事業活動を通して、どのように日本社会に貢献していきたいか、といった想いも書いてください。

⑥現在の生活状況について

 前科や法律違反がないこと、税金や社会保険料などの未納・滞納がないこと、定職があり安定した収入がありこれからも日本で暮らしていくうえで問題がないことを述べてください。なお、前科や法律違反が過去に合った方の場合は、その事実を隠すことなく触れて、十分に反省している旨、今後は日本人として法を守って誠実に暮らす決意を書くと良いでしょう。

⑦日本国籍を取得しようと思った理由

 今後、日本人として日本で暮らしていきたいと強く思った理由をまとめてください。簡単な具体例やエピソードを交えると、より信ぴょう性が高まり、審査官に思いが伝わりやすいです。家族や同僚などが日本国籍取得に賛同してくれているのであれば、その旨も記載してください。

⑧日本人として日本で生活することに対する想い

 これからは、日本人として日本で末永く暮らしていきたいと強く思う気持ちであったり、日本人と同様に、日本の規則や法律を守り、社会的な義務を履行して誠実に暮らしていく気持ちがあることを述べてください。

⑨まとめ

 日本国籍を取得することの許可を頂けるようお願いをして、文書を締めくくります。

「動機書」を記載する上での注意事項

帰化申請の動機書は、原則としてすべての申請人が作成することになっています。家族同時申請であっても、15歳以上の方は提出が求められます。提出が不要なのは、特別永住者の方と、15歳未満の子供のみです。

そして、A4サイズの所定の書式に、直筆・手書き・日本語で作成してください。他の書類は、パソコンで作成、プリントアウトをするということが可能なのですが、この動機書だけは、申請人が直筆で書かなくてはならないことになっています。

まとめ

帰化申請に必要な「動機書」の記載事項の要点を解説してきました。申請に必要とされる、「素行要件」や「生計要件」をご自身の言葉で端的に説明し、そして「日本語要件」を満たしていることを証明するためなのか、申請人直筆の日本語で書くことが求められています。

これらの要件の詳細は、別途提出する添付資料で説明・証明されることとなりますので、ポイントになることを絞って、まとめて記載するようにしてください。記載に当たっては、添付書類との齟齬や矛盾が出ないよう、細かい点にも注意を払う必要があります。例えば、動機書に記載した学校の卒業年と、最終学歴の卒業証書に記載されている卒業年が異なる等があると、申請書類全体の信ぴょう性が低くなり、審査官も他にも間違っているところがあるかもしれない、といった疑念を持って審査が行われるため、心証としては不利になってしまいます。

動機書はA4用紙1枚程度ですが、申請人の想いを伝える非常に重要な書類で、この書類の内容も審査の重要な要素になっております。動機書だけでなく申請書などの作成に不安がある方や、1回の申請で確実に日本国籍を取得したい方は、帰化申請や在留資格を専門に扱っている行政書士にご相談、依頼をされることをお勧めします。

行政書士あけやま事務所は、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として生きていこうとする、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、日本国籍の取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。