ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

日本で仕事をする外国人の方で、滞在期間が長くなるにつれて結婚をして子供が生まれるなど、生活環境の変化に伴い、このまま日本で生活したいと感じる方もたくさんいらっしゃいます。外国籍の方が、在留資格の更新など煩雑な手続きをせずに、日本に居住する方法のひとつに、「日本国籍」の取得、いわゆる帰化をするという方法があります。しかし、一般的に、「帰化」の申請要件を満たすためには、長い年月がかかるものもあります。また、交通違反の回数や社会保険料の支払い等、一定期間要件を満たした状態が継続していなければならず、遡って対応することが出来ないものもあります。よって、中長期的に日本に在住し、将来は日本国籍を取りたいと少しでも思っている方は、出来るだけ早い段階から申請要件を頭に入れて、1日も早く要件が満たせるよう、意識して日常生活を行うことをお勧めしたいです。では、どのようなことに気を付けておけばよいのか、1つずつ解説していきます。

一時帰国や日本を出国する際の期間

日本国籍を取得する帰化申請の要件は、一般の外国人の方で、「引き続き5年以上日本に居住していること」となっています。この5年をカウントする際のポイントが「引き続き」という状態です。日本を出国している期間が長かったり、1年間の通算出国日数が多い方は、「引き続き」居住していないということになります。日本居住期間のカウントがリセットされてしまい、再度ゼロからカウントをスタートしなければならなくなります。では、どの程度の出国期間であれば、「引き続き」日本に居住しているとみなされるのでしょうか?

    ①1回あたりの出国日数が3か月(90日)以内

    ②1年を通しての通算の出国日数は100日以内

この①と②は、どちらも満たしている必要があります。1回30日間の出国が年6回あった場合、①の条件は満たしていますが、トータルの日数は180日になり、②の条件を超えてしまっています。今までの居住日数のカウントはゼロになり、最後に入国した日から、再度カウントをスタートすることになります。

税金や年金、社会保険料の支払い

税金や年金、社会保険料の支払いは、日本国民の義務となっていますので、外国人の方が日本国籍を取得する帰化申請においては、きちんと納付期限を守って支払っているかは、要件としてかなり厳しくチェックされます。

税金をきちんと支払いましょう。

特に、個人事業主や会社を経営している方は、個人の住民税、所得税だけでなく、会社の法人税や消費税、事業税なども、納付期限前に支払いましょう。

会社勤めの方は、所得税は会社が給料から天引きをして支払いを行いますが、住民税も同じように給料から天引きをして支払われていれば(特別徴収)、まず問題になることはありません。心配な人は、会社の経理担当の方に確認をしてください。

年金をきちんと支払いましょう

会社経営者の方は、厚生年金保険に加入することになっているのですが、経営者本人だけでなく、社員の方も、厚生年金保険に加入させることは勿論、その保険料もきちんと支払われていなければならないのです。また、個人事業主の方は、厚生年金ではなく国民年金の保険料を支払う必要があります。

会社勤めの方で、毎月のお給料から所得税、住民税とともに、厚生年金保険料が天引きされている場合には、特に問題はありません。

納付忘れを防ぐ方法

個人で手続きをして、税金や年金を支払わなければならない方は、銀行口座からの自動引き落としをすることで、納付忘れやうっかり期限が過ぎてしまうということを防ぎましょう。特に、帰化申請の審査では、若干納付期限を過ぎていても、支払いが行われていればよいとされています。ただし、何年分も遡って支払うことはできません。最低でも申請直近の2年以上は、きちんと支払われていないといと許可になりません。つまり、支払っていない年がある場合は、帰化申請が出来るのは、支払いをしてから2年先になってしまいます。

日本の法律やルールを守ること

帰化の申請人には、「素行が善良であること」が求められています。これは非常にあいまいなのですが、過去の事例から、具体的には次の2点に気を付ける必要があります。

警察のお世話にならないようにしましょう

犯罪行為や法令違反を行ってしまい、警察に逮捕され、罰金刑、禁固刑、懲役刑になってしまうと、素行が善良であるとは言えません。また、スーパーでの万引きや、酔っぱらっての喧嘩なども、警察が出てくるような事態になると、審査に影響することとなります。軽はずみな軽率な行動は慎しみましょう。

交通ルールを守りましょう

前述の犯罪行為よりも軽微な違反が該当するのですが、一番身近なのは、自動車や自転車に乗っていての交通違反です。交通違反の中でも、罰金が伴わない「白切符」や、反則点数6点未満の「青切符」のような、比較的軽微な違反が該当します。これらは、5年間で5回以上、かつ、申請する直近の2年間で3回以上になると、日常生活上、社会生活上の違反を繰り返し、風紀を乱しているとみなされ、永住の申請は不許可になってしまいます。 一時停止違反や速度超過、運転中のスマホ等、車を運転中についつい不注意でやりがちなことだけでなく、最近では、自転車運転の違反でも罰則を取られることがあるため、常に交通ルールを守り安全運転を心がけましょう。

日本語を勉強しておきましょう

帰化申請は、日本国籍を取得して日本人として社会生活を行うことになることから、日常生活における日本語力をある程度持っているかも要件となっています。日本語能力試験で3級程度の読解能力があれば問題ないとされています。これは、申請書類の中に、日本語能力試験の合格証明書の提出等、客観的な資料を求められているということだったり、全員が面接時に試験を受けるということではありません。ただし、帰化申請の手続きの中で、窓口の担当者の方と相談や質問、書類提出を行う際のコミュニケーションややりとりの中で、担当者が「この人は、日本語能力が怪しいなぁ?」と思った際に、筆記試験を実施して読み書きの力を確認されるという程度です。

よって、まずは、コミュニケーションができ、簡単な意思疎通ができることを目指してください。日本語学校に通って勉強をするだけでなく、日常生活の中で、普段から日本人と関わり、日本語でコミュニケーションをとる時間を多く持つことが、日本語の会話能力を高めるために重要な機会になります。

まとめ

日本国籍を取得する「帰化申請」の要件には、日本居住年数など自分の力で何とかできないものもありますが、本日お伝えした、日本出国期間や税金・国民年金の納付、法律やルールを守った生活を送ること、などに関しては、申請人ご自身の心がけや生活態度で基準を守ることができます。たった一度のうっかりミスでも、再度条件を満たすまでに回復するには時間がかかることもありますので、常に意識してくれぐれも気を付けて生活する必要があります。

行政書士あけやま事務所は、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として生きていこうとする、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、在留資格「永住」の取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。