ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

外国人の方の中にも、サラリーマンとして会社勤めをするだけでなく、独立起業をして自分のビジネスを立ち上げる方もいらっしゃいます。そのような場合には、在留資格を「経営・管理」に変更する必要があります。今回は、どのような条件の人がこの在留資格を取得できるのかを解説をしていきます。

初めに;在留資格「経営・管理」の活動内容

この在留資格に該当する活動は、「貿易その他事業の経営を行いまたは当該事業の管理に従事する活動」で、該当例としては、企業の経営者、管理者、と出入国在留管理庁のホームページには記載されています。このような活動を行う予定の外国人の方に、この在留資格が許可されるのですが、具体的にはどのような要件があるのかを一つずつ見ていきます。

学歴

学歴は不要です。この在留資格の申請にあたっての必要書類には、他の就労系在留資格のように「最終学歴の卒業証明書」を求められることはありません。よって、「技術・人文知識・国際業務」のように、学歴によって申請の可否が決まっているということはありません。日本語学校終了でも、海外の高校卒業でも申請をすることは可能ですし、それを理由に不許可とされることはありません。

職歴

職歴に関しても、必ずしも必要ではありません。在留資格「技能」のように、同一職種での実務経験年数が規定されていることはありません。また、申請の必要書類でも、前職の在職証明書を求められていません。よって、申請人自身が会社を設立して、「経営・管理」の在留資格を取得しようとした場合、職歴や実務経験は必要とされていません。ただし、経営者や役員として企業に雇われる場合は、例外として「日本において管理者として雇用される場合、事業の経営または管理について3年以上の経験を有することを証する文書」の提出が求められています。

 しかし、この在留資格の取得には、職歴は必須要件ではないのですが、「申請の信ぴょう性」という観点からは、なんらかの職歴や実務経験はあった方が良いとされています。つまり、「会社を立ち上げてこのビジネスを本当にやるの?」「起業を成功させられるような手腕があるの?」という観点で考えると、高校卒業後すぐの18歳Aさんと、社会人経験のある28歳Bさんでは、当然Bさんの方が信ぴょう性や妥当性が高いと言えるはずです。

年齢

年齢制限はありません。ただし、先ほどの職歴でも説明しましたが、「信ぴょう性」の観点で考えると、高卒すぐの10代の若者や、60代後半の高齢者だと、「会社を立ち上げてこのビジネスを本当にやるの?」「起業を成功させられるような手腕があるの?」という面において、信ぴょう性が低いと判断されると、不許可になるケースがあります。

例えば、学校を退学した留学生が「経営・管理」の在留資格を申請すれば、「留学ビザの更新ができないから、とりあえず会社を作って日本に居ようとしているのではないか?」という嫌疑はついてきます。また、70歳の高齢の方を「経営・管理」の在留資格で母国から呼び寄せようとすれば、「親を呼んで日本で同居したいから、形式的に会社を作って呼び寄せるのではないか?」という疑いを審査官に持たれます。「経営・管理」の在留資格が、経営と管理をするために与えられるものである以上、年齢だけでなく、前述の学歴、職歴と合わせて、本当に起業して会社を経営するという信ぴょう性と、それを裏付ける能力に関しては、審査上考慮されるということは間違いないようです。

会社

この在留資格の活動目的が「経営」と「管理」である以上、申請人の会社がなければこれらの活動を行うことが出来ないことから、在留資格の申請前に会社の設立が完了し、なおかつ事業が開始できるように準備をしておくことが必須とされています。なお、この会社に関しては、株式会社だけでなく、合同会社でもよいとされています。また、会社という法人の形式をとらなくても、個人事業主であっても、この在留資格を取得することができます。

ここで注意をしなくてはならないのは、会社を設立した後でないと、「経営・管理」の在留資格を申請することはできません。更に言うと、「経営・管理」の在留資格の審査要件に適合した会社でないと、在留資格の許可を得ることはできません。どんな会社でも設立すればよいということではなく、事前に在留資格の要件を確認し、それに沿って会社の設立をしていかないと、営業準備は完了したけど「経営・管理」の在留資格が取得できず、ビジネスが始められないという事態になってしまいます。この設立する会社の要件は、別の記事で1つずつ細かく解説をしていく予定ですので、そちらも必ずご確認ください。

まとめ

日本で起業し、会社設立を行うための「経営・管理」の在留資格は、他の就労系在留資格と比較して、年齢や学歴、職歴など、申請人に求められる要件は非常に少なく、取得が容易だと思われる方もいるかもしれません。しかし、その前段階にある会社の設立に関しては、日本人の一般的な起業と比較しても要件が厳しく、会社が要件を満たしていないと、在留資格の許可を得ることはできません。会社設立の第一歩である、事務所(店舗)選びから、許可の可否を決める重要な要素が含まれているため、最初の段階から、在留資格の要件を満たしているかどうかを考えながら、慎重に準備をすすめていく必要があります。また、要件には例外や解釈が微妙なところもありますので、手続きに不安のある方は、早い段階から行政書士にご相談されることをお勧めしています。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会で起業し新たなチャレンジを行おうとする、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、会社設立や在留資格「経営管理」に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。