ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。
私は主に、北海道の宿泊業や観光業で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの、新規取得や更新手続きのお手伝いを行っています。
日本で仕事をする外国人の方で、滞在期間が長くなるにつれて結婚をして子供が生まれるなど、生活環境の変化に伴い、このまま日本で生活したいと感じる方もたくさんいらっしゃいます。外国籍の方が、外国籍のままで在留資格の更新など煩雑な手続きをせずに、日本に居住する方法は、「永住」の在留資格を取得するという方法があります。「永住」の在留資格は、一度取得できると永続的に在留できるのはもちろんのこと、日本社会で生活をする上で様々なメリットがありますが、居住要件や素行要件など、他の在留資格に比べると要件が厳しく、そして多くなっています。今回は、定住者の在留資格を持っている方が、「永住」への変更ができるかどうか、1分間で素早く簡単に確認できるチェックリストをご紹介します。「永住」に興味のある方、また、いつかは「永住」を取りたいと思っている方は、まずは、このチェックリストで確認してみることをお勧めいたします。
- 定住者から「永住」に変更するための、10の要件チェックリスト
- ①定住者の許可日から5年以上、もしくは、日本人との結婚期間+定住者の期間を合算して5年以上、引き続き日本に居住している。
- ②年間100日以上、日本から出国した年はない。
- ③1回90日間以上の、日本出国歴がない。
- ④懲役・禁固・罰金刑に処されていない。未成年の場合、少年法による保護観察処分中ではない。
- ⑤軽微な交通違反が5年間で5回以内、かつ、直近2年間で3回以下である。
- ⑥直近5年連続で年収300万円以上、かつ扶養者1人につき40万円追加の収入がある。
- ⑦住民税・国民年金・国民健康保険料、すべて納付期限内に支払っている。
- ⑧暴力団・反社団体メンバーではない。
- ⑨現在持っている在留資格の有効期間が3年または5年。
- ⑩身元保証人を用意できる。
- まとめ
定住者から「永住」に変更するための、10の要件チェックリスト
在留資格「永住」の要件は、出入国在留管理庁のホームページや、永住申請の取次を行う行政書士や弁護士のホームページ、永住取得の手引書などで解説されていますが、1分間で確認できるように簡単にまとめると、以下の10項目となります。もちろん、申請される方によって状況や条件は違うので、細かい点をヒアリングが必要になるので、このリストだけで100%正確に大丈夫だろうとは言い切れませんが、この10項目がクリアできていれば、まずは申請の要件を満たしている可能性が高いです。1項目ずつ補足説明をしていきます。
①定住者の許可日から5年以上、もしくは、日本人との結婚期間+定住者の期間を合算して5年以上、引き続き日本に居住している。
→定住者の場合は居住期間が5年間に短縮されます。また、日本人と結婚をしていて「日本人の配偶者等」の在留資格を持っていた方が離婚して、「定住者」に切り替えた場合には、日本人の配偶者等の期間と定住者の期間を合算して5年以上になれば大丈夫です。通常、日本人と離婚をして定住者に変更する場合は、日本人との実態を伴う婚姻期間が3年以上あることが条件になっていますので、その後、最短2年間で永住の申請ができることとなります。
②年間100日以上、日本から出国した年はない。
③1回90日間以上の、日本出国歴がない。
→この2項目に関しては、上記の居住要件となっている5年の間に、1回でも年間100日以上、若しくは1回あたり90日以上の出国がある場合は、そこで居住年数のカウントが中断してしまいます。その場合は、再入国した時点から新たに居住年数のカウントが始まり、5年間経過する必要があります。なお、この出国日数制限の目安に関しては、会社の出張命令など自己都合でなく、止むを得ない場合であったと合理的かつ客観的に説明ができる場合は、例外として認められるケースがあります。
④懲役・禁固・罰金刑に処されていない。未成年の場合、少年法による保護観察処分中ではない。
→原則として直近10年間で、このような処罰がされているような場合は、永住の申請をしても許可されることは ありません。例外として、懲役・禁固の場合は刑務所を出所してから10年、執行猶予の場合は執行猶予期間が終了してから5年、罰金刑の場合は罰金を支払ってから5年が経過すれば、許可になる可能性があります。また、未成年の定住者の方は、保護観察処分期間が終わらないと永住の申請はできません。
⑤軽微な交通違反が5年間で5回以内、かつ、直近2年間で3回以下である。
→申請時に提出する運転記録証明書は直近5年間の交通違反や処分の履歴が記載されます。これに該当するよう方は、安全運転や法令順守を心掛け、運転記録証明書に記載される違反や処分が5回以内になれば、永住が許可になる可能性があります。なお、最近では自転車でも危険運転と認められる場合は、罰則が適用されることがありますので、車を運転しない方でも注意が必要です。
⑥直近5年連続で年収300万円以上、かつ扶養者1人につき40万円追加の収入がある。
※申請人が扶養されている場合は対象外
→定住者の方は、就労制限がないために、「技術・人文知識・国際業務」などの就労系の在留資格を持っていない場合でも、フルタイムで会社勤めをしている方はいらっしゃいます。このような場合には、5年間連続で年収が300万円以上であることが求められます。扶養者がいる場合は、目安として1人につき40万円程度の増額が必要となります。なお、申請人の方が扶養されている場合は、この規定は扶養者の方に適用されます。
⑦住民税・国民年金・国民健康保険料、すべて納付期限内に支払っている。
→これに関しては、会社勤めの方は毎月お給与から天引きで、税金や保険料が支払われていることがほとんどのため、この要件が問題になる方は少ないと思われます。しかし、会社勤めの方でも、転職をした際に空白期間があった方は、その間の年金や保険料がきちんと支払われていたかは要確認です。また、ご自身でビジネスをされている経営者の方は、ご自身の分だけでなく、会社と従業員の分も、納付期限を遅れることなく完納していないと、永住申請は不許可になる可能性が高いです。
⑧暴力団・反社団体メンバーではない。
→このような組織に属している方は、永住の申請が不許可になる可能性が高く、申請前に離脱してかかわりを持たないことをお勧めしています。
⑨現在持っている在留資格の有効期間が3年または5年。
→通常、5年間日本に在留している方で、在留資格の有効期間が1年間という人は稀で、3年間を持つ方が多いと思われます。もし、有効期限が1年間のままの方の場合は、その方の仕事やご家族などに何らかの問題があり、審査上不利益に働くことがあることが想定されます。永住申請にあたっては、この問題を明確にしてクリアにしておく必要があります。
⑩身元保証人を用意できる。
→身元保証人は、日本国籍を持つ人か、永住の在留資格を持つ人に限られます。お仕事をされている方は、勤務先の上司や経営者にお願いすることが多いようです。
まとめ
定住者の在留資格を持つ方が永住を申請する場合の、10の要件チェックリストを見てきました。一般的の外国人の方が永住申請をする際の住居要件は5年間と半分に短縮されるのが一番大きなポイントです。また、未成年の方も対象となりますので、その場合は刑罰ではなく保護観察処分期間中でないということも付け加わっています。これら上記10項目に関して、すべてクリアしている方は、永住申請に向けて具体的な準備を始めてもよいと思われます。個別具体的な細かい要件や、ご自身が要件をクリアしているかの判断をしたい方は、在留資格やビザを専門に扱う、申請取次行政書士にご相談ください。
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