ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。私は北海道唯一の観光産業とビザ申請に特化した行政書士として、北海道の宿泊業や観光業で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの、新規取得や更新手続きのお手伝いを行っています。
今回は、「特定技能」の在留資格を持つ外国人の方を雇う場合、雇用する企業にはどのようなことが求められているか?について解説をしていきます。「特定技能外国人受入れに関する運用要領」では、特定技能の外国人の方を雇い入れる企業に関して、「特定技能所属機関は、特定技能雇用契約の適正な履行が確保されるものとして特定技能基準省令で定める基準に適合するものでなければなりません」と規定しています。具体的に、16の項目に関して、細かい基準を設けています。今回はその中の12番目に記載されている、「派遣形態による受入れに関するもの」に関して、受入れに関する運用要領をもとに解説をしていきます。
はじめに;派遣契約で特定技能外国人を雇用できるのか?
派遣契約で特定技能外国人を雇用できるのは、「農業」と「漁業」の特定産業分野のみです。それ以外の10の特定産業分野では、派遣形態で特定技能外国人を雇用することはできません。そもそも、原則として、特定技能外国人は、雇用先である所属機関と直接雇用契約を締結することになっています。この「農業」と「漁業」のみ派遣契約が認められているのは特例的措置の例外であるといえます。
なぜ「農業」と「漁業」が派遣契約での雇用が可能なのか?
ほかの産業分野と異なり、「農業」と「漁業」に関しては、季節によって作業内容が異なるだけでなく、繁忙期、つまり人手の過不足も1年間の中で大きく差があります。よって、1つの事業者と雇用契約を結び、1か所の事業所で通年で雇用されているのは非効率的なこともあります。例えば、特定技能外国人の方が、北海道のジャガイモ農家と雇用契約を結んだ場合、雪が積もる冬の時期、11月~4月は農閑期にあたり、この間ほとんど農作業がないにもかかわらず、他の仕事をすることができない、ということになってしまいます。しかし、この特定技能外国人の方が派遣契約であれば、農閑期の冬の時期は、九州のミカン農家に派遣をして収穫作業を行う、ということも可能になります。それぞれの地域や作物の繁忙期に併せて、計画的に事業所を変え、産業全体の人手不足の解消ができるのは、農業や漁業に限って特定技能外国人の派遣契約が可能となっている大きなポイントであると思われます。
まとめ
特定技能外国人は派遣形態で受け入れることができるか?について解説してきました。基本的に、「農業」と「漁業」以外の特定産業分野以外では、現段階では派遣契約は認められていません。日本社会全体の人手不足の状態を解消するためにも、特定技能外国人の方には、安定した労働環境が提供されるよう、所属機関と雇用契約を締結することが求められています。
ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、特定技能外国人の方の受け入れに関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。