ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、「特定技能」の在留資格を持つ外国人の方を雇う場合、雇用する企業にはどのようなことが求められているか?について解説をしていきます。「特定技能外国人受入れに関する運用要領」では、特定技能の外国人の方を雇い入れる企業に関して、「特定技能所属機関は、特定技能雇用契約の適正な履行が確保されるものとして特定技能基準省令で定める基準に適合するものでなければなりません」と規定しています。具体的に、16の項目に関して、細かい基準を設けています。今回はその中の14番目に記載されている、「特定技能雇用契約継続履行体制に関するもの」、受入れに関する運用要領をもとに解説をしていきます。

はじめに;特定技能雇用契約継続履行体制とは?

特定技能雇用契約継続体制とは、特定技能外国人が、安定した就労活動ができるように、受入れる企業等が事業を継続して行い、雇用が安定的に確保できる体制にあるかがポイントとなります。つまり、受入れ企業の経営が安定していなく債務超過が続き、企業の存続が危ぶまれている状態の中で、特定技能外国人を新規に雇入れるために雇用契約を締結しても、受入企業が事業停止や倒産などの事態に陥れば、せっかく雇入れた特定技能外国人は就労場所を失い、失業してしまうことになります。そのようなことを避け、安定した就労機会を継続的に提供するためにも、特定企業所属機関の経営状態は、在留資格の申請を行った際に出入国在留管理庁で審査をされることとなります。

どのような状態だと、特定技能雇用契約継続履行体制が整っていないと見なされるのか?

受入れに関する運用要領では、「特定技能雇用契約を継続して履行する体制として、特定技能所属機関が事業を安定的に継続し、特定技能外国人と締結した特定技能雇用契約を確実に履行しうる財政的基盤を有していることをいう」としています。

具体的には、申請の直近期末において債務超過がある場合、もしくは、直近2期末のいずれも(2期連続で)債務超過がある場合が想定されています。

債務超過がある場合はどうしたらよいのか?

特定技能雇用契約締結の直近、もしくは2期連続で債務超過がある場合、どちらも、「中小企業診断士、公認会計士等の第三者が改善の見通しについて評価を行った書面」を提出することとされています。つまり、企業の評価・診断を行うことのできる有資格者が作成した、財務・経営面を総合的に評価し、業績改善の可能性や事業継続の見通しを評価した書面によって、特定技能外国人を安定的・継続的に雇用を継続できるかが判断されることとなります。また、直近2期末のいずれも債務超過がある場合は、労働保険料、社会保険料、及び租税の納付に関する領収書や証明書等の提出も求められます。つまり、債務超過の状態の中で、企業の義務を適切に履行しているかどうかも確認されることとなります。

債務超過の状態で特定技能外国人を受入れることが出来るか?

直近、そして2期連続で債務超過の場合には、中小企業診断士か公認会計士の作成した評価書を提出することとされていますが、この評価書を提出すれば特定技能外国人を受入れることが出来るのでしょうか?実務上では、直近1期のみの債務超過であれば、評価書の内容次第では、在留資格の申請が許可になる可能性はあります。一方、2期連続で債務超過の場合は、評価書の内容如何にかかわらず許可を得るのは難しいといわれています。債務超過が2期続いてしまうと、既存従業員の雇用状況も悪化することが想定されるため、特定技能外国人を雇用したとしても、適切な就労環境を提供できないだけでなく、法律で定められた支援計画も実行できない恐れがあり、特定技能外国人の受入れは不適切と判断されるようです。

まとめ

特定技能雇用契約継続履行体制について解説してきました。基本的に、受入れの直近もしくは、直近2期連続で債務超過がある場合には、特定技能外国人受入れの新規雇用契約を締結するのは難しい状態だといえます。特定技能外国人制度は、慢性的な人手不足が続く12の特定産業分野の労働力確保が一番の趣旨となっているため、日本人従業員よりも賃金の安い特定技能外国人を雇用することで、人件費の削減を行い、経営状況を改善させようとする思惑では、特定技能外国人を雇用することはできません。さらに、雇用を安定的に継続し就労活動の場を提供するだけでなく、支援計画に基づき、法律で定められた支援を適切に行うことは、他の在留資格を持つ外国人労働者よりも、日本語能力や技術力の低く弱い立場にある特定技能外国人を適切に保護するために必要なことだと考えられます。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、特定技能外国人の方の受け入れに関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。