ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。

北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。最初は会社勤めのサラリーマンだったけど、日本でビジネスを立ち上げたいと考える方もたくさんいらっしゃり、外国人の方からの会社設立や、「経営・管理」の在留資格への変更に関するお問い合わせもいただいております。

今回は、日本で学ぶ留学生の方が、卒業後すぐに会社を設立しようと考えた場合、どのようなタイミングで準備を進めたらよいかについて解説をしていきます。

はじめに;留学と会社経営に関するビザ

外国人の方が起業をしてご自身で会社を経営する場合、「経理・管理」のビザを取得します。これは、株式会社など法人を設立する場合だけでなく、会社等と契約をせずに、個人事業主として事業を行う場合でも同様です。原則として会社経営やご自身でビジネスを行う場合には、「経営・管理」ビザを取得することは必須といえます。こちらの記事ではすでに「留学」ビザの方が会社経営はできないこと、またその逆に、「経営・管理」ビザを持つ方は、大学への通学が可能なことは解説しました。では、卒業後に起業し、会社を経営することを決めている学生は、どのタイミングで準備を始めたらよいのでしょうか?

「経営・管理」ビザへの変更はいつまでにすればよいか?

現在の「留学」ビザの有効期間内に、「経営・管理」への変更許可申請手続きを完了してください。変更が許可か不許可かの結果は有効期間の後でも構いません。1日でも有効期間を過ぎてしまうと、オーバーステイになってしまい、変更許可申請は間違いなく不許可になります。くれぐれも気を付けて、有効期間内に申請が完了するよう、逆算してスケジュールを立てる必要があります。つまり、留学の在留期間内に、会社設立手続きを完了し、営業が開始できるよう、事務所や店舗の準備をすべて終わらせて、「経営・管理」の在留資格申請が行える状態まで終わらせてください。また、後半は営業開始に向けた準備と並行して、在留資格変更申請のために必要な書類の作成や収集を並行して行うと、時間のロスが避けられます。

会社設立準備

「経営・管理」のビザ申請に必要な会社設立は、ビジネスがスタートできるようすべての準備が完了している必要があります。留学生の場合は、すでに日本に住んでいて、生活の基盤も整っている方が多いことから、非居住者に比べると、会社設立は比較的容易に進められると思われます。例えば、住民票や印鑑証明など、本人の公的書類もすぐに取得可能な状態だったり、資本金を振り込むための銀行口座を持っているなど、ゼロから準備を始めるという状態ではないはずです。

そのような状態で、いつごろから会社設立の準備を始めたらよいのでしょうか?会社を設立して、どのようなビジネスを始めるかによって、「経営・管理」の在留資格申請ができる状態になるまでの期間も異なると思われます。例えば、通訳翻訳業や、WEBデザイナーとしてホームページ作成会社を設立する場合、営業開始に向けての準備は、①事務所を確保する ②事務机と椅子、パソコンやプリンターなど必要な備品をそろえる、ということで、仕事を始められる物理的な環境は整えられます。これだけでしたら、国道沿い大型ショッピングモールで必要なものを買い集めれば、早い方では1日もあればすべて準備は可能なはずです。一方、飲食店ビジネスを始めようとした場合、①店舗を借りる ②客席・厨房の内装工事 ③机椅子、厨房機器の搬入 ④メニューの考案・印刷  ⑤食品衛生管理者選任、飲食業許可取得 ⑤調理人やホールスタッフの人選 といった具合に、準備は多岐にわたり、そして時間もかかります。良い条件の居抜き物件をうまいこと見つけた場合でも、1か月から2か月は準備にかかります。これらに加えて、定款の作成や資本金の振り込み、公証役場での定款認証、そして司法書士の先生に依頼をして法人登記をする、といった、会社を設立するための事務手続きもあります。

営業開始の準備が整ったら…ビザの変更前でも営業はできるのか?

これは、非常に難しい問題ですね。事務所や店舗を借りて、家賃や固定費がすでに発生している中で、ビジネスが開始できないと、売り上げが立たない中で固定費のみが発生するという厳しい状態が続きます。この状態が長く続けば続くほど、経営は苦しくなります。ただし一方で、「留学」ビザのままですと、厳密な意味ではご自身で事業を行うことはできないため、ビジネスを始めて収益を上げることはできません。このような期間をなるべく短くするためにも、会社設立と在留資格変更申請の準備を並行して行い、営業準備が完了したらすぐに出入国在留管理庁に申請手続ができるよう、書類作成や収集も進めておく等、計画的に準備を進めるとよいでしょう。

まとめ

留学生が日本で起業し、会社を経営する場合には、「経営・管理」ビザに変更することが必要となります。卒業に合わせてビジネスをスタートするためには、留学ビザの有効期限が切れるタイミングから逆算して、いつ在留資格変更許可の申請を行うのか? 営業準備完了はいつまでにするのか? の2つを決めていく必要があります。ビジネスの準備が早すぎると、営業開始を待たなければならない時間が長くなり、また、会社設立に時間がかかり遅くなってしまうと、留学の在留資格の有効期間内に変更申請が終わらないかもしれない、と焦ってバタバタすることにもなります。

卒業後は就職をせずに日本で起業する、と決めた留学生は、早い段階から綿密な計画を立てたり、リサーチを行うなど、会社設立~開業準備~在留資格変更許可申請までの一連の流れがスムーズに行えるよう、計画的な準備が成功への大きなポイントとなります。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会で起業し新たなチャレンジを行おうとする、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、会社設立や在留資格「経営管理」に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。