ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

日本で暮らす外国人の方の中には、日本で出生し母国で暮らしたことがない方もいます。また、ご自身だけでなく、両親や祖父母も日本で生まれたという、いわゆる2世、3世の方もいます。日本の歴史的背景から、このような方々のほとんどは、在日韓国人、朝鮮人の方が該当し、在留資格上では特別永住者と言われています。このような、特別永住者の方が日本国籍を取得する場合、特に日本での居住期間に関する「居住要件」が緩和され、一般の外国人の方よりも申請がしやすくなっています。今回は、その要件について解説していきます。

在日韓国人、朝鮮人の方が日本国籍を取得するために必要な住居要件に関して

住居要件の年数を計算する場合、日本で生まれたかどうかや、日本居住年数によって要件が異なってきます。

日本で生まれた場合

申請人の方が日本生まれで、さらにその父親か母親のどちらかが日本で生まれている人は、引き続き3年以上日本に居住していることが要件となります。いわゆる在日韓国、朝鮮人2世や3世の、特別永住者の方がこれに該当します。

日本国外で生まれた場合

引き続き10年以上日本に居住している人が該当します。海外で生まれた後に日本に来て、10年以上住んでいた人となりますので、やはり特別永住者である、在日韓国、朝鮮人1世の方が該当することが多いです。ただし、この引き続き10年以上日本に居住しているという要件に関しては、特別永住者以外でも一般の外国人の方も該当します。その場合には、10年間のうち、1年以上は就労系の在留資格を持って働いていることが要件になっているのが、特別永住者の居住要件とは異なるところになります。

帰化申請をするときの年齢に関して

2022年4月から、日本での成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。これに伴い、単独で帰化申請ができる年齢は、18歳以上となりました。法律的に成人になったタイミングで、申請人自身の意志によって日本国籍取得の手続きが出来るようになりました。18歳は、高校卒業後、就職をして社会に出たり、大学生として親元離れて生活をするようになるなど、いわゆる人生の転機で日本国籍取得を選択できるようになったことは、非常に良いことだと思われます。一方、親と同時に帰化申請を行う場合に関しては、子供の年齢の制限はありません。

生計要件に関して

基本的に、他の外国人の方の帰化申請と変わらず、安定した収入、もしくは財産があり、日々の生活が成り立っていれば問題ないとされています。ただし、特別永住者の方は、クレジットカードの利用やローン等の融資を受けることが可能なため、借金を理由に自己破産をしてしまう方もいます。過去に自己破産歴のある方に関しては、一定期間が経たないと帰化申請はできません。

素行要件に関して

日本人と結婚をしている配偶者の方が帰化申請を行う場合、一般の外国人の方と異なるのは、「住居要件」のみとなります。これ以外の素行要件に関して、例えば、

①日本の法令違反を行い、懲役・禁固・罰金刑に処されたことがないこと

②日常生活上・社会生活上、違法行為、違反行為や風紀を乱す行為を繰り返し行っていないこと

③日本人としての公的義務(納税・年金の支払い)をきちんと果たしていること

に関しては、他の一般の外国人の方と変わりませんので、詳しくは、こちらのコラムをご参照ください。

申請書類「動機書」に関して

帰化申請を行う際の必要書類の1つ、「動機書」に関しては、特別永住者の方は提出不要です。一般の外国人の帰化申請では、日本国籍取得の理由や日本人になることに対する想いを審査官に直接伝える「動機書」は、提出書類の中でも非常に重要な意味を持つものでした。しかし、特別永住者である申請人は、日本生まれの親から日本で生まれていることもあり、あえて日本国籍を取得することの理由や想いを確認することは不要と考えているようです。

まとめ

在日韓国人、朝鮮人の方が日本国籍を取得する帰化申請の際に、「住居要件」が大幅に緩和されていることがおわかりいただけたかと思います。生計要件に関しても、特別永住者の方は基本的に就労制限がなく、日本人と同じように経済活動を行うことができることから、収入面に関してもクリアしやすいのではないかと思われます。一方、日本人とほぼ変わらない社会生活を送ることができることから、犯罪行為や交通違反等をチョッとした不注意で犯してしまうことのないよ、日々の生活上では気を付ける必要があります。また、日本で生まれて、日本の義務教育を受け、社会生活を送っている方も多いことから、日本語能力要件や、身元保証人の用意などの要件に関しては、問題なくクリアできると思われます。

ご自身の就職や結婚、出産などのライフイベントだけでなく、ご子息の結婚等、人生の様々なタイミングで、日本国籍取得を考え、ご相談に来られる方が多いです。ご自身が希望するタイミングで、スムーズに帰化申請が行えるようにするためにも、社会生活のルールや法律を守り、税金や社会保険料などの支払い義務を果たすなど、日本人としての義務や責任を意識して生活することが大切だと思われます。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として生きていこうとする、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、日本国籍取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。