ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。

私は主に、ニセコ・札幌市内を中心に、北海道で生活をしている外国籍の方々の在留資格の申請、いわゆるビザの新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。今回は、日本にいる外国人の方が、母国から家族を呼びたいと考えたときに取得する在留資格である、「家族滞在」について解説していきます。

家族滞在とは

「家族滞在」の在留資格は、主に「技術・人文知識・国際業務」や「技能」といった就労系の在留資格や、「留学」の在留資格を持つ外国人の方が、「扶養する配偶者・子」を日本に呼び寄せるときに使うものです。

家族滞在の「家族」とは誰?

まず、ここで注意すべき点が2つあります。1つ目は、「家族」は配偶者と子供に限定されていることです。両親や兄弟姉妹などの親族は含まれていません。そして、子供に関しては、年齢の規定はありませんが、「扶養する」という言葉から、通常、特別な事情がない限りは、日本における未成年(18歳未満)の子供を意味します。

「扶養する」ということは?

注意すべき点の2つ目は、「扶養する」という言葉の意味するところです。この「家族滞在」の在留資格では、呼び寄せる側の外国人が、配偶者や子供を扶養するということが原則になっています。つまり、呼び寄せられた配偶者や子供が日本で仕事をしなくても生活が出来る、ある一定程度の定期的な収入や貯金、資産などがあるということが証明できないと、この在留資格の申請は不許可になってしまいます。家族滞在の外国人の方は、入国後「資格外活動許可」を得られれば、週28時間のアルバイトをして収入を得ることが出来ます。しかし、例えば時給1,000円で週28時間働いて、1週間に28,000円、1ヶ月で112,000円の収入があったとしても、これだけでは夫婦2にんだけであったとしても、日本で生活をすることは難しいですよね。ですから、配偶者や子供の収入を全くあてにせず、呼び寄せる外国人の方に生活の基盤となる収入等があることが求められています。

審査のポイント

次に、この「家族滞在」の在留資格の審査際に、重要だと思われる2つのポイントを、出入国在留管理庁のホームページに記載されている提出書類から解説していきます。

呼び寄せる人と「子供・配偶者」との関係の信ぴょう性

まず1点目は、日本にいる外国人の方と、呼び寄せようとしている配偶者・子供の関係性です。つまり、本物の配偶者、子供であることが、各種書類などで客観的に証明できるか?ということです。配偶者や子供と偽って、不法滞在・不法就労の為に入国するのではないか?ということを、審査官はチェックをしていると思われます。これらを証明するための書類としては、

  「戸籍謄本」「婚姻届受理証明書」「結婚証明書」「出生証明書」や、これらに準ずる文書

といった、外国人の方の出身国で、結婚や家族関係、親子関係を証明するような公的な文書を提出するように指示されています。なお、「日本人の配偶者等」の在留資格審査の際にも、不法就労目的の偽装結婚でないことを証明することが重要なポイントになっていました。一方、「家族滞在」の在留資格においては、就労できる時間数が「週28時間」であり、また、仕事内容も「風俗営業や風俗店での勤務は不可」といった具合に、就労条件には大きな制限があります。それ故に、偽装結婚の手段として、この「家族滞在」の在留資格を乱用するケースは少ないとみられますが、結婚の信ぴょう性に関しては公的書類などでしっかり確認できるものが提出書類として求められています。「日本人の配偶者等」の在留資格申請のように、「写真」や「通信の記録」等、詳細な資料を提出して結婚の信ぴょう性の証明が求められていないのは、「家族滞在」の在留資格には、こういった就労制限があるからかもしれません。

扶養できるだけの定期的な収入があるか?

次に、2点目として、既に日本に住んでいて呼び寄せる側の外国人が、配偶者や子供を扶養するための、ある一定程度の定期的な収入などがあるか?ということです。せっかく家族を呼び寄せたのに、経済的に苦しくて生活が出来なければ、無理をして収入を得るための不法就労など犯罪につながる恐れがあることも否定できないからです。そのために、呼び寄せる外国人に一定の収入や仕事があることを証明する書類として、

  「在職証明書又は営業許可証の写し」 ※職業が分かる証明書を提出

  「住民税の課税(非課税)証明書、及び納税証明書」

の提出を求められ、どのような仕事をしているのか、またその仕事によってどの程度の収入があるのかを、書面上で証明することが必要となります。もし、仕事をしていないような場合でも

  「扶養者名義の預金残高証明書」か「給付金や奨学金給付に関する書類」

  「生活費用を支弁することが出来ることを証するもの」

を提出することで、仕事をしなくても生活できるだけの預貯金や資産があることを証明します。

この収入や仕事に関しては、呼び寄せ側の外国人の方が、在留系の資格を持ってすでに仕事をしている方であれば、ある程度の収入があるために問題になることはないと思われます。大前提として、その方が就労系の在留資格を取得する際に、報酬額は日本人と同等以上という条件がありますので、生活が出来ないほど極端に収入が少ないと、そもそも在留資格が取得できていないということがあります。

留学生が呼び寄せ人になる場合、注意すべきことは?

呼び寄せ側の外国人の方が留学生の場合に関しては、そもそも日本で仕事をすることを前提としておらず、仕事が出来たとして資格外活動許可を得ての週28時間のアルバイトの為、月収10万円前後になってしまいます。そのため、留学生に関しては、貯金や奨学金など、収入以外のもので、生活の維持が可能なことを証明しなくてはならないのです。これを預貯金で証明する場合には、残りの在学期間中の生活費をカバーする程度の残高がある必要があります。例えば、4年制大学の3年次に配偶者を呼び寄せた場合、残りの在学期間である1年程度の間、配偶者と2人で生活できる程度の預貯金が必要なので、だいたい、1ヶ月20万円程度×残りの在学期間分の月数があれば問題ないとされます。

なお、この「家族滞在」の在留資格に関しては、最大で5年が与えられることになっていますが、呼び寄せ側の外国人の事情や状況によって、これよりも短い期間になる可能性もあります。

まとめ

「家族滞在」の在留資格申請の詳細に関して、出入国在留管理庁のホームページの記載をもとに確認してきましたが、提出書類に関しては、ホームページに記載されている必須提出書類は確実に抑えながら、いかに申請人が在留資格に適合しているか、特に、結婚や親子関係の信ぴょう性と、仕事と収入等の生活基盤の安定性に関しては、必要書類だけでなく、場合によっては追加書類によって具体的かつ明確に証明していくことによって、許可を得るということが重要なポイントになってきます。

行政書士あけやま事務所は、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、在留資格「家族滞在」の取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。